事業モデル(再)構築 ・ 顧客育成のしくみ創り(9) 「定着客フェーズ(リテンションモデル別解)」(6) ~ 次善の策「それでいい」のキープ、「見た目」と「接触頻度」
1、「逃がさない」囲い込み・補てん施策 ~ 次善の策
2、次善の策1 ~ 「ほどほどに心地いい」
3、次善の策2 ~ 「 少なくともストレスはない 」
4、接触頻度をWEBコンテンツで重ねる
5、次善の策・まとめ
1、「逃がさない」囲い込み・補てん施策 ~ 次善の策
逃がさない、囲い込み施策について、積極、能動施策として「心理的拘束」、「物理的拘束」まで見た。あともう1つ、消極、維持施策として「次善の策」について。
次善の策は、「拘束」とまではいかない、「緩い束縛」という感覚のものになる。「それでいいと思わせておく」こと。「それがいいと思わせる」までいかない。「それがいいと思わせる」のは、引き上げ施策や、マーケティング段階でのターゲットへの刺し込みの話。「まあいいか、別にこれで」という感覚をキープする。これについても施策の方向性を2つ。1つは、「ほどほどに心地いい」状態を維持する。賞賛や世辞、特別扱い、心地いい対応、心地いい見た目、心地いい空間など。もう1つは、「少なくともストレスはない」ように働きかける。シンプルに「好意を持ってもらう」ということ。互いに人情を通わせること。普通に一番基本的な、当たり前の話。
2、次善の策 ~ 「ほどほどに心地いい」
まずは、「ほどほどに心地いい」状態を維持する、方から。賞賛や世辞、特別扱い、心地いい対応、心地いい見た目、心地いい空間など。
応対や接遇などを丁寧にする。言葉遣い、起居動作、マナー・・・、社会一般常識的なことを普通に気を抜かずに頑張る。これも上手な人と不器用な人がいるけれど、この次善の策で言わんとすることは、必要以上に上手なものを目指すというよりは、最低限の真心、人柄の良さが伝わればいいということ。要は、気分のムラとか、好き嫌いとか、自らで失点しない。慣れ過ぎて横着が出てしまわない。自分はそのつもりでなくてもそんな印象を与えていやしないか?程度のことは意識的にチェックする。チームみんなで意識するために、朝礼で毎日同じことをやったり、バックヤードにスローガンや箇条書きを大きく貼ったりしておく。そういう空気、文化風土、土壌づくりの問題。
もう一つの論点は、見た目に気を配る。人のことは当然だが、外観、空間、あらゆるすべてについて。人は見た目が9割とか言うが、ビジネスにおいては業種を問わず、人は見た目が10割だ。残念だが残酷な真実。もって生まれたマスクや容姿の話ではない。素材を活かしてどう演出するか、どう調理するか、どう飾るか、そのセンスや問題意識の高さが問われる話。センスや問題意識は教育、訓練で育成できる。外観、空間もプロ任せだけでなく、素敵なものを沢山見てセンスを養う。人はセンスの良い、心地いい空間に群れ集まる。ある意味空間にお金を払いに来る。素敵なところに沢山行って感性を磨こう。自身の見た目も同様で、素敵な人を沢山見てインプットの量自体をまずは意識する。センスはある程度自然に磨かれる。
いずれの論点も改めて言うまでもない当たり前のことだが、実質どこまで意識し、どこまで具体的に、どこまで体系立ててパターンとして、どこまで過不足なく、みんなで統一して出来ているだろうか?やれている人はやれているが、面倒な人や不器用な人もいるだろう。やれる人でも気分の良いとき悪い時でムラがあるだろう。苦手な客もあるだろう。こういうことから具体的な論点をきめ細かく箇条書きにし、文字にしてマニュアル化し、やれているやれていないの客観的な評価基準まで作り込む。それを「従業員マニュアル」という。軽く論点をブラッシュアップしてみる。
言葉遣い
・自然な良い印象の敬語、丁寧語か。もともと横着系の育ちでも、良い子だと感じてもらえるように。生意気、タメ口はイラっと来る客もいる。親しみ、フレンドリーな中にもリスペクトを感じさせる。
・お世辞のフレーズのストックはあるか。客ごとに言うことを決めているか。とにかく気分よくおだて上げることが出来るか。相手を一番くすぐる琴線がわかっているか。「ここだけはわかっておいてほしい」は押さえているか。
