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WEB戦略構築(43) コンテンツマーケティング(14) SNSの質の理解

SNSの質の理解

 SNSの質的な特徴もとらえておくと、「やろうとしていること」と「していること」のずれ、誤差をより抑えられるのではないか。まあいずれにしてもずれる。挙げていけばきりがないが、とりあえず2つの側面だけ見ておきたい。「ロングテール」という概念と、「ニーズの深度・狭度と媒体役割の相関関係」を各図で見てみる。

 

ロングテール 

 ロングテール自体は何度も出てきたが、そもそもが「パレートの法則」に対する相対概念だ。

それぞれの意味は図で。従来の社会の中では、様々なアプローチはすべて8割を占める

2割の人・事・物に対してだ。事業活動においては当然にその効率性が優先される為、より少ない手段・方法、品数、手数で最大の効果を狙う。残り8割もの雑多な手段・方法、品数、手数をかけて、2割を取り合うような労多くして益少なしは採用されない。経済活動の中において、マイノリティに光が当たる道理は基本ない。しかしこの部分に対して「機会損失だ」と挑むのが、イノベーションマインド、ベンチャースピリッツだ。従来難しかったこの部分に対して、インターネット、スマホの普及が状況を変え、この部分に対しても効率的なアプローチが可能になった。

 ロングテールの説明で決まって引き合いに出されるのが「アマゾン」だ。パレートの法則の代表的な業態がコンビニ。商品数はそれでも、数千点から数万点の範囲もある。に対して、アマゾン掲載商品点数は5000万点を超えるとのこと。アマゾンの最初の印象は、中古本のネット通販だった。ブックオフのネット版としか思わなかった。しかしそれでもその書蔵件数の多さには敬服していた覚えだ。ブックオフには欲しい本はほとんど見当たらないが、アマゾンで出てこない本はなかった。読書人にとっては、「すげぇなあー」という「共感」を超えた「崇拝」だ。中古価格1円の本一冊やまさかだれも買わない様な本一冊にまで、サイト1ページを割き、紹介文や書評、AIによるリコメンド欄が設定されていた。マイナー本に一体どれほどの手間と人手をかけているのか、こんなことで事業が成り立つのかが非常に不思議だった。実際、当時膨大な赤字会社で本国アメリカでは投資家から相当なバッシングだったとか。

 本屋さんの時期が髄分長かったように思う。そのうちにCDDVDを扱うようになり、家電、ファッション、日常品・・・と総合ショップ化し始めてからはあっという間だった。地球上のすべての商品があるかの如くだ。たしかに、だれも買わない1円の本にあれだけのエネルギーを費やすことを思えば、それ以外の実物商品の扱い手間なんて余裕だろう。商品掲載や直近の売上よりも、長期戦略に基づくインフラ構築を密かにこつこつ進めていた訳だ。アマゾンが一体何を目指していたのかに気づかされた時には、世界の15%、月に7500万アクセスを獲得する世界制覇が完了していた。

 ロングテールの概念が当てはまるのは、もちろん物売りのジャンルだけの話ではない。人もそうだし、会社もそう、あらゆる場、状況、機会・・・何もかもが概ねこの2 : 8の法則にあてはまる。マイノリティ、少数派の雑多な一つ一つをどう拾い、どう取り上げるか。世界中のベンチャースピリッツが考えている。その一環として考えれば、検索エンジンもそうだと言えるし、まさしく世界中の人口のロングテールを拾う、取り上げる仕組みとして登場、普及、定着したのがSNSだとも言える。無名の会社、一個人に対するチャンスの提供だ。儲けの仕組みとしては広告料金ということになる。従来の、マスメディアや広告代理店による宣伝広告の提供は、お金の払える2割未満の大手から中堅企業だった。それ以外の残りの8割以上の部分に対するマスレベルの宣伝広告の提供がグーグルであり、そしてSNSということ。グーグルのリスティング広告ももはや、ビッグワードはマス広告レベルになりつつあり、今しばらくのSNSの活用意義はそこにある。

 

 

 今まで学んできた内容の中で、マーケティング戦略策定のフレームワークの一つ「ニーズの深度と狭度マトリクス」というものがあった。そのマトリクス上で導線触手となる各媒体をプロットしてみると、その媒体の本質、活用の方向性が見えやすくなるはずだ。左図はそれぞれの媒体がどの象限のニーズに対応しやすいかを表す。

 矢印は、媒体施策のとり方として、より向かいたい方向。戦術各論として、その矢印の向きが各戦術の実行の方向性になる。図全体で言えば、左上はより認知を拡大させ、右下はより訴求が深い。戦略全体として、左上から右下向きの矢印、それがわが社の戦略ベクトルだ。

 「浅い」「深い」「広い」「狭い」自体に難易度の順番を付けてみる。ハードルの低い順に、1、浅くする、2、狭める、3、深める、4、広げる、となる。「浅くする」はそもそも日本語がおかしい。必要以上に深く考えなければそれは「浅い」。要は何もしないこと。「深める」為には、文章訴求力スキルと接触頻度、回数と時間だ。なかなか一朝一夕には出来ず、努力が必要。しかし頑張れば反映する。「狭める」とは、ペルソナの設定条件の項目数とその内容による。大手はそんなに絞る必要もないが、小規模ベンチャーは捕まえられるところまで絞らざるを得ない。「広げる」とは、従来から今に至ってもまだ、基本は「お金」だ。大手にはスタンダードな手法で難易度4ではない。方や小規模ベンチャーにとっては難しいというより、「選択肢にない」だ。

 結局、小規模ベンチャーにとって取り得る施策の方向性は、「狭めて、深める」しかない。それがまずは本質的な前提の話。広げたくてもお金がない。その課題を解消する、かすかな希望として期待されているのがSNSへの評価だ。SNSにはマス広告並みの認知拡大可能性が、他のどの方法よりはある。というより、お金以外の自助努力が反映する余地がせめてある。

  拡散可能性のカギは「共感」だった。共感の獲得と訴求力は同一線上にある。だれなら何を面白いと思い、何ををおおっと思い、言いふらしたくなるのか。だれなら何が心に沁み、何が心に刺さり、感動を伝えようとするのか。極めなければならない内容は、オウンドもSNSも同じこと。狙う効果の役割が違うだけ。

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