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WEB戦略構築(45) WEB制作はなぜ失敗するのか?業者と向き合うにあたって(2) 「WEB業界考察」 ~ 業界構造概観、 価格帯階層ごとの体感記、候補選定し見積り依頼

1、業界構造概観

2、業界実態  「250万」、「510万」、「 100200」、「 10100万 (1030501003050)

3、候補選定、見積り依頼

 

 1、業界構造概観

 まずは業界構造がどうなっているかについて。何か専門的な業界分析本を参照したわけでも何でもない。完全なる主観、というよりかなりいびつな偏見かもしれない。業界の人は納得しないだろが、実際にそう感じさせられたのだから仕方ない。非常にざっくりだが、まず業界を4段階のカーストに分類する。価格分類での表現になるが、単純に高い安いの区分けの意味とも違う。しかし価格帯で分類すると、その層の特徴が括りやすい。詳細はまた「2、業界実態」の項で。

 最上位のカーストが、価格帯250万~300万、1プロジェクトが最低250万から数千万、数億というレベルのところ。広告代理店は除いてweb業界という範囲では、知るところ2社ぐらい。実際にはもう少しあるだろうけど。そんなに大きな会社ではない。後ほど紹介する業者は、スペシャリスト数名程度の会社の規模。実制作は下請けとか客企業の担当部署自身にやらせるというタイプ。指揮・指導、要はコンサルティング業者だ。

 次のクラスが、100万~200万ぐらいの業者。最上位よりも数は多いが、業界の老舗や大手がここにいて、十数社程度か。純然たるweb制作の業者群。

 1つ飛ばして最下層のクラスが、5万~10万の会社。ここは逆にまあまあ準大手で、いわゆる独自開発のCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を提供している会社たちだ。出来合いのフォーマットやパーツが準備されていて、客が自分で制作するタイプのやつのこと。投資開発でお金がかかるので、規模的にはまあまあ大きい会社群。ここもそんなにまだ多くない。一時増えた時期があったが、知る範囲で数社ぐらい。この層は、ある1社が独り勝ちのような印象。

 残る層が3段目のカースト、10万~100万のところ。ここはさらに3層ぐらいに分けられる。10万~30万のクラスと、30万~50万クラス。それと50万~100万のクラス。50万~100万のクラスで業界全体の1割ぐらい、10万~30万のクラスで業界全体の3割ぐらい、そして30万~50万クラスはここだけで実に業界全体の半数、5割ぐらいではないだろうか。この3段目のクラスだけで全体の9割ぐらいの印象。まあ実質、ほとんどここの層にいる会社や人たちになる。10万~30万のクラスは個人の人か、副業で知り合いを対象にやっているような方々。クラウドワークスなどを主戦場にやっているような人たち。30万~50万クラスが、ここがいわゆる業界相場。最低限のHP(ホームページ)30万、LP(ランディングページ)数ページで10万~15万から。ブログやSNSも単体受けで5万~10万ぐらいで、セットや組み合わせで、40万から50万ぐらいにもっていきたい算段。このボリュームゾーンの中から、勝ちぬけ組にあたるような会社、会社と言わずにクリエイター集団という表現をよく見かけるが、そのクリエイター集団が付加価値を乗せて、50万以上100万以内ぐらいを取っているようだ。

 まあまあわかりやすい業界マップのようにも思う。この中で勝ち組というか客が集まるのが、最上位のwebコンサルと最下層のCMS1社、あと50万クラスのクリエイター集団、ということになるだろうか。30万~50万の層の数%10万~30万の個人の何名かは手いっぱいで、他社に下請け応援を依頼するようだ。まあ個人に関しては、1件請け負えばそれで手いっぱいだが。どの業者が評判が良さそうだということを知ったとて、人気のところでは結局、なかなか請け負ってもらえないというのも実情だ。CMS型に関しては、申し込んでパスワードをもらうだけなので、受け入れは無尽蔵だ。このCMS型の勝ち組1社に関して、後で詳述するが、これが「しくみ」の強みだ。業界全体を俯瞰的に分析、リサーチなどをしてみるとより、「しくみ」を持った者の存在感が際立ち、その重要性が理解できる。

