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学びのコンテンツいろいろ(3) グロービスMBAシリーズ

グロービスMBAシリーズ

グロービス続きで、先々月に触れたMBA課程の教科書「グロービスMBAシリーズ」を見ておきたい。「経営を学ぶ」という点においては、最もスタンダードなポジションを確保しているように思う。

大型書店、紀伊国屋、ジュンク堂、旭屋などのビジネス書のコーナーにおいて、銀と紺のツートンハードカバーで高尚なオーラを放っているあの本である。出版社はダイヤモンド社だ。

シリーズで現在18冊出ている。数千部売れれば良しとされる専門ビジネス書の中で、シリーズ累計で異例の100万部越えとのこと。現在まで145万部売れているそうだ。これ12800円だから、掛けることの145万冊で・・・何せ素晴らしいビジネスモデルと思う。12800円の本でもこんなにニーズがあって、必要な人にとっては価格の高い安いは関係ないということを改めて思い知らされる。

シリーズは、「マネジメント」、「マネジメントⅡ」、「リーダーシップ」、「事業戦略」、「クリティカルシンキング」、「ビジネスライティング」、「クリティカルシンキング・コミュニケーション」、「ビジネスプラン」、「事業開発マネジメント」、「マーケティング」、「ファイナンス」、「アカウンティング」、「マネジメントブック」、「組織と人材マネジメント」、「ケースブック」、「定量解析と意思決定」、「オペレーション戦略」、「ゲーム理論」、「経営戦略」の18シリーズ。どうだ、まいったか!!という感じ。

グロービスの社長、堀先生いわく、「当時の、私たちのスクールでは、米国の著名な経営学者の翻訳書を教科書として授業を進めていました。たとえばマーケティングであれば、フィリップ・コトラーの『マーケティング原理』(ダイヤモンド社刊)というように。これらの書物は確かに包括的で良い教科書ではありましたが、忙しいビジネスパーソンが読むにはぶ厚く、値段も高額でした。一方で、日本人が書いた書籍は、学者の手による必要以上にアカデミックなものか、手軽なハウツー本のどちらかに偏っていた感がありました。適度な分量、ビジネスリーダーとして知っておくべき内容で読みやすい、そしてビジネスパーソンの執筆による教科書――それが市場にないことが、ビジネスパーソンを教える側として不満でした。「そうした教科書がないのなら、自分たちで作ってしまおう」との発想から執筆に取りかかったのです。」とのこと。

このシリーズは「適度な分量で、読みやすい」とのこと。多くの経営者の方にとっては、このシリーズを読む読まない以前に、意識のスクラップ&ビルドが必要なのではと思う。でも、おっしゃるように本気で知りたい、極めたいと思って突き進むと、数倍分厚く、さらに高額で、難解アカデミックな書物が立ちはだかってくる。そんなことを思えば、意図は理解できる。そのジャンルを広く浅く、包括的にまずはざっくり掴みたい、という時にはまさにこれかなという感じ。こんな風に思う人が、100万人近くいるということだろう。まさしくセグメンテーション、ターゲティングの好事例だ。独自の白地マーケット、独自のNo.1領域だ。十分すぎるマーケットではないだろうか。

全部読むべきなのだろうか、何から読むべきなのだろうか。「うーん・・・」という感じ。まあ色々大量に読まなければならい中で、このシリーズの優先順位は高いかと言えば、もっともっと読書慣れし、前提となる知識が蓄積してからのほうがいいような気がする。

個人的には、がっつり取り組んだのは5シリーズぐらい、10シリーズは通読、2,3は見ていない。

このシリーズの代表的なものが、「マーケティング」。マーケティングという単語は知っていても、そもそも何?どの範囲を指すのか?というようなことは、わかってわかってないような気がする。まさしくそういう際に、全体包括的にざっくりと全体像をつかむのにはいいのではないだろうか。それこそ「4P」や「STP」などについて書かれている。

でも正直、小規模経営者が最初に取り組む書籍ではないように思える。マーケティングジャンルなら、それこそ「売れたま」の先生、佐藤義典氏の「BASICS」とかがわかりやすい。「表現のわかりやすさ」で言えば、この先生がピカ一と思う。この先生についてはま

た個別に取り上げる予定。

経営学の初学者にとって、「マーケティング」とともに、それ以上に必須なのは、「ロジカルシンキング」だ。経営だのビジネスだの関係なしに、人生にとって必須だろう。思考にその概念があるかないかでは、人生が全く別物だ。けっして大げさではないと思う。このシリーズでは「クリティカルシンキング」にあたる。書籍の中では、ロジカルシンキングとは微妙に区別しているような表記はあるが、概ねこのジャンル。このシリーズの中では一番読みやすいのではないか。

しかしこのジャンルについても、このシリーズ以上に優先順位の高い書籍は多々ある。斎藤嘉則先生の赤本、青本とか、内田先生、赤羽先生、津田先生、三谷先生・・・・きりがない。このジャンルは別格に超がつく重要なので、改めてテーマとして取り上げる予定。

多くの小規模経営者にとって、「経営の勉強=数字の勉強」という暗黙の公式があるように思う。「数字が苦手で。」今までご縁のあった経営者の方のほとんどの方が、そう言った。いわゆる財務諸表、一般的に決算書と言われるやつだ。「ビジネスマンなら決算書ぐらいは読みこなせないと」というような通説が語られて、ビジネス書の手軽なハウツー本系の中で、決算書関連の本が一番多い気がする。経営の学習を志して最初に手にするのが、この系統の本ではないだろうか。

このシリーズの中では「アカウンティング」だ。「決算書」という表現ではなくて「財務会計」というジャンルになる。このなかに、「簿記」とか「決算」とか「損益計算書P/L」、「貸借対照表B/S」、「キャッシュフロー表C/S」などなどが包含されている。それだけでは勘弁してくれない。「管理会計(意思決定会計)」というジャンルも含まれる。しかし経営者にとって本当に関心がある、重要なのは「基礎税務」だろう。不動産税務、保険税務かもしれない。要は「節税」のこと。「税務」は経営学の範囲ではないから、ほとんど触れられていない。さらに言うなら、別のシリーズになるが「ファイナンス(お金の調達)」というのももちろん、数字、お金のジャンルだ。株式、債券、融資、投資などの話。

経営者にとって「数字が苦手」という「数字」って、何を指しているのだろうか?「数字」の範囲はかくも構造自体が複雑だ。やさしい基礎的なところから、ということで個別論点テーマに取り掛かっても、全体構造のつながりがわからなければ結局、撃沈する確率が高いように思う。個人的にも、ジャンル全体の中でも、この数字カテゴリーに関する本の冊数を一番たくさん読むはめになった。「苦手」というより「鬼門」だろう。まさしくそのことをざっくりとつかみたい、というような趣旨ならこのシリーズに挑戦の価値ありだ。

上記、挙げたシリーズとあとはやはり「マネジメント」だろうか。経営学自体そのものの包括的な全体像をつかむ、という意味ではまさにこのシリーズかなという感じ。このシリーズ全体の中でも上記の「クリティカルシンキング」とこの「マネジメント」がとりあえず読みやすいという印象。

マネジメントと言えば、「ドラッカー先生」となるが、あちらの「マネジメント」は啓蒙・哲学的なニュアンスも包含されてきて、深く、まあまあハードだ。これも必須図書だが、学習としての知識体系の把握、整理という意味ではまずはこちらのシリーズかなという感じ。ドラッカー先生についても、また別途取り上げ予定。

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