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事業承継スキーム(17) 賃貸不動産(4) ~評価減効果・ケース比較(1)

評価減効果・ケース比較(1)

今回から、ケースごとの評価減の効果を見ていきたいと思います。

土地所有者が賃貸住宅を建築した場合

土地所有者以外が借地権を設定して賃貸住宅を建築     した場合

土地所有者が同族法人を設立し、賃貸住宅を建築した場合でかつ、

 ③-1借地権を設定する場合

 ③-2相当の時代を払う場合

 ③-3無償返還届を提出する場合          のそれぞれの各ケースについて。

まず設定条件を一律にします。設例として

 自用地(200)評価額 : 2億円        ・自用家屋の評価額 : 1億円

 借地権割合 : 60%             ・借家権割合 : 30%

 借地権設定の権利金 : 12000万円     小規模宅地の特例「貸付事業用宅地等」は満たす

 相続税率 : 50%                                       として。

計算上わかりやすいように一律、設例での単純設定としますので、相続税額は正しい数字ではなくイメージです。

土地所有者が賃貸住宅を建築した場合

この場合、自用地は「貸家建付地」、自用家屋は「貸家」の評価となります。

「貸家建付地」としての評価額は  2×(1-0.6×0.3)16400万 となり、自用地との差額は   2-16400万=3600万・・・1

「貸家」の評価額は   1×(1-0.3)7000万  となり、自用家屋との差額は   1-7000万=3000万・・・2

何もしない場合と➀との評価額の差は  126600万  となり、相続税額の削減効果は  6600×50%3300万  となります。

何もしない場合の相続税額は   (2億+1)×50%15000万・・・3

賃貸住宅にすると   (16400万+7000)×50%11700万・・・4

税差額は   343300万   ということです。

さらには「小規模宅地の特例」が適用出来るという設定ですから、自用地の面積が200㎡だとすると、200㎡までの部分が評価額の50%評価になり、 16400×50%8200万   の評価額となります。

「貸家」評価と足して、相続税額を出すと、   (8200万+7000)×50%7600万・・・5

税差額は   357400万   となります。賃貸オーナー業にするかしないかで、7400万円もの税金が違ってくるという事です。業者の提案に飛びつくのは当然です。

次に、②土地所有者以外が借地権を設定して賃貸住宅を建築した場合

土地所有名義人以外の人が名義人と借地権設定をし、上に立っている名義人の自用家屋も買い取るということで権利金を支払って、名義人からこの自用地を借り、賃貸住宅を建設、もしくはその家屋を賃貸の用に供した場合のケース。

土地の評価は「貸宅地」となり、家屋建物はこのケースは名義人以外の人の所有になるので評価はなし。

「貸宅地」としての評価額は、   2×(10.6)8000万・・・6

権利金は12000万ですから、合計で   612000万=2億・・・7   となり、何もしない場合との評価額の差額は、2億どうしですから、   170   で、評価差額はなしです。人に土地を貸して借地権を設定して、権利金を受け取るケースは何もしないのと同じです。

ではこのケースの「小規模宅地の特例」を適用した場合はどうなるかというと、「貸宅地」の評価額8000万の50%ですから4000万となり、権利金12000万と足すと   4000万+12000万=16000万  となり、相続税額は   16000×50%8000万・・・8

何もしない場合と比べると、 387000万   となり、7000万少なくて済みます。

名義人自身で賃貸オーナー業をした場合と比べると、   78=-400   となり、400万ほど効果は低くなります。

しかし、この➀の場合と②の場合を比較するのに、単純に相続税の一時点のところだけピンポイントで比べてもあまり意味はありません。➀の場合は、子孫が賃貸住宅を受け継ぎ、そこから派生する賃料収入がその後発生し続けることになります。子孫としてはその賃料収入が不労所得として財産にはなりますが、相続の時点で相続税を支払うためのキャッシュはどう工面するのか、という検討が必要になるでしょうし、賃貸オーナー業という手間を負うことにもなります。

かたや②の場合は、他人に資産を引き渡したので、その後の賃料収入はありませんが、キャッシュに還元できているので、相続税の支払いに対して、借入の必要などはなく、それなりのキャッシュ資産が手元に残ることになります。あるいは相続予定の子孫が借地権設定し、権利金を支払って土地、家屋を自らの手元に残そうとすると、その権利金支払いのキャッシュはどうするのか、などの課題が出てきます。さらに言えば、そもそもの設定で他人が、上物の残っている土地に借地権を設定して膨大な権利金を支払うなど、通常はあり得ません。わかりやすい比較のために、この②の場合を見ましたが、これはそもそもないでしょう。

最近とみに、内容的にわかりやすく興味関心が引きやすいのでことさら「相続税」の部分ばかりがフューチャーされますが、その後数代にわたる「持続可能な承継」という枠で検討する際には、「相続税」の部分は検討項目の一側面にすぎない、という全体的な検討視野が重要になります。

次回は、③土地所有者が同族法人を設立し、賃貸住宅を建築した場合の3つのケースを見ていきます。

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