・ことばの量は適切か。自分が沈黙がつらいから、言葉を継ぎ続けていないか。一言多くないか、それ以上に説明に言葉が足らないことがほとんどだということは分かっているか。相手が理解できるレベルの表現ボキャブラリを日ごろから勉強しているか。
・営業トークはマニュアル化出来ているか。どのタイミング、どの順番で、どの表現フレーズを過不足なく伝えるか、ちゃんと頭に入れてロボットになれているか。どのタイミングでどの表現が効果的だったのか、常にトークのバージョンアップ意識は持っているか。
態度
・姿勢は良いか。背筋に線は入っているか。腹筋、背筋はある程度鍛える意識は持っているか。
・振る舞いはエレガントか。一流ホテルのホテルマンをちゃんと意識しているか。ディズニーランドクルーや高級ブランド店員の勉強をしに行っているか。
・ボディーランゲージはとれているか。都度都度手ぶりはオーバー目にやっているか。俳優のつもりで演じているか。
・表情は豊か。表情だけですべてを伝える訓練をしているか。笑うところはしっかり笑っているか。笑顔を日ごろから作り込めているか。人柄はほぼ表情から伝わっていることをわかっているか。困惑した表情まで魅せるために演出し、誠実さのアピールポイントはそこにあることをちゃんとわかっているか。
見た目
・ちゃんとおしゃれか。ファッションセンスは意識的に磨いているか。コスパも調べているか。制服ならデザイナー案件か。「ナチュラルハイセンス」に対して、自分なりの定義、哲学がきちんと語れるか、体現出来ているか。
・メイクはプロレベルか。TPOごとにパターンを持っているか。「素材を活かす」スキルを磨いているか。どう見せるかのイメージ、哲学は明確か。
・髪型は完璧か。毎日妥協せず、納得できるまで作り込めているか。顔周りのイメージの7割ぐらいはヘアで持っていかれることをわかっているか。スタイリングスキル、商材の学習はちゃんとやっているか。
・毎日が自分史上最高か。ちゃんとオーラは出ているか。オーラの出し方はそもそも知っているか。メンタル9割だということをわかっているか。見た目の全体印象は内臓からだということをわかっているか。食生活レベルまで意識は高いか。自分という存在は見世物だとして毎日を意識し、そのレベルでケアをしているか。それがあなたにとっての最も重要な「業務」だと理解しているか。見た目がダメなら人生は終わっていることをわかっているか。見た目とは、相対評価でなく自分自身の絶対評価だということがわかっているか。素敵な哲学で生きているか。今日の自分の見た目にイノベーションを起こせたか。昨日の自分の見た目より革命は起こせたか。あなたが仕事が出来る人かどうかはすべて、そこに顕れることを理解できてるか。
・ここが、経営者としてのその人の評価基準になることを表明しておく。「見た目の演出」は業務であり、報酬に反映させる。当然、相対基準ではない。
以上、ざっくりと言葉遣い、態度、見た目などについて挙げてみた。とりあえず基本的でかつ重要なことは、考え方、意識の変革を促すべく、文章化してマニュアルとして配布し、レクチャーする時間をとる。毎日意識させるために、朝礼やバックヤードの掲示物を活用する。
3、次善の策 ~ 「 少なくともストレスはない 」
もう1つの方、「少なくともストレスはない」ように働きかける。シンプルに「好意を持ってもらう」ということ。互いに人情を通わせること。普通に一番基本的な、当たり前の話。
だれしも、意図的に客にストレスを与えているつもりなど毛頭ない。無意識に客に不快感や嫌悪感を与えてしまっているのだろうか?というようなことを言わんとしているわけでもない。「ストレス」ということの解釈の問題。不快感や嫌悪感などの悪い方へ振ったストレスについての論点ではなく、別に良くもなく、悪いもない、「退屈」、「面白くない」、「飽きてきた」の話。これはどれほど優秀な事業者であろうとも、繁盛店であろうとも発生する。特に3つ目の「飽きられる」。失客する場合の原因として、特に何も見当たらない、思い浮かばない場合は、ほぼこのことが原因だろう。残念だが経年と共に必然的に発生する。避けがたい。特に、最初の頃面白い、刺激的、感動的だとしてドンはまってくれた人ほど、必ず飽きる。最初がいいだけに振れ幅も大きい。最初の反応がいいだけに、事業者側としても失客の心理的ダメージも大きい。客側としても、飽きてきて退屈してるのに、買い続ける、やり続ける、来続けることほど、耐え難いストレスはない。ましてやそこにお金を払わなければならない。何か強い感情を伴っていやになるより、ストレス度合いとしては高い。どうしたらいいのか?という問題。