 このざっくりとした業界カースト構造を基に、それぞれの層の特徴がどんな感じなのか、ざっくりと見ていきたい。

 2、業界実態

  「250万~」

 各カースト層の業者を23社ずつ程度だが、会って話を聞ければ面談で、セミナーを開催していればセミナー参加で、会えないところは電話やメールで、そして各社のHP、ブログ、メルマガなど各サイトをじっくり読みこんだ上での、感じたことを少々。

 まず最上位250~について。結論だけ先に言うと、上場企業や、中小企業でも一定規模以上の大手企業が対象。小規模零細、商店、個人は対象外。金額的に言うまでもないが、払えたとしても業者側が受け付けてくれない。知識・情報やスキルレベル、意識レベルが一定以上ないと話にならないと。知っている2社のうち1社は、「客でも、固執した意識やねぼけた感覚なら、どやしつけることもある」と言っていた。レベルが低いと、高額払ってどやされるのだ。

 もう1社の方が本題の1つになる。この業界のテーマ全体で2社、とても見本になる素晴らしいと思わされた会社があるが、その1社がまずここ。個人的には「best of web業者」の称号を付与している。こっちが勝手に。この業者はgoogle検索で見つけた。検索ワードは、「戦略的web」、「戦略策定としてのweb活用」というあたりのニュアンスで探した。制作屋としての制作物ではなく、あくまでも戦略の一環、パーツとしてのweb、ストーリーの文脈の中でどう機能させるか、そんな視点を持っており、そこに立脚しながら提案をしてくれるような業者はないのか、と思って探したということ。

 (脱線はじめ) 脱線するが、「検索ワードの模索」、「顧客インサイト」についてのテーマに関連して。私が思っていること、探したいことは、「制作屋としての制作物ではなく、あくまでも戦略の一環、パーツとしてのweb、ストーリーの文脈の中でどう機能させるか、そんな視点を持っており、そこに立脚しながら提案をしてくれるような業者はないのか」ということだった。それに対して実際の検索小窓に放り込んだ、入力したキーワード、表現は、「戦略的web」、「戦略策定としてのweb活用」で、「というあたりのニュアンスをいくつか」だった。数か月後のテーマの軽い伏線として。(脱線終わり)

 検索小窓に放り込む表現のちょっとした違い、単語の配列の違いで、検索される業者が違ってくる。本気で何かを探したければ、検索側の問題意識としては、面倒臭がらずに、きめ細かく、いろいろな表現パターンを入力することが大事だ。

 しかしこの業者場合、「web」と「戦略」という2語さえ外さなければ、ほぼ1位~3位ぐらいには出てきた唯一の業者だった。4位以下は、入力表現を換えるとほぼ違う業者が出てきた。SEO対策のレベルの高さを証明している。で、HPを見てうならされた。まさしく「おおっ、あったあった!」となった。思っていること、探しているものと、ほぼドンピシャに近かった。こういうところと組みたい、こういうところにやってもらいたい、状態に脳が持っていかれた。このテキストで何度も出てくる、「見つけてもらい、流れるように滑り落ちてくる」という目指すべき状態は、この時のイメージが主要な見本の一つになっている。web業者全体に対して、こう思わされたのはまさしく、web業界なのに、この業者だけだった。(もう1社、素晴らしい見本として後ほど詳述するが、それは「「しくみ」の重要性」と「ターゲティングの一致感」としての見本となり、私自身がターゲットではないので、リアルな「あったあった感」には至っていない。)

 この業者のセミナー見つけて参加し、終わってから少しだけ面談させてもらった。その方も曰く、「webの専門部署を持っている企業レベルを対象としている。でなければ話が合わない。それ以下のところとは、知識や意識のレベルを合わせる為だけに、説明、レクチャーから始めなければならず、余計な時間が膨大にかかる。あげくに金額が取れない。」と。おっしゃる通りだ。ターゲティングの重要性を知らしめてくれる。知識・意識のレベルは対応出来ると伝えたら、「1プロジェクト、最低250万からになりますけど大丈夫ですか?」と撃退された。なのに、あちらこちらから引手あまたで、手いっぱいらしい。ここはそんなに大きい会社ではない。プロフェッショナル数名のコンサルファームのようだ。実制作は客企業のweb部門が取り掛かる。それでもその価格が取れ、依頼が途絶えない。

