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税務・承継

オーナー経営者VS税制改正(6) 25年度改正内容・論点解説 03 ~上場、非上場株式間の損益通算不可に01

 先回からの続きで証券税制、金融所得課税の一体化関連から、「上場株式と非上場株式の譲渡損益の損益通算は不可に」ついて、オーナー経営者VS税制改正(3)の記事太字部分

【 例えばリーマン・ショックのときに上場株式についてはたいてい損失が出たわけですが,この譲渡損失を被った方が中堅企業のオーナーだったりすると,中堅企業の株式.つまり非上場株式を保有しています。このオーナーが創業者であれば,最初に1500円ぐらいで取得しているものが,1万数千円になっていますから,売却すれば譲渡益が出るわけです。これらの株式を自分の持株会社や後継者に移転して,譲渡所得課税によって損益通算するということもあったようです。こういうことはできなくなりますね。】

の部分について見ていきたいと思います。

この件での論点を整理すると、まず、

 1、株式譲渡損益の損益通算

 2、中小企業オーナーの事業承継

という論点次元の違う2つのテーマに大きく分けたほうがわかりやすいかと思います。さらに、1、株式譲渡損益の損益通算のテーマを細分化して、

 1-1、上場株式と非上場株式の違い

 1-2、譲渡所得

 1-3、損益通算

 1-425年度の改正

ぐらいずつに分けて見ていき、もう一つのテーマ2、中小企業オーナーの事業承継については範囲が膨大すぎるので、今回関連する範囲内で、 

 2-1、そもそも「株式」とは

 2-2、自社株の承継と税務の観点

 2-3、高額な課税VS節税対策

 2-4、「一般取引のない非上場株式の譲渡益」とは

 2-5、自社株の譲渡・移転の各種節税スキーム

ぐらいに分解して、とりあえず簡潔に見ていきたいと思います。

 

1、株式譲渡損益の損益通算

1-1、上場株式と非上場株式の違い

 上場株式とは説明するまでも無く一般的な、株式市場に上場している、取引相場のある、誰しもがその株価を知ることの出来る株式です。一般の方が、その企業の議決権を意識して取得することはまず無いので、単純に証券会社で取り扱う金融商品という位置づけです。保有をしていれば、配当のある企業ならば配当金や商品券などがもらえます。しかし多くの方が購入する目的としては、値上がり益を期待してのことかと思います。買ったときよりも売った時点が高く、利益が出れば「譲渡益」として譲渡所得となり、税金が課せられます。その逆で損失が出れば「譲渡損」となります。

 方や、非上場株式とは字の通り、株式市場に上場していない株式です。小さな会社であろうと、株式会社であれば株式を発行しています。会社をつくる際に資本金を出資しますが、その対価として出資者、社長さんが保有しています。特別な事情や場面でない限り、売ったり買ったりはしません。同じ株式といえども存在するフィールドも人々の認知、認識の上でも、全く別物です。一般の人にとって非上場株式はまず関係ありません。

1-2、譲渡所得

 自分の所有物を他者に売り渡すことを「譲渡」といいますが、そのすべての行為を譲渡所得とするわけではなく、事業所得、雑所得、山林所得、非課税になるもの、それぞれ定義が決まっています。譲渡所得にみなされるものはざっくりと、高価なもの、贅沢なものぐらいの理解で。主には不動産とそして今回の関連として株式が該当します。株式の値上がり益は譲渡所得として課税対象となり、値下がり損は譲渡損として損益通算の対象となります。

1-3、損益通算

 申告の際、一般的に損失が出ていればその損失を翌年以降に繰り越して、利益から引き算出来るのと同様に、各所得段階でも利益と損失で引き算して相殺することが出来ます。どの所得とどの所得、引き算する順番等複雑なルールがあります。その中で、株式での損失、譲渡損も他の所得からは引き算できませんが、株式同士の中では引き算していいことになっています。一般的な株取引では、中には確定申告する人もありますが、その多くは証券会社の特定口座内でその処理がなされいます。ルールとしては株式同士の引き算はオーケーですから、上場か非上場かは区別が無く、今回の記事にあるように、一般的に取引のない非上場株式の譲渡益を一般的な取引の上場株式の損失、譲渡損で引き算し、課税所得を減らし、節税に活用していたということです。

「一般的に取引のない非上場の株式の譲渡益」とは何ぞや?これについて「2、中小企業オーナーの事業承継」で見ていきます。

1-425年度の改正

 そして25年度の改正で「株式等に係る譲渡所得等」の枠組みが見直されることになりました。一般的に非上場株式を保有している人は多くありませんが、非上場会社のオーナー社長さん方が、上場株式の譲渡損益と非上場株式の損益を通算して節税を図るというようなことが実務上は行なわれていたようです。今回の改正により、平成28年1月1日以降は、株式にかかる譲渡所得が「上場株式に係る譲渡所得等」と「一般株式等にかかる譲渡所得等」に区分されることになり、上場株式と非上場株式の間での損益通算は認められなくなりました。  (続く)

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