「少なくともストレスはないように」というのは、飽きて退屈しながら客でいてもらうことを、いかに回避するか、という意味になる。表現から受け取る印象以上に相当難しい課題。対策として、常に面白くあり続けるとか、常に刺激的であり続けるとか、感動を与え続けるとか、だれしも思うが、アスリートや芸能人じゃあるまいし、一般的な事業者には寝言に過ぎない。実際にそれは、よほどの状態でなければ無理だ。どうしたらいいか?屁理屈に近いが、面白いとか、刺激的とか、感動的とか、そんなことを求め続ける土俵自体から、客たちに降りてもらう。むしろ引き釣り降ろしたい。そこに金銭のやり取りがあるとはいえ、事業者と客、提供者と受益者、実行者と評価者など、二律背反的な関係性のあり方をやめさせる、ということ。どういうことか?こっち側の人になってもらうということ。同志、同朋、身内、家族の側へと、根本スタンスを移行してもらうということ。身内や家族に、常に刺激や感動を求めない。たとえ退屈で飽きても、それでもやっぱり切れない、離れない。そうしてしまう。ここも意図的にそうしようとしないと、そうはならない。じゃあどうやって?
4、接触頻度をWEBコンテンツで重ねる
これは特効法はない。地道な「接触頻度」だ。接触回数、接触時間をひたすら重ねる。真心の投入量を意図的に、何か施策的に行いたい。客一人一人との実際の接触頻度なんて、たかが知れている。しかもそれを決めるのは客側のペースになる。物理的接触で考えるとそうなる。なので、客一人一人の心の中で占める、自社の何らかのことを思う、考えてくれている時間数を分単位、秒単位、濃度で重ねてもらいたい。実際の物理接触していない状況、場面で。今は、WEBコンテンツでそれが可能だ。しかもほとんどの人は、肌身離さずスマホを持っている。1日の、人一人のスマホ閲覧時間数は、2~3時間はざらだそうだ。そのうちの少なくとも1日1分は、自社の何かのコンテンツにふれてもらおう。1分は難しくとも、10秒未満、1セッションは、1日1回、チェックしてもらえることを目指す。
ここでの課題は、ではどんなコンテンツを作成し、どの媒体で、どの頻度でリーチを掛ければいいのか?という問題。ここでも思考の順番を間違えないようにしたい。今、自身個人が、あるいは会社ですでにやっているSNS基準から発想したくなりがちだが、そうではなくてやはり、目的を整理するところから入りたい。目的は、「同志、同朋、身内、家族と同様の、意識、感覚になってもらうこと」。その為にはどんな方法が一番確実なのか、特定は難しい。何もかもが当てはまると言えば当てはまる。なのであまり細かく難しく定義するよりは、抽象度高くシンプルに、「接触する時間、回数をたくさん積み重ねて、増やし、だんだんと人情を湧かしてもらい、濃いめの肉親の情に近づけたい」ことを考える。その為に接触頻度を重ねたい。
であるからなにがしかの、好感、親近感、仲間意識、ノスタルジーを感じてもらう必要がある。よりプライベートでかつ、うれしい情報や楽しい情報ばかりでなくむしろ、苦労している様子や大変さがベースで、そこからの「逆転としての喜び」を共に共感してもらうのが、最も効果が大きい。にもかかわらず、キャンペーンだのクーポンだの、業務案内的なものでは意味を成さない。あるいは、導線用のオウンドメディアで書くような、訴求やお役立ち情報系の記事でもやはり少し違う。ここはそれこそ、食べ物情報やお食事情報、お土産情報、レジャー情報とかの方がまだ、意味を持ってくる。まあネタがなければそれでも、何もないよりはましだとも言えなくはないが、ちょっと知恵と工夫が足りない。では、どんなコンテンツがいいのか?
とりあえずまず、顔写真か人物写真は全般に貼っておくか、マーク的に付加しておくかは必須。いわゆるそれを見て「リアルに会ってる」、に近い錯覚を脳に持たせたい。写真よりも、キャラクター化させたような似顔絵を作成しておけば、そのほうが親しみが湧きやすい。じゃあコンテンツ内容は?
