「経営スクール & 経営コーチング」 小規模法人、店舗、個人事業の経営者様向け個別対応による講習とコーチング

経営お役立ちマガジンブログ 経営学習塾キース会 副読本 経営テーマトピックスあれこれと経営の学びコンテンツいろいろ経営お役立ちマガジンブログ 経営学習塾キース会 副読本 経営テーマトピックスあれこれと経営の学びコンテンツいろいろ

【無料セミナー】「経営思考力を高めて」30年儲け続けるしくみ創り

【無料セミナー】「経営思考力を高めて」30年儲け続けるしくみ創り

Link

ブルーオーシャン戦略(14) 付録(1) : 組織内での実践において ~5つの障壁

5つの障壁

 ブルーオーシャン戦略では、組織内での実行上の留意点などについても触れられている。実際の対象者の多くは、ある程度の規模以上の企業のプロジェクトチーム、プロジェクトリーダーが推進していくことが多いということだろう。対ベンチャー起業家の人たちに対しては割愛してもいい部分かもしれないが、付録という形で少し触れておきたい。組織内では実行上、様々な障壁が立ちはだかってくる。対市場、対競合だけではなく対身内にも対策、心構えが必要だということ。自社内の仲間なんだから、心一つにしてみんなで進んでいこう、というわけにはいかない。初期認識としてそういう前提で思いがちなだけに、そのギャップに心理的負担は一番大きいかもしれない。大企業なんかでは、自社内の戦いを克服したんだから、市場も競合もチョロイ、というぐらいだろう。

1、意識

 人類普遍の保守意識。なんでわざわざそんな必要があるのか、という否定感。また余計な負担、余分な仕事が増えるだけという被害意識。当たらず触らず言われたことだけ、自分の範囲だけつつがなくこなしておこうと、お茶を濁す無責任感。なんで自分たちがと、まきこまれて迷惑感。そんなこと聞いてないし、仕事の負担が大きくなるだけで給料はあがらないという不平不満。表に出ないあらゆる不平不満。

2、資源

 予算および人材。限られた予算内での工夫および追加予算獲得のためのプレゼン。そのプロジェクト実行にあたっての適切な人材が存在するか。いたとして、その有能な人材が確保できるか。全社を巻き込み、役員レベルの意識を動かし、一丸となってやっていくしかないという空気感を醸成できる、影響力のある人物を巻き込めるか。

3、士気

 テンション、モチベーション。あらゆるハードルを突破し、少々の摩擦があろうとも乗り越えて見せる、やり切って見せるという推進力、前方向、上方向へのエネルギーの生成と維持。各個人の自覚と責任感。チーム全体の一体感。チームの為に、会社の為にという自己犠牲。このプロジェクトに選ばれて光栄だという優越感。なにはともあれ面白い感じさせられるか。というようなプラス方向への意識転換施策、リーダーの技量、力量。

4、政治

 チームメンバー外の派閥などの人間関係。面白くない同僚、先輩からの足の引っ張り合い。外野からの冷ややかな揶揄。いやらしい裏工作から露骨な妨害まで、ありとあらゆる、あの手この手の邪魔。

5、疑念

 チーム内外問わずのあらゆる疑念。会社やばいのか?このチームに入れられたのは実質的な左遷、降格人事なのか?コースを外されたか?あのリーダーが次期社長候補か部長候補か?媚び売ってうまいこと取り入りやがった?そんなチームが発足したということは我々の仕事の全否定か?会社はどこに向かってどうしようとしているのか?これが成功すれば俺らは奴らの軍門に降ることになるのか?ていうか、こんなことそもそもうまくいくわけないじゃん。なにが新規事業、なにがイノベーションだよ、このメンバーで出来ると本当に思ってんの?もっと現実見ろよ。表に出ないありとあらゆる渦巻く疑念、懐疑的な意識。

 とまあ、ざっとこんなようなことと戦っていかなければならない。現象であるとか、口に出して表に出てくることならまだしも対処のしようがあるが、誰しもが潜在的に抱える、内面のどろどろ、鬱屈した闇の思いエネルギーの塊が相手である。ここを乗り越えられるなら他に怖いものはないだろう。市場やら競合やらという純粋なビジネスの土俵の話はかわいいものである。一人親方や家族経営、小規模経営の経営者はいかに有利かとも言える。

 組織内のリーダーは露骨に敵もあり、かつ仲間もあり、どちらにしても引くに引けない、のるかそるか、生きるか死ぬか、やりきる以外の退路は断たれた状況におかれる。そういった意味ではブレもなく全身全霊集中するしかなく、実行推進のエネルギーも生まれる。かたや一人親方や家族経営、小規模経営の経営者は、そういった意味では進むも引くも自分次第、あきらめる選択肢も退路もある。そんなつもりではなくても、体がぼろぼろになるまでの緊迫感にさいなまれるまでのことはない。上記5つの障壁は自身の心の中に生じやすくなる。もう一人の自分が余計なことに、ひたすらにその役割を負おうとする。中でも保守意識や懐疑意識はとても手強い。そちら側の意識に支配されるときもほぼ無意識だ。2つの意識がもたげたり消えたり、やらなければという思いとのアクセル・ブレーキ状態だ。いまいち推進力が出ない時はこういう状態になっているときだろう。この論点は、組織問わず、経営者自身、実践者自身の内面のハードルに他ならない。組織マネジメントのいかに難しいか、その一端を垣間見させる内容だったが、マネジメントの一番の根幹はやはり、自分自身の心理マネジメント力である。

このページのトップへ