  「510万」

 次に最下層5万~10万についてを先に。CMS提供組のこと。ここも結論だけ先に言うと、最初にHPを作る際は、これから始めればいいのではないか。基本、何度も作り直すということを前提で、最初は安価にスタートするのが普通に無難だろう。最初は見栄えやデザイン重視よりも、決まったフォーマットで、文章表現および訴求力を上げる訓練として、しばらく運用練習するという感覚。この層のとある会社の例で、新規導入費用が5万円、かなり頻繁にキャンペーンをやっており、2万ぐらいの時もある。導入後は、サーバー管理料という名目で月々5,000円。最低継続期間のしばりは4ヶ月。きわめて手ごろに取り組みやすい。当然問題点もある。デザインやパーツは決まっており、必要以上に自分の思う通りには出来ない。しかしまあまあアートレベルも上がってきており、20万~30万とぐらいのHPよりも、こちらの方が見栄えがするようにもなってきている。問題なのはその点ではない。そのCMSは、その会社のサーバー上のソフトになるので、自分で制作する私たちは、その会社のサーバーに直接打ち込み、保存することになる。契約を打ち切り、ログインパスワードが無効になった時点で、アクセス不能になる。そのサーバー上に打ち込んだすべてのデータ、文章や画像、写真、動画、頭をひねった構成やレイアウト案は一切、自身のコントロール下にはなくなり、消滅する。せっかく作ったそのサイトが、web空間に存在しなくなる。なのでいつか卒業するものとして、最初からコンテンツの保存と次の運用策を考えながら導入する必要はある。

 この層も数社あるが、この中で最も著名で、1社勝ち抜き感のあるある会社が、やはりおすすめだ。その理由は、その会社が発信しているコンテンツの、戦略クオリティによる。内容のレベルが高いとか、他では知れないレア感があるとか、そうではない。ターゲティングと、そこに対する発信内容の一致感が見事だ。取り上げる「テーマの選択」と、そのテーマの「表現の切り方」、そして特筆なのは、「目線の落とし方」。内容自体は、極めて基本的なweb知識で、それをさらにわかりやすい言い方をしている。読むにあたっても、理解をするにあたっても一切のストレスがない。なので当たり前すぎて、それが素晴らしいと気づくこともない。しかし結局いつも読まされ、参考にさせられる。

 この会社を利用するターゲット層はやはり、web素人、マーケティング素人の人たちになる。「難しいことはよくわからないけど、HPは必要で、それで集客したい。とにかく安価で。」と思っている人たちだろう。事実、その人たちが利用している。その人たちに対して、一番わかってないといけなさそうなテーマを、その人たちの理解程度を前提に、なるほどと思える落としどころを難しくなりすぎず、かえって迷わない程度の丁度いい理解進捗に着地させている。ターゲットに対する「レベルの合わせ方」が、絶妙の一言に尽きる。ターゲットペルソナの的確さ、戦略と戦術の一貫性度合、見事な見本の具体事例だ。まあでもこの会社のサイトを見ても、そこまでピンとくることもない可能性のほうが高い。自身でそのことに死ぬほど悩んでも見ない限り、なかなかそこまで素晴らしさ、見事さも見抜きにくい。

 「なんか安っぽいホームページ屋やな。簡単そうに手数、言葉数を費やしてるけど、ちゃんとしたもの出来るのかなあ。後々営業も面倒臭そうやな。」と感じるなら、その人の意識がまだ、発信側、伝達側の意識にシフトチェンジしてないということ。正直、数年前に一度ちらっと見たときは、そう思ってしまった。その後の学習、レベルの進捗に伴い、そのすごさを理解するに至っている。現在では実は、この会社の紹介パートナー制度に登録している。だから賞賛しているのではない。賞賛に値するその結果として、その会社のサービスを紹介するという、アクションに至っている。別に何らのメリットも利益もないが、これだけのものを創り上げたことに対するリスペクトだ。自身はターゲットペルソナに当てはまってないのに、共感させられて、ファンになって、その会社に利益をもたらさせられている(自身は利用してないが)。社長さんに会ったわけでも、面談したわけでもない。純然たる、サイトのみ、文章のみで感化させられ、脳を持っていかれている。実際にそういうことはある、という事例であり、証明だ。目標とする一つのモデルとして、紹介まで。

