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経営学の先端トピックス~最も根源的な経営知見(3) 戦略がうまくはまらない最も根本的な理由

1、戦略の「通用する範囲」ということ自体を把握できてるか?
2、「戦略の手法」と「マーケット競争状況の型」
3、戦略がうまくはまらない最も根本的な理由

 

1、戦略の「通用する範囲」ということ自体を把握できてるか?
 日本でも企業の戦略論は普通に定着しているように思う。中小企業以下の部分でどこまで浸透し、実践的に当てはめられているのかはわからないが、ポーターだとか、差別化、ポジショニング、ターゲティング、ブルーオーシャン、フリーミアム、プラットフォーム・・・などのような単語は、どこまでわかってるかどうかはさておき、普通に通じる。しかし、その様々戦略の手法とマーケット状況との相性、親和性、それが「通用する範囲」という概念自体は、ごそっと抜け落ちていると、先生は指摘する。その一文を本屋の立ち読みで目にして、「げっ」と思わされた。従来からのMBA系の書籍にも書かれてある内容ではあるものの、その相性の表にした図がとても理解しやすく腑落ちしたのが、この書籍を購入した動機。

 あまりあれもこれもではなく、「戦略の手法」と「マーケット下における競争状況の型」を3分類ずつでまとめてくださってあり、わかりやすく、かつその本質的な理解の促進には非常に腑落ちしやすい。まずはそれぞれについて簡単に。

 

2、「戦略の手法」と「マーケット競争状況の型」
マーケット状況
・「IO(industrial organization)型」
 そのニーズ自体がマーケットですでに顕在化しており、すでに認知されている。全く同じことを同じタイミングでやろうとしている提供側事業者が複数あり、スタート前から競争が激しい。ある種コモディティ化している商品、サービスの大手数社による寡占状況。
・「チェンバレン型」
 IO型よりは参入障壁は低く、複数の事業者が差別化を意識して激しく競争している。技術、サービス力重視で技術、人材などの経営資源に力を入れる。日本のモノづくりが強かったマーケット。
・「シュンペーター型」
 状況そのものが様々不確実。スピードが速い、変化が大きい状況。技術進化のスピード、マーケット環境の変化そのものが読みにくいなど。
IT産業などが該当。戦略や事業計画などはそもそも意味を成しにくい。イノベーションはこの環境下で発生する。

マーケット競争状況の型
・「SCP戦略」
 これが一般的に戦略論で最も知られ、普及しているイメージの話。ポーター先生の「競争戦略」のこと。いわゆる「ポジショニング」という概念はこの戦略論からくる表現。ポジショニングの採り方として、「差別化戦略」と「コストリーダーシップ戦略」に分かれる。
・「RBV戦略」
 SCP戦略と対照的な概念としての戦略。他社との相対的なポジショニングや差別化を図ろうとするより、自社の絶対的な独自資源としての技術や人材などの経営資源を重視し、強化していこうとする戦略。ポジショニングに対して、「ケイパビリティ」という表現で象徴される。
・「リアルオプション戦略」
 この戦略は、シュンペーター型マーケットのような不確実下で採られる戦略。変化対応しやすいようにすべての前提で考える。小規模で初動対応を図っていく。小規模投資、小ロットで実験的にマーケットに投げていき、
PDCAサイクルを回していく。

 

3、戦略がうまくはまらない最も根本的な理由
 鳥瞰、俯瞰目線でそもそも、自身の事業の存在位置からすると、様々言われる戦略、戦術、通説の中で、全く関係のないとんちんかんなことを一生懸命やろうとしているようなことは、普通によくある。これらの戦略とマーケット状況分類には、相性の合う合わない、通用するしないの範囲がある、ということ。この根本的なところがズレていて、何かがうまくいく道理はない。しかしこういう超然とした鳥瞰、俯瞰的な目線でマーケット状況自体を、そして自社が置かれている客観的な座標位置を知るすべはない。まずは知識的に、そういう分析、分類があるんだということを知り、それを客観的に当てはめて考えてみるしかない。

 戦略手法の「SCP戦略」と「RBV戦略」が戦略の大きな2つの型になる。「SCP戦略」は「IO型」マーケットで採る戦略であり、「RBV戦略」は「チェンバレン型」マーケットで採る戦略。これがテレコになって逆の戦略を採用しても通用しにくい、ピントがずれる。日本の製造メーカーは「RBV戦略」を、知ってか知らずか地でいっている。なのに「IO型」の市場でも同じように望んで、中国、韓国のメーカーに後れをとった。白物家電、パソコン、携帯など、出始めは画期的で、マーケットも技術の優れたものが好まれた。この時は日本メーカーお得意の、技術や人材を活かしたた「RBV戦略」が効く。そのマーケット状況が「チェンバレン型」。しかし普及しきった後、最低限の機能がそろっていれば安い方が好まれるようになった時、どの機能に絞るか、どの価格帯に絞るか、独自の差別化やコストリーダーシップなど、要は割り切ったポジショニングが必要になる。この時、余計な機能にこだわって価格の高いものは嫌われる。このマーケット状況を「IO型」といい、この際に採用すべき戦略が「SCP戦略」になる。

 「SCP戦略」や「RBV戦略」は、ある程度マーケット状況が読める、今後の動向が計算できる際に成り立つ戦略。それを「シュンペーター型」のマーケットに当てはめてみてもやはり、それは後手後手に回らざるを得ない。日本企業がIT分野で弱い理由として説明されている。AI、仮想通貨、フィンテック、アプリビジネス・・・今までなかったような商品サービスやそのサービスを下支えする概念自体が理解しにくいこと、マーケット認知自体もないことなど、こういう領域にはあまり手を出そうとはしない文化、風土自体が弱点視されている。この「リアルオプション戦略」を取り得る小規模ベンチャーの、多数の登場が嘱望されており、日本でもこの動きが段々浸透してきている。このような事業の始め方を「リーンスタートアップ」とか言われている。この「シュンペーター型」マーケットで「リアルオプション戦略」を採りながら事業活動をしようとしている会社、人のことを「スタートアップ」とか言っている。

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