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戦略思考の心・技・体(19) 体「根源的学習習慣・結局は読み書き」(4)~メモ書き技術(1)

混乱の解消

 文明人にとって、思うようにいかないことで何とかしたいと思う最大の事は脳の混乱を解消することだ。頭のこんがらがり、もつれた糸をほぐすこと。整理したい整理したいと思っても、思えば思うほどこんがらがる。唯一の解決方法は一番抽象的な言い方で言うと、「吐き出すこと」。何とかしようと考えるほど、思うほど、頭の混乱を助長する要素を生産していくことになる。これをいかに外に排出するか。その方法として、現存する最も効果的であろうのが、「A4裏紙へのメモ書き」である。

 頭の混乱を整理したいと、強くその必要性を感じる場面として大きく2つに分けてみると、メンタル面と業務・作業面がある。メンタル面とは、心の中のもやもや、イライラ、ストレス、思い悩みなど、業務・作業面は日常の諸事、そしてビジネス現場でのこと。まずメンタル面では、毎日の人間関係でイライラ、もやもやしたとき、とめどなく色々あれこれ思い出され思い煩う。何とか自分を落ちつけたくて心の整理、感情の整理をしようと思うが、思えば思うほど腹が立つ。そんな時の人それぞれの解消法はあるだろうが、多くの方法は一時しのぎにしか過ぎない。なぜいつもこんな感情になるのか、自分自身を分析的に振り返り、永遠に解放されるための方法を極めようとはあまりしない。なぜあの人はあんなことを言うのか、なぜああなんだろう、あんな態度をとるのか、と。頭の中を占めるのはいつも相手の分析だ。根本的な方向性として、相手の分析をしても解決策は存在しない。どこまでいっても自身の感情構造、思考構造を客観把握し、傾向をつかみ、そしてその対策、解決策を確立するしかない。どうやって?その際にも非常に有効なのが今回のこの「A4裏紙メモ書き」である。メンタル面でのことはここでは深く掘り下げない。別のテーマである、「ゼロベース思考、フラット思考、マインドリセット」のところで改めて見ていきたい。テキスト全体でも核になるテーマ。

 かたや、作業面、ビジネス現場での活用でも非常に大きな効果を発揮する。何か問題がある、解決しなければならないときにどうしたらいいか。この時も様々な考えやアイデアが思い浮かんでは消え、その都度これで行けそうだと思っては次の瞬間にはそれを否定する考えがセットで浮かんでくる。そんなことを延々と繰り返し、混迷に陥る。そんな状況の時、何かいい方法はないか?その代表的なビジネススキル、フレームワークがロジックツリー。ぜひ身に着けたい。やり方や樹を描く方法にこだわることはないが、常に頭の中で、タテ方向に網羅性、横方向に次元階層を意識し、頭の中の無秩序なもやもやを一定のルールに基づいた「作業」にしてしまえば、とりあえず思考整理のとっかかりが出来る。しかし実際慣れてくるまでにはそれなりの練習と時間が必要なのも事実で、その概念の理解へのハードルの高さから、あきらめる人も少なくないのも現実だ。それでは意味がない。このテキストの主要なテーマの一つなので「難しいから無理」と言ってしまえば元も子もないので、そんな人のためにも救いの手がある。この「A4裏紙メモ書き」法だ。

 A4の紙一枚にまとめる方法はトヨタ自動車の現場などでも編み出され、紹介されたり、図解の技法も様々なものが紹介されたりしているが、このメモ書き技法はそれら様々な方法とはちょっと違う。この方法はやはりマッキンゼー出身の赤羽先生の「ゼロ秒思考」という本で詳しく説明されている。以前「朝晩のエクセルやることリスト」法を説明したが、あれよりも取り組みやすいはずだ。この先生のグループでもツールとして大学ノート、革張りノート、ルーズリーフ、ポストイット、PC、スマホアプリ・・・あらゆるもので検証したようで、結果として押しなべて全員に効果の見られたのが、この「A4の裏紙」とのこと。サイズはA4で、未使用のコピー用紙ではなく裏に印字のある「不要な」裏紙ということだ。実際やってみるとこれが毎日の習慣には定着しやすい。この裏紙に書き出したものを、エクセルに入力したり、革張りのノートにまとめたり、そしてその裏紙自体を一枚の付箋に見立てて、ロジックツリーを完成させていくという流れだ。まずはこのメモ書きをお勧めする。