  「100200万」

 続いて上から2層目の100万~200万について。会社規模で言えばこの層が一番大きい。HP制作を一番初めに始めた老舗や業界規模No,1のような会社群。最上位のコンサル専門ではなく、基本は制作屋。その制作プロセスを細分化、専門化させ、コンサルティング制作のような進め方をする。電話営業がよくかかってくる、営業熱心なのがこの層。営業部門だけで1つ、専門部署を持っているレベルということ。ということなので、1社当たりの従業員数は100人規模の大所帯が多い。一般企業のように縦割り組織が形成されている。営業、企画、ディレクション、デザイン、画像・イラスト、写真・動画、ライター、一通りすべての部署を自前で持ち、すべて専門の別の人。100万単位で何本も取っていかなないと、回らない。

 見栄えのする、機能豊富な高級そうなサイトを提供してくれる。「お金をかけただけのことはある」、とは思わせてくれる。しかしどこまで行っても、制作屋であり、さらに言えば、制作物のメーカーでもなく、その本質は、物品販売の「営業会社」だ。その根本理解の有る無しで、業者側の意図のくみ取り方が変わってくる。戦略のパーツとか、しくみの一環とか、対応としては話は合わせてはくるが、私たちが考えているような深い意味では、考えてくれない。私たちが欲しいのは、web上にあるしくみであって、制作物ではない。しかしこの層の会社は、制作物の納品をして、その対価としての料金であることをきっちりと詰めてくる。客のエスカレートする要求や必要以上のややこしい話には、いかに巻き込まれずに、さらっと納得してもらうかが、腕の見せ所だ。1人の客にいかに時間とエネルギーをかけないか、効率性は徹底している。料金体系も契約内容も「何を引き受けるのか」も、きちんとシステマチックに決められている。でないと、客との間に齟齬があって、トラブルでもあろうものなら、それが最悪なので。大企業にとっては、コンプライアンス・ファースト。それなりの金額を払うのだから、こちらの意図が伝わり、ある程度までは要望が通るとか、期待過剰になると、しっくりこないもやもや感が大きい可能性が高い。あくまでも、すばらしい「モノ」を提供してくれる。アイデンティティだ、導線だ、しくみだ、などと、分不相応に言っているような小規模事業者は基本、どこの層の業者にも面倒臭がられる。これは基本、webコンサルの領域の話になるので、「制作業者」とはそもそも、論点は合わない。そこを前提とする必要がある。

 この層はどの会社も、料金の取り方はほぼ共通していて、5年リース形式が多い。60ヶ月ラ月々2万でトータル120万、月々3万で180万、だいたいこの辺での落としどころになっている。償却資産としてではなく、リースにすることにより、その都度月々の経費で落とせる。リース完了後に、償却済みで自社所有物になる。リース会社を挟むので、リース中はそのリース会社の名義の資産ということ。会計上、キャッシュフロー上、一般的にその方が助かる。コピー機のリースなんかと同じ方式だ。一括払いドーンで「高いなあ」と思われるより、月々薄く、永続的に固定費化させることにより、客の意識から消しやすく、その後のクレームや不満につながりにくい。「高い買い物をした」という意識が残り続けると、その損得を永遠に思い続けられてしまう。こうなると、人間心理としてはたいがいは、費用対効果について、「下手な買い物をしてしまった」か、もしくは、「賢くはなかったな」に落ち着いてしまう。であれば、賞賛する口コミは書かないし、ましてや、だれかに紹介しようとは思わない。生命保険の売りかたなど、心理マーケティングの一つだ。