とりあえず原則的な考え方としては、「人物にまつわる内容」ということになる。自身はもちろん、家族のこと、従業員のことなど。子供のことや、10代、20代の新人をネタにするのは、だれしも親近感が湧きやすいだろう。「お子様スクスク成長日記」など、かわいい盛りを切り売りするのはズルい鉄板だ。問題は、プライベートをさらすリスクと、成長しちゃった後どうするのか、という課題は生じる。あるいは「新人の奮闘、教育成長日記」も、客側としては「頑張れ!」とは思いやすい。まあこれも問題は、その新人がどういうキャラクターかによるところが大きい。スマートでもともと出来るやつなら、かわいさは出ないし、面白くないかもしれないし、下手すると嫌味になるかもしれない。それなら逆に、イケメン、イケ女でアイドル化させるのもいいが、そうするとそのコンテンツの客の対象がまあまあ絞られる。コンテンツを複数用意して、対象客ごとに分けて作成したり、配信したり出来ればいいが、手間がかかる。そこまでやって継続的にやり続けられるのか?ということも当然考慮が必要だ。本来は、この定着施策コンテンツ専門にスタッフを1人付けて、きめ細かくオペレーション化、施策化出来るのが理想には違いない。いずれにしても、この新人ネタコンテンツも、お子様同様、新人が育った後や、ネタにしやすい新人がコンスタントに採れるのか、その永続性の問題と。
まあ考えていけばきりがないが、原則的にそんな方向性でコンテンツを企画する。そうすると参考になるのはユーチューバーたちのコンテンツかもしれない。じゃあユーチューブでやるか、とブームもあり、そう発想しがちになるが、アクセス制限できるかどうかもよくわからないが、世界中にさらされることにもなるかもしれない。世界中に拡散されるなら越したことはないではないか、ともなりがちかもしれないが、そんな時こそ目的に立ち返って考えてみる必要がある。そもそもユーチューバーたちの目的は、広告掲載料稼ぎのための再生回数獲得なので、ピコ太郎のように世界中でいかにバズらせるか、が目的でコンテンツを作る。もちろんそうでない人も多いだろうが、それ以外は趣味か遊びのカテゴリーだろうから、今ここでは考慮しない。翻って、自社の定着施策としてのコンテンツ作成の目的とは明らかに別のことになる。大丈夫だろうか?目的から考えて逆算していかないと、コンテンツ作成の意図がズレやすい。コンテンツ作成という中に入り込んでゆけばゆくほど、そういった近視眼的に発送しがちになりやすいので、あらかじめの注意喚起まで。
でもまあ面白いものを創ったっていいじゃないか、というのはもちろん一案ではある。その方が客の引きが取りやすいのは事実だろう。問題は、その「面白い」動画撮影はどうやってやるのか?「面白い」はだれ基準なのか?だれがいつどうするのか?という、ずっと長期にわたって永続的にやり続けられるのか、というのは大きな検討課題だ。さらには、面白く、楽しく、愉快なものを見て、肉親の情に近い親近感は湧きやすいのだろうか?距離を縮めたり、仲良くなるには極めて有効な施策だ。しかしその距離の縮まり方は、身内感覚に対するそれなのか、一枚外側にあるエンターテイナーとしてのそれを感じるのかは、どうなんだろうか?
