WEB戦略構築(22) マーケティングライティング(6) ~内容・意図によるコピー種類の違い(1) 「バリュープロポジションとUSPの概念理解」
内容・意図によるコピー種類の違い(1)
バリュープロポジションとUSPの概念の理解
まずバリュープロポジションから。バリュープロポジションとは端的に言うと「提供価値」と訳される。「ベネフィット(効果、効能)」とか「強み」とか、それらの意味合いも包含して解釈される。キース会で言うところの「私でなければならない理由」だ。文章として結局、何を表現したいかを箇条書きでまとめると、
1、対象者が利用後に得られる効果効能、変化
2、その中であなたにだけ達成可能なこと
3、それを対象者に刺さる表現で
その中で何を伝えるのかの、その立ち位置や目線としては、商品・サービスなどのこちらの提供する「モノ」の価値ばかりではなく、むしろ対象者の求めていることや得られる効果などの、「心理上の抽象概念」的な価値を重視し、焦点をあてて表現したい。よく言う言い方で「客目線」という感覚だ。ここまでの説明を総称した抽象概念が、「バリュープロポジション」という外来のビジネス単語で、日本語ではすっきりした解釈、説明にも出会いにくい。
一方「USP」とは、ユニークセリングプロポジションの略で、端的に「独特の売り」と訳される。よく言う言い方で「差別化」とか「強み」。アップセールスプロモーションとか言うところもあるが、同じ意味という理解で概ね問題ない。先のバリュープロポジションよりも意味の範囲が狭く、意味としてはバリュープロポジションに包含される感覚だ。しかし通常使われる場面は違う。バリュープロポジションのほうは、マーケティング施策やもっと遡った商品開発とか、企画や案出しするような際、いわゆるブレインストーミングの場面での用語だ。に対してUSPは、もっと実践の営業や販促など、より客に近い場面で、他とのその違いを鮮明に表現、説明するような際の用語だ。USPはあくまでも競合ありきの相対的な差別化価値表現。USPが鮮明になっていないとキャッチコピーが作りにくいし、営業現場でも困る。
USPを鮮明にしたいということに対しては、理解しやすいし、願望順位も高く、常に意識にある。重要なことには違いないが、実際の小規模事業、店舗においては競合との競り合いとかいう以前の問題として、自社の提供価値自体の、その本質的な理解が浅いはずだ。か、もしくは問題意識すらないことが多い。「しくみ創り」のその一貫である以上、何よりもまずは、バリュープロポジションの文脈、ストーリーを整理し、確立することが優先だ。当初からスローガンのように唱え続けてきた、「うちの客はだれ?」、「うちは何屋?」の答えを埋める作業だ。いきなり正解の答えは無理だと心得て、仮説としての文脈を、場合によっては複数本掲げて検証、ブラッシュアップしていく感覚だ。こちらが先に確立していないと、USPのほうばかり考えてもどうしても、ずれやすくぶれやすくなる。