 当該web業者にとっても、リース会社から一括で入金があるので、キャッシュフローの対策も方法完備されている。大所帯の販売会社はどこでも常に、継続的な利益確保に頭を悩ます。納品して終わり、というわけにもいかない。リース期間中は継続的に、各種サポートをしてくれる。しかし、そのサポート料金を取るわけでもない。月々のリース料金に含まれているということで、お得なサービス感を感じさせたい。「ちゃんと、ずっとタダで面倒見てくれるんや」と。アクセス解析「もどき」のようなことをしてくれて、色々とアドバイスをしてくれる。5年もあればその間に、客側に様々な変化が生じ、サイト変更の必要性も生じる可能性が高い。継続的に、メンテナンス、手直し、作り替え・・・などをいかに取れるか、も新規獲得以上に重要になる。まあ、この話はすべての層の業者にとっての課題でもある。サイト運用については、1回作って終わり、にはならない。うちの事業がいつかステージアップし、対外の体裁的に、見栄えのするサイトが必要になった暁には、この層にすごいのを作ってもらいたい。

  「10100万」

 続いて上から3層目、10万~100万について。業界のメイン相場、最大のボリュームゾーン。実際にはこの層の、さらにどの層の業者と向き合うか、それがリアルなテーマになる。この層はさらに3つに分けられ、10万~30万の層と、30万~50万の層と、50万~100万の層に分けて見ていく。

 まずは10万~30万の層から。個人でやってる人、若しくは副業の人たち。副業の人は業界にいながら、内緒で知り合い対象にやっている人と、違う業界で勤めながら、アルバイト感覚でやっている人とか、千差万別。個人業の人たちは、クラウド型コンペに登録している人が多いようだ。と、思いきや、ああいう形での受発注は失敗する典型だと、完全否定する人もいる。自分は制作屋でなく、コンサルタントだ、という人や、マーケターだという人、逆にアーティスト風情の感覚の人・・・この層は完全に意識がバラバラで、特徴の共通項で括れない。1人でやってたり、1人で請け負っているので、基本、まあまあ自信の有る職人気質の人、逆に1人でお気楽にぼちぼちやってる感覚の人、レベル差もバラバラ。差別化の自己表現も、熱の高い人とノータッチの人と。

 web上で探すというのが前提なので、差別化自己表現をサイト上で行っていない人、クラウド型コンペだけの人、副業バイトの人は、この実態レポートの対象外になる。アクセス不全なので。しかし、この対象外の人たちは水面下で、実際にはよく仕事を取っている印象だ。知り合い対象に、きわめて安価に手軽に、「やってあげるよ」で、個人業の人や商売屋さんたちから依頼を受けているケースが多い。正規に熱心なweb業者が、ただでさえ熾烈な競争にさらされているにもかかわらず、なぜこうなるのか?この傾向が、「web業界のわかりにくさ」の象徴的な現象を表す。依頼する側の個人業や商売屋さんたち、資金弱者、情報弱者の人たちにとっては、web制作に対し、どうしたらいいかがまったくわからない。失敗しないように、業者をどう探し、いくらが適正なのか、何を作ったらいいのか、ほぼ盲目的にわかっていない。に対して、web業界はほぼ無頓着に、業界同士で他社との違い、個性表現になってしまっており、情報弱者に対してのケアは皆無に近い。

 先述した、CMS型の業者サイトを賞賛した理由は、この背景による。この状況に対応しようとしているのは、たった1つ、その会社だけだ。その「web制作に対し、どうしたらいいかがまったくわからない」マーケットは、かなり膨大で、そこに着目したということ。このマーケットは文句も多く、信用もせず、あげくに金もとれない。だから対象にはしない。多くのweb業者にとってはそういうことだろう。まあこのマーケットの人たちは、その、手を差し伸べようとしているCMS会社のサイトにもたどり着けないし、たどり着いたとしても、ろくに読みもせず、本当に大丈夫?となるのが実態だろう。で、結局、「知ってる人に頼む」となる。「○○さん信用できるんで」、の世界だ。

 経済原則の、社会構造の下半分はその原理、「○○さん信用できるんで」、「知ってる人に頼む」、で動いている。その社会構造自体、良いも悪いもなくどうしようもない部分だが、経営の観点から、そのことがいかに弊害をもたらしているのかは、さんざん述べてきた。「そこからの脱出」、これは、よほどのメンタリティがないと抜けられない。下半分にいながら、社会構造に抗う、社会に立ち向かうことになるからだ。極端に反発孤児、孤立するということでは、もちろんない。が、自身の内面、脳内意識は、このメンタリティがないと、永遠なる「丁半博打経営」から抜けられず、このCMS会社のようなビジネスモデルを確立するということは、いや、発想するということ自体が無理だろう。

