戦略思考の心・技・体(24) 技「意思決定・収束技法」(12)~評価基準(2)
❶儲かるか ❷続くか ❸やりたいか 「❷ → ❸ → ❶」「❷55 : ❸40 : ❶5」
キース会のコンセプトは「老後を生き延びる」である。だから「❷ → ❸ → ❶」だ。理想論としてのウエイトの比率は「10 : 0 : 0」。でもこれもおかしい。この理屈の具体的な行き着く先は、絶対につぶれないところに寄宿し、上手に泳ぎ切る、となる。グーグルやアマゾン、トヨタとかだろうか。相手にしてもらえないし、就職もできない。 そして生き延びるためにはお金だけあってもダメで、ガンや認知症を防がなければならない。そうならないための詳しいメカニズムは今は論点が違うので省くが、そうならない為には、一生において、どこかに「向かい続け」なければならない。では「どこ」へ?この問い掛けを自身に問い続けることを止めるという選択肢はない。結構な比率で意識しないと、考えなくなる。それが「❸のウエイト40%」の意味。「❶の5%」というのは、儲かる儲からないは、持続するための仕組み創りのその結果論の位置づけだという意味。仕組みも無い中で、自身の意識下で結果を出そうとエネルギーを割いても非効率だという意味。
「❷のウエイト55%」の意味は、過半以上はこのことに意識を割くべきだという意味。持続するために必要な要素、途切れたら終わってしまうものは、有形面では➀「人」と②「お金」、無形面では③「気持ち」と④「アイデア」ということになる。まず③「気持ち」の部分は、それを支えるのが「❸のウエイト40%」の意味である。ある程度実績が上がってきて「維持」しよう、守ろうという意識が勝ってくると、終わりの始まりだ。ずっと何かに「向かい続ける」しかない。抽象論だが、30年全体を通して相当に重要な論点。④「アイデア」は、これを生み出し続けるためには、「フレキシブルなマインド」と「情報」、そして「知識」。小規模経営者の圧倒的な弱点は知識弱者である点だ。学歴の高い低いとはまた別の話。「フレキシブルマインド」を健康な肉体だとすると、「情報」は食べ物、そして「知識」は水だ。水を摂取しなければ死んでしまう。「読書」を休むという選択肢はない。有形面で➀「人」は、改めて言うまでもなく最重要要素である。実際的な仕組み創りも、その為のアイデアも人が創り出す。そのレベルの人がうちに来てくれるだろうか。うちに居続けてくれるだろうか。そうであったとして、その人たちを活かし続けられるだろうか。「人」の問題は、自身の完成度のあらゆる側面でのバロメーターだ。ここで深く論ずる論点でもないのでまた別の機会に。
最後に②「お金」。❷の「持続」の為の要素としての「お金」と、❶の「儲ける」ことの結果としての「お金」とは別のもの。「お金」を「結果物」ととらえるとそれは「報償」、「ほうび」となり、無意識下の中では一つの「終わり、区切り」を意味し、そして「消費」に向かう。そうではなく、ここでいう「お金」は、「持続」の為の仕組みを創り上げる、「資源」としての解釈だ。見た目の形式上での行為はいずれも、事業でお金を稼ぐことだ。しかし、❶の意識ウエイトが高いと、その獲得したお金を持続のために振り向けるプラン、アイデアがない。環境変化への備えの意識も低く、翻弄されてしまうという当然の結果に帰結する。❷の意識ウエイトが高ければ、その為に何をして、その次はどうすると、常に「向かい続ける」為の資源として、投資に振り向けられる。パーツを一つ一つ組み付ていく。差の為に金が必要だ。一刻も早く完成に向かいたい。いつまでにいくら、どこまでに何円と。内容は具体的になる。これが事業計画。事業の目的は、結果物としての「お金」を稼ぐことではなく、仕組みの完成へ向けての資源投資としてキャッシュフローを回すこと、となる。言ってみれば、事業とはそれがすべてではないだろうか。そういった意味で❷の意識ウエイト過半数以上である。仕組みが出来上がれば、当然、❶の目的は果たす。これが、優先順位 「❷ → ❸ → ❶」、意識ウエイト比率 「❷55 : ❸40 : ❶5」 の理論。