コンテンツ作成の要件はとしては、
1、長期に無理なく、負担なくやり続けられること
2、面白さ、インパクトよりも何はともあれ、「身内に対する親近感」を持ってもらえるか
がまずは必須要件になる。 あとその他の要件としては、
3、回数を重ねてもらうべく、定期的にチェックしてもらえる継続性を維持できるか
4、その方だけの特別感、限定感をどう演出するか
その都度単発の案件でもいいが、1日1回とまではいかなくとも、定期的には気になってチェックしてもらいたいわけだから、連続もの、シリーズものになるようなことが理想ではある。で、オープン型コンテンツ、だれもが制限なく見れるというよりは、定着してほしい、身内化してほしいその方たちだけの限定的、クローズ型コンテンツのほうが、その方たちへの特別感を演出しやすいのではないか。パスワードを書いた特別なセキュリティカードみたいなものを作っておいて、一定の要件を満たした客から順次、贈呈式のようなちょっとしたパフォーマンス込みで、渡してあげるのだ。社長、オーナー自ら直々に渡す。ここはスタッフでも幹部でもない。贈呈式には、手すきの従業員は出来るだけその場に居合わせ、拍手する。それ用のBGM等も用意しておく。軽く粗品、プレゼントも準備したい。そこまですればたぶん、そのクローズ型コンテンツの中に入って見てはくれるだろう。その日以降その人たちには、実対面でも笑顔の1.2~1.5倍増し。声かけも同様に。いずれも後々無理がない範囲で。長期にわたるとダレてきてしんどくなるから。このようなことを決まり事として、きちんと明文化、マニュアル化しておくことが大事。
これらのコンテンツ自体の配信は、SNSがやりやすいのだろうか。フェイスブックか、インスタグラムか、ツイッターか、ラインか、ユーチューブか、個人アカウントか、会社アカウントか、どれをどの目的、どの種類のコンテンツ作成、配信に使うのか、整理し、設計しておく。大きくは「導線活用」か「定着活用」かになる点は、もう大丈夫だろうか。未顧客のまだ濃度の薄目の方たちに対する認知獲得のフェーズと、今ここで述べている、顧客の中でも一定の要件をクリアした方にさらなる定着をしてもらうべく、身内化、家族化してもらう為のフェーズと。同じSNSを活用したコンテンツ作成といえども、全く別の目的、全く次元の違うフェーズの話であり、施策になる。あらかじめの制度設計をしておかなければ、いずれ段々と、まず間違いなく混乱してくる。それぞれのSNSの性質と、コンテンツ内容、目的との親和性のような検証は、またいずれの機会に。
重複するが、SNSを利用、活用するとしても、「SNS時代の拡散」という感覚とは区別する。拡散したいのは集客マーケティング用の導線コンテンツのほう。今ここは定着施策として、よりクローズに家族化、身内化させる方向性の話。改めての注意喚起まで。
5、次善の策・まとめ
定着施策「次善の策~それでいいと思わせておく」については、ざっくりとこんな感覚で施策化してゆきたい。
「ほどほどに心地いい」ほうは、お上手、人当たりとそして、「見た目」。空間デザインと、人物そのものの磨き込み。それらをきっちりと、やさしい言葉で明文化しておく。マニュアルとして作成しておくことが重要。それが自社の「従業員育成マニュアル」になる。評価規定をいくら整備しても、まず、その基準になるマニュアルを認識させなければ、それはあまりにも片手落ちだ。機能しない。そのマニュアルの要点をバックヤードに貼っておく。朝礼で毎日意識づける。そういう地道なことで、その会社の企業風土、企業文化を醸成させていく。マニュアルを作ったとて、パッとそうなるわけではもちろんない。毎日毎日意識づけて、だんだんじわじわと、植物の成長のごとく「醸成」させていくものになる。リッツカールトンやディズニーランドにならって「クレド」ブームみたいなことがあったが、作りゃいいってもんじゃない。ほとんどの企業では形骸化してしまっている。それでは意味がない。1人1人が洗練されている、そういう集団である企業文化、企業風土が、客を感化し、共感を呼び込む。
「少なくともストレスはない」ほうは、「接触頻度」。接触頻度を重ねて、より親近感を獲得していき、身内や家族化してもらいたい。それが唯一の「飽きられる」ことへの対策だという理屈に基づく。その接触頻度のメインは、物理的、対面での接触以外の部分、WEBコンテンツでの接触をいかに図るか、ということになる。マーケティング施策のWEBコンテンツとは全く別物、別ジャンル領域として、ここでやる施策もやっぱり、WEBコンテンツで、だ。あれもこれもで本当に大変だ。
でもそこまでやっても、今回テキストのテーマ全体の話は、「次善の策」に過ぎない。「自社がいいと思わせる」までいかない。「自社でもまあいいかと思わせておく」までがやっとになる。「次善の策」のほうは、優先的に整備しておかないと、マーケティング施策の調子が上がり、蛇口を全開出来るようになっても、バケツの底の穴モレのモレ量が増えるだけという結果に直結する。全体のつながりを理解し、重要度の大きさや優先度の順番を把握していないと、その切ない結果に、メンタルがボディブローのようにやられかねない。こういう地道なことは、施策の実行を習慣的にペースに組み込んで、押さえておきたい。