 話が本旨とずれたが、この個人業系、副業系の人たちは、当たりはずれが他のどの層よりも大きい、ということは単純に言える。中にはガチの実力者の方もいるが、この人たちは、基本手いっぱい。何をもって当たりはずれというのか、ということがテキストの冒頭のテーマなので、後ほど見ていくが、まずは、「前提の立ち位置の違い」を鮮明にしようとする意識のある人がまれにいる。自分は、コンサルタントだ、マーケターだと言う人たち。要は、制作屋、大所高所からの視点の抜け落ちた職人ではない、ということを言わんとする人たち。我々とは話が合いやすそう。と期待したが、コンサルタント、マーケターの範囲が広すぎ、認識の程度の差が大きすぎる。一旦かみ合わないと、その乖離は逆に大きい。これらの実力者、意識の高い方たちは、10万~30万の層で述べているが、この人たちは付加価値も高く、制作を他に回したりするもするので、結局高い。個人でも、50万越えの層になる。それ以外の個人業系、副業系の人の多くは、アドビソフトやワードプレスを扱えるぐらい職人さんになる。素人さんには、何がいいか悪いか、業者見立ての難しい層に思う。

  続いて50万~100万の層を先に。ここは、30万~50万の層から一歩抜け出した、勝ち組系。力はある。こだわりが強い。なんといってもプライドがあり、色々注文つけられたり、後々指摘が多かったりすることは嫌がる印象。そうならないために、作成前の打ち合わせ、企画段階に時間をかけ、慎重を期そうとする。もっと言えば、その前に客を選ぶ。ある程度、もう任せる、という姿勢でいけて、100万弱の一括資金があれば、この層で業者選び、相見積をとれるといいのではないか。ただ大阪ではこの層が薄い印象。実際にあたった数社は、いずれも、相見積の土俵に乗せられること自体を嫌がる。電話のやり取り段階で、「あっ、こいつややこいな」と思われれば、その場で断られる。思った以上に強気だ。100万~200万の大手層、および5万~10万のCMS層は、所帯の大きい企業はなので、一般企業のように、顧客対応は丁寧。しかし、この層は会社というより、「選りすぐられたクリエイター集団」という意識が潜在的に感じられるので、こちらの規模によって、基本、上から目線に感じる。まあそいうことに引っかかると、その後の付き合いなども難しい可能性も高く、あとあといろいろと言いにくいだろう。何を重視しているかの意識の差も、会社ごとに違いが大きい。その違いは、さすがに比較的わかりやすい。もちろん一概に言えないし、その会社によるし、最終的には「その人」による。認知できる範囲で、数あたってみることではないか。当たりの確率は、他のどの層よりも高いとは、単純に言える。

 ではいよいよ、30万~50万の層について。まあ、ほぼこの層にいる。実際の業者選びはここになるのでは。一番初めは予行演習感覚でCMS型から始め、いよいよあらかたのサイトイメージが出来た段階、掲載内容は?、必要ページ数は?、HPなのかLPでいくのか?、ブログの連動は?、SNSの連動は?、見本サイトは?、オファーは?、・・・これらに対する回答が出せるようになった段階で、これらの課題を満たすものを創っていくことになる。この制作ももちろん最終ではなく、さらに次のステップのひな形、たたき台なので、100万規模ではなく、数十万の予算検討になるのではないか。ということで、実際の、対業界、対業者との向き合い、真剣勝負の第一戦、第一ラウンドは、この層の業者になるという前提。ここにいる業者の意識、感覚は、話を単純化させ、先に述べた、10万~30万の層、50万~100万の層のあいだ、中ぐらいの意識、感覚というとらえ方で。

