第3次AI(人工知能)ブーム(1) ~世界の潮流「Partnership on AI」
第3次AI(人工知能)ブーム ~世界の潮流「Partnership on AI」
~FT紙2016,9,29記事より~
世界有数の米IT(情報技術)企業5社は新団体を設立する。 (中略) 参加企業はグーグルの親会社のアルファベット、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、IBM、マイクロソフト。人類の未来に広く影響を及ぼすような技術を具現化しようと手を組んだ。このグループに参加する1社いわく、業界初の試みだという。
フェイスブックでAIの責任者を務めるヤン・ルカン氏は「AIは最前線に立ち社会を変えようとしている。この影響は開かれた場で研究されなければならない」と語った。同氏はAI分野をこのところ飛躍的に進歩させる起爆剤となったディープラーニング(深層学習)のパイオニアの1人だ。「AIは人間が互いにつながり合う方法や情報収集の仕方、医薬や輸送、そして都市計画の方法も変えていく」
5社は、研究を実施するために「人々と社会に貢献する人工知能のためのパートナーシップ」という非営利法人(NPO)を設立する。このNPOは、AIが社会全体にどのような影響を及ぼすかという倫理問題を研究し、新しい技術であるAIをより透明性が高く、理解しやすいものにする方法を開発する。 ~記事終わり
Partnership on AI サイト http://www.partnershiponai.org/
最近とみにAI(人工知能)という言葉をよく耳にする。メディアの論調から、何か相当に世の中が変わるかのごとく印象を受ける。先端テクノロジーの現場で働くわけでもないものにとっては、一体何がどうなるんだろう?と期待とともに不安もよぎる。今後数十年の間に人工知能に取って代わられ、消えていく職業があるとか、人工知能が暴走して人類を危機にさらすのではないかなど、げなげな話を含めて諸説がふんぷんとしている。
世界の動きに目を向けてみても、上記のような記事が目に飛び込んでくる。AI協定みたいなものが発足するようだが、おおすごい!と思わされるのは、その参加企業名だ。グーグル、アマゾン、マイクロソフト、フェイスブック、IBMの5社だそうだ。まさ
しく世界を牛耳るトップ5がグループを組むとは、何かただならぬ大事のようにさえ思ってしまう。
この記事以降も、今書いてる最中にも
・米マイクロソフト、AI研究開発で5000人規模の新部門
・理研・産総研・物材機構、AIを共同研究
~いずれも日経新聞2016,9,30
という状況だ。世界中でのAI合戦の様相を呈している。今に始まったことではないが、ここ数年の加速感が何かすごい。
色々知りたいことは山ほどあるが、難しい詳しいことは分からないにせよ、ざっくりとした全体像を知ってみたいと思い、アマゾンサーフィンをしながら、アマゾンAIに「リコメンド」していただき、ちょうど分かりやすい(と言っても難しいが)本が見つかった。至福の瞬間だ。松尾豊という先生の「人工知能は人間を超えるか」という角川文庫の本だ。
この本を基に「人口知能」という世界について、かいつまんで見てみる。今回のこのブームはざっと3回目だそう。第3次AIブームなのだそうだ。第1次は1960年頃で、第2次は1980年~あたりだったそうだ。そんな前からずっと期待され続けてきたことなのだ。
しかし過去2回のブームは、わーっと盛り上がっては、限界に突き当たって意気消沈し、ブームが終わる、というようなことを繰り返してきたのだとか。そんなことすらよく知らず、ここ最近から近未来へのトピックスかと思っていた。
各ブームの際に何が期待され、何が限界だったのか、書籍に詳しい。次回以降表現ができれば書きたいと思う。キース会でも「言語表現の次元階層化」という難しいことを意識して取り組もうとしているが、人工知能の壁もどうもそのあたりのテーマに共通することだ。人工知能がふんづまったテーマを、そりゃ我々ごときのレベルでは難しすぎる話だった。
ところが2012年にブレークスルーが起こったのだそうだ。これも内容については次回以降触れたいと思うが、そのキーワードになっていることが、「ディープ・ラーニング」。このブレークスルーによって、今回はブームでは終わらないようだ。とうとう人類の未知なる次元へとリアルに入っていくらしい。各世界レベル企業および国家レベルの投資熱が、上記各記事の様相だ。この流れ自体はもはや不可逆なのだろう。