脳を書き「出す」

 メモ書きのポイントは何といっても、何もかも書き出すことだ。脳の中の何もかも片っ端から、小さな断片も残さずに。何も難しいことではないように思えるが、実際裏紙とペンを手に取って向かってみると書き出せない。無数に脳にあるいろいろをどれから書き出せばいいのか選んでしまい、固まる。もちろん書き出すにもいろいろルールがあって、まずは何について書き出すか、テーマ、タイトルを決める必要がある。ビジネス面での解決課題の書き出しをやりたいのだが、頭の中を吐き出すとなるともやもや、イライラ、ストレスもある。すると感情的に色の濃いメンタル面でのことが頭を占め、解決課題になかなか集中してすっと取り組ませてくれない。そしたらまずそのメンタル面の書き出しから始める必要がある。実際には80%以上メンタル面の書き出しに費やさざるを得ないかもしれない。それは無意味や時間の無駄ではなく、重要なプロセスだ。何せ目的は素晴らしい解答を出すことではなく、「何もかも吐き出す」ことにウエイトがある。なので、そのメンタル面での書き出しの際も、書きたくないと思えるネガティブなこと、感情の強く載ること、批判や悪口もすべて書き出すように頑張る。気持ちや感情表現、抽象的でばくっとしたことなど、どう表現していいやらと思えることも、なんとか踏ん張って文字にしてみる。最も言い表せていると思える表現に近づける意識を強く持ちながら。そうすると今度はまた、表現を選びにかかって手が止まってしまうが、ではなく思い浮かんだ表現を片っ端から書くということ。一つのことを言い表すのに、たくさん言い方があふれ、ぐちゃぐちゃになるかもしれないが、それでも最初はそう書く。頑張ってペンを動かす。そのうち自動書記のように、脳内の思い浮かびと同時並行ぐらいで手が動くようになっていく。その時の意識ポイントとしては、誰かに見られてはいけないが、誰かに説明している感覚で書き出していく。とりあえず23枚も書き出せばメンタル面でのことは落ち着くはず。すっきりし、かつ脳も手も活性化している状態で業務面の生産的な解決課題に取り組む。業務面での書き出しも同様に何もかも書き出す。誰かに説明するつもりとはいえ、現実頭にならず、夢も夢想も非現実的なアイデアも、やはり何もかも書き出す。それを否定しにかかるもう一人の声も余さず何もかも。支離滅裂だろうが最初は気にしない。要は、脳のスピードと手のスピードが限りなく近づけたい。

ビジュアル化

 書き出すことによって、その裏紙を改めて眺めてみる。それは自身の脳の中をのぞいているのと同じだ。自身の頭の中の客観把握だ。自身で書いたのに、ふーん、へーっ、と思う。脳に振り回される立場から、脳を全体把握する立場に立つ瞬間だ。脳の見える化だ。これをしばらく続ける。すると感覚が変わってくる。糸のもつれたもんやり感が消えていく。カンがさえてきたり、先を見通す力、推測する力が増す。これがこうだとこうなってああなって、そのうちそうなって、最終的にはああなる。あらゆる事柄についてのパターン化が身についてくる。予知能力の獲得だ。メンタル面でのことも同様に、自身の心理も人の心理も共通項は多いため、自身の心理感情を客観把握し、パターン化が見えてくれば、人の心理感情も見えてくる。読心術だ。「なんでそんなにわかるんですか」と言われ、気持ち悪がられる。

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