 独自CMSのレベルまで、完全ソフト化ではないが、今どきの実制作はほぼワードプレスをベースにしているようだ。(※まあワードプレス自体がCMSの代名詞なのだが、このテキストで言うCMSは、その会社でオリジナル作成したもののことをさし、ワードプレスとは区別する。) なので、あらかたのフォーマットはあり、サイトパターンも限定的で、主流の作成方式、デザイン方式、もあらかた決まっている。これだけ文字数を割いて、それぞの違いを述べてきたが、正直ぶっちゃけ、出来上がってくるサイト自体は、「少々どこでも一緒」、が結論と言えば結論になる。出来上がってくるもの自体にそんなに大きな違いを期待しても、そもそも難しい。

 ならば、今まで見てきたのは何のためだ、ということについて。カーストに分けて、特にわかりやすい特徴は説明した。なぜそんな一見どうでもよさそうなことに文字数を割いているかといえば、その目的は業者選びで失敗したくないからだ。本当は業界の構造や業者の実態を知る以前に、こちら側が何が失敗で、何が成功かを整理する方が先だ。それについては後述する。「突っ込んで聞いて」、「意識レベルの差」を見立てて業者を選べるようになりたい。その向き合うであろう業者群は、ここで述べている30万~50万の層と、やはりもう一つ下の10万~30万の層ということになるだろう。この2つの層は持ってる問題意識も対応力の程度差も、てんでバラバラで、格差も非常に大きい。ある程度括りやすい特徴が見立てにくい。で、この2つの層だけで業者全体の78割のボリュームになる。結局、ランダム、バラバラの大量の業者群の選択肢の中から当たりを見つけていかなければならない。かつ、他の層と違い、これらの業者群はそもそもアクセス不全でもある。web業者なのにサイトがわかりにくい、見つけにくい。下手したら、ない。まあ、サイトのないところは選択肢外にはなるだろうが。  ある程度思った通りのサイトを作ろうと思えば、この膨大な選択肢の中からあたりを見つる力量が必要になる。業界構造や業者実態を分析したところで、結局あまり用をなさない。まずはこちら側が「業者選定力」を極めるしかない。「プロに頼む、任せる」、一体何を?最低でも意識の180ー反転は必要だ。

 

3、候補選定、見積り依頼

 で、実際のアクションとしては、まずいくつかの選択肢に絞る。見積もりを取る業者を10社程度までは絞りたい。会って話を聞く業者は、50社はかなりきつい。30社ぐらいまでは絞れるようになりたい。問い合わせようと思う、候補のリストアップ段階で100社以内に収まればいいが、実際には50社ぐらいまで絞れる見立て力はつけたい。サイトを見る業者数は、200300程度では判定力はついてこない。えっ、そんなに面倒臭いの!?となるが、でも本当にそれぐらいでないと、自身の中で何かをつかむことは難しい。もっと効率のいい方法はないのか?とっておきの方法、おすすめ業者・・・は、ない。普通に、愚直に、検索して探す。単語の入力の仕方など、探し方自体を工夫しながら頑張る。口コミサイト、ポータルサイト、まとめサイト、おすすめサイト、一括見積サイト、クラウドコンペサイト、・・・死ぬほどあるが、根気よく、何日もかけて。

 「紹介」については、「面倒臭いし、きりがないのでもう紹介してもらう」は、何度も言っているが、キース会としては「非」推奨だ。メンタリティとして、弊害が多い。紹介自体がダメだというわけではもちろんない。紹介も主要な探し方の1つに違いない。紹介は効率的で確実性も比較的高く、はずれ回避には効果的には決まっているが、後々の断りにくさも伴う。なので、むしろ最後の砦、最終手段にしておきたい。

 いくつか候補が上がったら、通常はまずメールフォームに入力させられ、後で電話がかかってくる。電話の段階で、客を追い払おうとする業者も実際にはある。「ご予算はおいくらでお考えですか?」と。こちらの回答額より高い額面で「最低○○からになります」と、「じゃあいいです」と言わされる。こういうところは、今手一杯か、顔の見えない客には警戒をする。それこそ紹介しか受けないかもしれない。電話だけで話を済まそうとする業者も基本、気がない。逆に、前のめりで営業が行くと、アポを入れてくる業者もある。業者側のレスポンスはあまり気にしない。おすすめは、こっちが行くことだ。「伺って話をお聞きしたい」と言って、断らないところは基本、すべて会ってみる。収集できる情報の度合いが格段に大きい。

