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業績向上人事(9) 独自基準重視の採用(2) 採用制度の矛盾

矛盾した習慣としての採用制度

 人事制度の前提は「ライバル企業との競争に勝つ」為の組織構築と強化だ。しかし組織の成り立ちを俯瞰すれば矛盾が多く難しくなるのも必然にしか思えない。創業初期はなんとか最低限頭数えるのに一杯だが、成長と共に優秀な人材を獲る競争に参戦していく。結果、入社時の認識や理解がまちまちで、スペック差の開いた、様々な「思い」「感情」「性格」「歴史」を持ち合わせた人の集合体となる先輩と後輩、上司と部下、制度を作る人と従う人に分かれ、その立場差が生じる。年齢順や入社順が逆転したり、制度に納得できる人もいれば、納得できない人も出てくる。納得出来ようが出来まいが組織のルールが出来、管理側と使われる側の意向は二律背反し食い違いが生じる大きくなれば労働組合も登場し、労使という完全な利害相反構造が出来上がる。双方の要求合戦がエスカレートし、対応する法整備も過剰に複雑になっていく。と、こんな風に客観的に組織混迷の成り立ちをとらえると、「別に最初から方針に納得出来て、必要な役割の人だけ最小限で集めたらいいじゃないか」と普通に思う。

 しかしそんなにうまくいくわけはないので、そんな会社はほぼ無い。実際としては、制度に納得できる人であっても優秀じゃない人は必要ないし、競争に勝つためには優秀な人を一人でも多く確保しておきたい。青田買いで有名大学の新卒を取り合う。学生も有名人気企業の枠を争う。

 多くの企業の採用基準の前提は「スペック基準」だ。事前の役割想定は出来ないので、出身大学、学生時代の活動、人柄、ポテンシャルなど、業務とは直接無関係な「表面のスペック」が基準となる。社内での役割はそのうちに決まっていく。出来るだけ適性を合わせようとはするが、必ずしもそうなるわけでもないし、社員側の希望が通るわけでも、それ以前に希望が明確なわけでもない。「やりたいことが出来る訳ではない」、「そんなに甘くない」とか、当たり前のように言っている。俯瞰、鳥瞰の視点で言えば、その時点で十分おかしな矛盾だ。労使双方互いに、結局どうしたいのだろうか。目的が、勤めるために勤め、雇うために雇うようになっている。社員側はそういうものだろうが、経営側としては目的と実際の完全矛盾だ。単なる習慣としての採用活動に陥っている。

 せっかくの優秀な人材は、その後は集団勝ち抜き合戦が人生となる。管理側になる人と、そちらに行けず、水面下で体制への不満分子になる人とに分かれる。もともと頭が賢いので、後者の人たちに手こずる事になる。出る杭への婉曲的なけん制、陰湿な社内政治など、極めて高度な足の引っ張り合いに情熱を傾ける人生だ。モンスター培養の素地を企業自ら作っている不思議な仕組みである。

 もっともっと具体的にどういう人がほしいのかを募集媒体ではっきり表現して求人すればいいじゃないか、とも思う。しかし、様々な制限がかかってそういうわけにもいかない。すべてにおいて、あとあと問題が色々と発生するのが明らかないびつな方法が、今日多くの会社が行っている一般的な採用の方法である。それに対してみんな右へ倣えで、小さな会社までもが模倣している。小さな組織ほど必要な役割を鮮明にしやすいはずなのに、絞ると採れなくなり、「とりあえずの確保」に向かう。そして本来なら悩まなくてもいいような会社までもが、複雑な人事の問題に手を焼き、時間をとられ、生産性を落とし、不満分子の生産性だけが上がっていく。

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