学びのコンテンツいろいろ(4) ビジネススクール(1) 大学校
ビジネススクールⅠ 大学校
今回はビジネススクールの世界について引き続き、もう少し見ていきたい。「ビジネススクール」の指す範囲は、大まかに2つの意味に分けられる。本来は、大学の経営学修士課程のことを指すようだ。いわゆるMBA取得のコース。もう一方は広い範囲の解釈として、民間会社が主催するセミナーや講習形式のもの。経営者や企業幹部を対象とした、ビジネススキルアップを目的としたものだ。
まずは「大学」の方だが、もちろんすべての大学に経営学の修士課程があるわけではなく、私大中心に約20ぐらいの大学にコースがある。単にMBAを取ったと言っても、このクラスになると「どこで」取ったのか、ということも気にする人は気にするようだ。
国際的には「MBAランキング」なるものがあり、MBA大国、本場のアメリカでは重要な指標になっている。2015年度ランキングでは、100位以内に日本から入ったのは・・・ゼロ!! 国際的にはそんな位置づけだ。ちなみに1位はハーバード。ペンシルベニア・ウォートン、スタンフォード、マサチューセッツ工科など有名どころがベストテンを占める。アメリカでのビジネスマン人生は、これらの「箔」で決まるようだ。
日本からは、2014年までは国際大学が90位前後にいた。エコノミスト誌やフィナンシャルタイムズ紙のような権威の高いところの発表だとそうなる。フランスの国際調査機関の発表では、アジア部門で名古屋商科大が1位とのこと。国内の日経によるアンケート
では慶応が1位、グロービスが2位になっている。国内アンケートでは国際大も名商大も入ってこない。理解の難しいメカニズムを感じる。
まあでも日経のアンケート通り、国内でのブランドとしては、大学では慶応、民間系ではグロービスというのは大方のイメージ通りかと。国公立では京大や一橋、筑波などが上位のブランドだ。早稲田は募集定員割れにより、新年度は募集停止となっている。どこもおしなべて下火のようで高等教育機関受難の時代らしい。
少し前までなら、これぐらいのレベルまでの高等教育を受けていれば、それなりの立ち位置や収入は期待できたものの、今時はなかなかそれほどでもなく、時間と金額の投資に見合わない、ということか。
方や世界の潮流としては、アメリカは再度言うまでもなく、中国がかなりこのMBA熱が高いようだ。中国自体には2校ほどしかなく、香港に7校、あとはアメリカまで行っているのか、日本にも来ているのか。中国にアメリカ仕込みのMBAマンが増えれば手強いし、日本の高等教育機関も中国人頼みになりかねない。
ところで、東大にはコースが無いようだ。官僚になるから民間ビジネスは関係ないのだろうか?というより、東大からMBAを目指すならハーバードへ行く、ということだろう。実際そのコースの方々が、日本経済界の中心にいらっしゃる。
民間系では、グロービス以外で、皇帝・大前先生のビジネスブレークスルー大学が国内ブランドでのランクインだ。「皇帝・大前先生」とはあの「大前研一」のこと。マッキンゼー引退後は都知事選などもあったが、後進の教育に努めてらっしゃるようだ。大前先生は大前先生だけで来月にでも書こう。
ビジネススクールから取り上げている理由としては、大前先生然り、今時の経営論の中で、国産で発信し、ベストセラーになるような先生方は、概ねなにがしかの形でこれらビジネススクールに関わっておられるからだ。
と、もう一つのクロスの軸として、アメリカの一流戦略系コンサル会社、マッキンゼーとボストンコンサルティングがある。このビジネススクールの先生方は、このいずれかのコンサル出身の方が多い。いずれ主要な方は別途見ていきたいが、ざっと大前先生に始まり、冨山和彦、内田和成、三枝匡、御立尚資、波頭亮、三谷宏治、赤羽雄二、津田久資、南場智子・・・マッキンゼーやボストンではないが、佐藤義典、斎藤嘉則、河瀬誠・・・、教授系で楠木健、竹中平蔵・・・これらの先生方を目玉教授、目玉講師として、生徒募集をかけており、ベストセラーを発信し、知名度を上げ、ブランド力を維持している。これら先生方のマニアックなリストは、経営論オタクとしてはやはりしびれる。
各ビジネステーマジャンルの一番定番として支持を受け、深い思索を与えてくれる書籍はこれらの先生方のものが多い。これらの先生方の書籍を読めば、ビジネススクールには行けずとも、そのエッセンス、知恵を拝借できる。情報発信のその源流をさかのぼると、より深く体系建てた理解にもつながりやすい。そういった意味での背景理解のご参考に。
もう一つの広い解釈の意味でのビジネススクールのほうは、基本MBAうんぬんとは関係ない。スキルアップの為のセミナー、講習の類だ。総合的な範囲のものもあれば、ジャンルに特化したものまで、さまざまだ。それこそ、専門学校から職業訓練校もこの範疇と言えばこの範疇になる。
キース会もその意味から言えば、立派なビジネススクールの一つだ。