 面談して何を聴くのか?「きく」というのは、質問して聴くのではない。こちらが何をしたいのか、何を望んでいるのか、積極果敢、前のめりなプレゼンをして、そのレスポンスを「きく」のだ。どこまで意向をくみ取ってくれるのか、それに対し、何が難しいのか、その「説明力」、およびその人が「どういう言葉を持っているのか」、これがまずはポイントになる。拍子抜けのように、軽く安請け合いするケースは要注意。こちらは、けっこうややこしい、分不相応な困難なことを言っているはず。であれば、時間がかかるのか、手がかかるのか、そして金がかかる。そこに対して、「どういう説明をしてくれるのか」だ。優秀かどうか、誠実かどうか、任せるに足るかどうか、結構見えるものがある。

 実際に見積もりを出してもらおう。この人いいなあと思える業者は高くなるケースが多い。説明もきっちりしてくれるが、料金体系もきっちりしている。こちらの要求の高さに対し、基本の見積もりに、プラス項目が増えていき、きっちり意味を説明してくれて、40万~50万が落ち着きどころになる。あるいは「おっしゃっていることは、それはもうコンサルティングになるので、コンサル契約として別料金ですねぇ」となり、制作物の納品とは切り分けて説明してくれる。こういうことは当たり前ではない。きっちり切り分ける体系があり、意識を持ち、説明できる言葉を持っている業者は、よほどのレベルになる。ほとんどは区別すらない。ということで、残念ながら、優秀な当たりの人を見つけても、結局高くなる。想定予算内ではなかなか収まらない。30万で収めようと思うと、今受注を取りたいところか、もしくは、いいのか悪いのか非常にわかりにくい、レスポンスの弱い引き受け系の業者か。今取りたい系は、むりぐり、予算に見積もりを収めてくる。こちらの要求を削ってくるくらい。「また段階的にやりましょう」という提案になる。引き受け系は女性が多い。なんだか無抵抗で、どこまでわかってくれているのか不安を感じる。しかし、知識、技術、アートセンス、対応レスポンスは一定のレベルを保っていたりする。掘り出し物大当たりか否かは、もうやってもらわないとわからない。

  無抵抗、引き受け系で依頼する場合、最初は身をゆだねて任せるが、その様子によっては、向き合うスタンスを変える必要もあるかもしれない。もうこちらがほぼすべて、制作ディレクションするぐらいの覚悟がいるかもしれない。文章・コピーはもちろん、レイアウト、アートセンス、配色、画像、そしてオファーへの流れ、ユーザビリティ・・・すべて自身で勉強し、自身でその責任を負うぐらいの姿勢が必要になる。webディレクターが、下請け業者に発注したのと同じ感覚だ。そこまでの想定をしていていい加減ぐらい。この手の業者は、忠実に再現、対応しようとしてくれるが、自らの意向や意思を示そうとはしない、提案力は皆無なケースがある。徹底したトラブル回避志向が染みついている、責任回避タイプの人たちが多い。言われたことはレベル以上に仕上げようとはするが、能動的なクリエイティビティなんぞは示せない人たち。こちらが、徹底的に細かなところまで指示する必要さえある。それが出来ない、無理なら、やはり満足できるものを創ることは難しい、と思った方がいい。

 見積もりを出してもらう上で留意しておきたいことは、業界には基本価格があって、ない。「ご予算いくらですか?」の質問に対して、30万だと業者選択肢がぐっと減る。50万だとぐっと増える。大体どこでも、回答した金額で見積もり額を合わせてくる。より良い選択肢、当たりを見つけたいとなると、どう回答しておけばいいか、以外に難しい。「30万ぐらいで収まれば理想だが、内容によっては、40j万~50万ぐらいまでは見ておかないととは思っている。」業者泣かせの名回答になると思う。しかし、ある程度しほれて、「ここだ」と真摯に向き合い始めたら、互いの腹を正直に伝えないと、業界はわりと淡白で、さっと引いていく。営業熱心なのは、100万~200万の層ぐらいになる。

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