ブルーオーシャン戦略(12) 補足(1) : ブルーオーシャン戦略を考える前提 ~分野、タイミング、開拓
1、生まれやすい分野、生まれにくい分野
ブルーオーシャン戦略というのは産業のすべての分野に当てはまるかというと、必ずしもそうとも言えない。成り立ちやすい分野と成り立ちにくい分野がある。競合との差別化が成り立ち、その差別化ポイントが市場に求められなければ成り立たない。
1、実践しやすい分野
一般消費者向け、いわゆるBtoCなら概ね成り立つのではないか。消費財、無形サービス問わず、あらゆる多様性は成り立ちそうだ。マーケットの規模を問わなければほぼ問題なさそうだ。対企業向け、いわゆるBtoBといえども、消費財や無形サービスなら根本的に多様性は成り立つ。
2、成立しにくい分野
BtoBの場合で、消費財や無形サービス以外の資源や材料など、それそのものの形状、性質で提供してもらわなければならない様な、生産財や産業材と言われるカテゴリーは難しいかもしれない。対大企業へ指定された部品供給する下請け製造業とか、官公庁など公的機関対象の企業、あるいは薬剤、化学物質、危険物など取り扱いに規制のある産業、およびエネルギー資源、天然資源を地球規模で扱うよな産業も難しそうだ。裁量の余地がなければどうしようもない。
2、タイミング
1、市場の成熟度、飽和度
「ブルーオーシャン(青い海)」という表現自体は相対価値表現だ。つまり何かと比較して成り立つ価値表現であり、対比する前提の価値表現がなければ成り立たない。二律背反する相対する二つの価値表現一体で成立する表現であるということ。「レッドオーシャン(赤い海)」と一対である。ブルーオーシャンが求められ、重視される状況はレッドーオーシャンになっていることが前提だ。その現場に携わる人がレッドオーシャンの沸騰度を高く感じていなければ必要性はない。またその人自身が、レッドオーシャン感に打ちのめされたり、終わりかけてもなければ、実感としての「赤さ」「青さ」はピンときにくい。状況の打開欲求がまずはスタートになる。そういった意味では、いつなんどきでも常にブルーオーシャンを目指すということは成り立たない。ブルーオーシャン戦略のそもそもの大前提は、成熟しきった商品、業界であり、飽和しきった商品、業界である。
その中にいるいない関わらず、自社の商品自体の完成度がまだ低い、オペレーションも構築途上、宣伝プロモーション能力がまだ低いなどの要因で苦戦している段階の閉塞感と、レッドオーシャンは別のものであるので、その点は留意したい。
2、潜在価値の多様性
市場の成熟度、飽和度が高まっているということは、市場のみならず社会全体にその商品・サービスの価値が浸透し、定着していることも表す。どっちにしても必要なことは確立している。成熟度、飽和度が高いということは、必要ではあるけれど既存の商品・サービスに、消費者としては飽きてもいることの裏返しでもある。消費者としてはもうちょっとこういうのもあればいいのに、この部分は要らない、この部分だけでもうちょっと増量したものがあればいいのに、バリエーションが欲しい・・・etc.基本の価値は変わらずに、効能上、組成上、表現上のバリエーションが求められてもいることを表す。潜在的に価値が多様化している状況がそこにある。基本価値から派生した多様性も、それ自体が成立する土俵が出来上がっているということだ。という前提準備整っているのであれば、それに対応すればいい。早とちりしてはいけない問題は、「潜在的に多様化」しているのであり、何を形にすればいいのか、何を世の中に出せばいいのかは、「顕在的に特定化」されてはいない、ということ。これなら受けるか、これなら当たるか、その特定作業をする方法がブルーオーシャン戦略。ベンチャー起業家にとっては市場の成熟・飽和、レッドオーシャンはマイナス要因ではない、機会(チャンス)である。