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事業承継スキーム(10) 「一般社団法人」「信託」(2) ~一般社団法人とは

今回は、まず「一般社団法人」とは何かを見ていきたいと思います。法人形態も株式会社以外にも色々あり、その中の一つです。他にどういう種類の法人があり、それらと比べてどう違うのかを説明すればわかりやすいかもしれませんが、「法人」の全体像をモレ無くダブり無く説明するのは膨大すぎ、主旨が変わってしまうので、またの機会にしまして、一般社団法人の概要だけに留めたいと思います。

一般社団の「一般」の意味から見ます。一般ということは対語として一般じゃないものがあるということで、「公益」に対しての一般になります。公益法人と言うカテゴリーの中に財団とそして「社団」があり、公益性のない社団なので「一般社団」です。公益と認められるには認定の基準があり、それ以外のものということです。

利益追求組織というニュアンスで株式会社を捉えるならば、一般社団はそういうニュアンスではなく、紳士クラブのようなもの、という説明が良くなされています。人の集まりに法人格を持たせる、というような主旨です。設立には構成員(社員)が最低2人必要です。

利益追求してはいけないわけではありません。NPOなどとは違い、基本的には事業内容に制約は無いというのが特徴でもあるので、普通に収益業務を行なうこともできます。「一般」ですから、公益法人や宗教法人のような非課税特典はありません。通常の法人課税が適用されます。

最大の特徴は、資本制度が無い、法人としての資産の持分が存在しない、というところです。設立に際しての出資金、資本金が必要ないということです。わかりにくい部分ですが、株式会社と決定的に異なる部分であり、相続や事業承継の場面で、その活用がクローズアップされているゆえんの最たるところです。

「資産の持分が存在しない」のがどういうことかを理解しようとするのは難しいですが、では「ある」のがどういうことかといえば、それがいわゆる「株式」です。貸借対照表の絵をイメージしながら。株式会社を設立する際に資本金をその会社に入れます。金融機関からも借り入れて、必要な機器や設備を購入します。事業活動から上がった利益を蓄積していき、段々と総資産が増えていきます。左側の資産から右側の負債を引いたのがこの会社の「純資産」の額であり、会社の値段であり、全株の価値です。

通常、オーナーが100%株主なので「持分」という表現は使いませんが、複数の人で分け合って持っていれば、それぞれの人が持っている株式の割合が、その会社の資産の、その人の「持分」です。株式会社の所有する資産は最終的には、その会社の株を所有する個人の資産に帰結します。ですからその資産は当然、相続財産としてカウントされ、課税の対象資産になるということです。

社団法人はそうではなく、株という概念はないので、その構成員(社員)個々に帰結する、資産の持分は存在しない、ということです。その法人にいくら資産の蓄積があったとしても、ということです。それはその会社の社長(代表理事)であっても、ということです。

社長でも、お金をもらえないということではありません。給与の支給は普通に出来ますし、なんら制限があるわけではありません。事業活動そのものは通常の法人と同じです。「剰余金の分配」は禁止されています。株式会社で言うところの株の配当です。それ以外は通常の会社の運営と同じです。

と、ここまでの内容を踏まえて、なにゆえ社団法人が注目されているかといえば、相続の場面です。株式会社のオーナーが死亡すれば、その所有する株式価値が一定以上の高額であれば相続税が掛かりますし、それを防ぐ為に生前に贈与をすれば贈与税がかかり、後継者が買い取るにも多額の資金が必要で、その引き継ぐ方法がなかなか難しいことを、今まで見てきました。

一方、一般社団法人であれば、その代表者であってもその個人に帰結する資産はないので、死亡に際しても相続は発生しません。後継者をその一般社団法人の社員にしておき、先代亡き後、理事、代表理事のポジションを引き継げば、多額のキャッシュアウトを伴わず事業継続が可能です。このあたりのルールをどう当てはめて適用するかというスキームです。

但し、じゃあ今の株式会社を一般社団法人に変更すればいいかと言うと、そんな簡単な話でもありません。基本株式会社は一般社団法人への組織変更は不可です(一般社団法人設立の社員の1人に法人がなることは可能ですが)。一見合理的に活用できそうな節税策には当然、租税回避防止の規定があります。それと、資産持分が存在しない点では相続税はセーフでも、結局その資産は最終的にどうなるのか?

そのあたりについて、次回以降見ていきたいと思います。その前にもう一つ、「信託」という内容についても見ていき、スキームのパターンを見ていきたいと思います。

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