学びのコンテンツいろいろ(7) 公的機関(2) ~政策公庫、保証協会、中小企業投資育成会社
政策公庫、保証協会、中小企業投資育成会社
前回は「公的」な経営サポート機関の定義や範囲、おおまかにどんなものがあるのかの概要について記した。
前回挙げた中で「」をつけたものの中で、大阪で主要なもの、「近畿経済産業局」、「中小企業基盤整備機構」、「大阪中小企業投資育成株式会社」、「商工会議所」、「(株)日本政策金融公庫」、「信用保証協会」、「MOBIO」、「大阪産業創造館」あたりを見ていきたい。
まず、これらを分類しておくと、営業面を中心とした総合的な経営サポートと、資金調達面に特化したサポートに大きく分けられ、営業中心総合サポート面では「近畿経済産業局」、「中小企業基盤整備機構」、「商工会議所」、「MOBIO」、「大阪産業創造館」、
資金調達サポートとして、「大阪中小企業投資育成株式会社」、「(株)日本政策金融公庫」、「信用保証協会」とに分けられる。
営業中心総合サポート面はさらに国の管轄と地方自治体の第三セクターに分けられ、国は「近畿経済産業局」、「中小企業基盤整備機構」、「商工会議所」、地方自体は府が「MOBIO」で市が「大阪産業創造館」、通称「産創館」に分けられる。
「商工会」や「政策公庫」はよく聞くだろうが、それ以外はなじみのない機関かもしれない。この中でメインで説明してゆきたいもの、日常的に気軽に活用できるといいのではないかと思うものは、「中小企業基盤整備機構」と「産創館」だ。まあまあ便利で重宝している。一応一通り、順番に見ておこう。
まず、資金サボート機関から見ていく。「(株)日本政策金融公庫」とは中小企業向け資金融資や創業融資などをサポートしてくれる、言わずと知れた「政策公庫」のことである。未だに「国金」と呼んだ方がなじみがあるようだ。「政策公庫」「国金」というぐらいだから、国の役所かというぐらいの認識が一般的かと思うが、株式会社、一応民間?である。財務省管轄の「特殊会社」というカテゴリーだそうだ。「特殊会社」とは、公共性の高い事業だが、行政機関が執行するよりも、会社として行われる方がいい場合に、特別法のもとに設立されるのが「特殊会社」とのこと。うーん、よくわからない。公的機関に対する法の適用は避けられるようにということだろうか? まあそれ以上掘り下げる必要も感じない。
この「特殊会社」のカテゴリーにNTTやJT、JR、日本郵政、道路公団、NHK、年金機構、などがカテゴライズされている。政策公庫の場合は、完全民営化を前提としていない、国が100%株主の会社だそうだ。まあ要は、民間金融機関からは融資を引っ張れない人たち対象に、融資審査をしてくれる公的な金融機関ということ。小規模や個人事業にとっては、国のありがたみを一番感じさせてくれる機関だ。「事業計画」とそして、「人となり」が審査基準となる。最低限、この政策公庫からお金を借りれる事業家ではありたい。
「信用保証協会」は中小企業などの法人対象に、やはり民間金融機関からプロパーで融資を受けるには難しい場合に、保証協会が保証人となり、融資のサポートをしてくれる機関。※プロパーとは保証協会の信用保証のつかない融資のこと。高い審査基準を自社でクリアできる融資案件。
信用保証協会は信用保証協会法という特別法のもとに、行政機関から認可を受けた公的な認可法人。税制上の公益法人とのこと。うーん、ここもスルー。保証協会の場合は、金利以外に、信用保証料が必要になってくる。そして、法人代表者の「連帯保証」が必須となっている。対金融機関に対しては、保証協会が保証人の立場となって、もし返せなくなったときは「代位弁済」、代わりに返済してくれる。この弁済資金は政策公庫の提供している弁済用の保険に加入し、その保険金がおりる仕組みだそうだ。保証人になってくれてありがたいのだが、もちろんそう甘くもない。こちら側に対しては、保証協会が経営者個人に連帯保証を求められるのだ。だから結局一緒なのだが、でも保証協会が保証してくれなければ、民間金融が当方にお金を貸しくれないのも事実だ。
保証協会と地域金融機関(地銀、信金等)と地方行政が三位一体となって「制度融資」という形で打出し、情報提供している場合が多い。だから行政の融資制度だと捉えがちだが、そうではなく、要は上記のような仕組みだ。審査自体は保証協会がするので、保証協会から借りる、と思いがちだが、これも要は上記のような仕組みということだ。複雑だ。
補足として、債権回収のいわゆる「サービサー」の中には、保証協会債権回収株式会社の「保証協会サービサー」というのもあるが、この会社は保証協会の全額出資なのだ。サービサーについては、ここでは意図が違うので、何かで機会のある際に。保証協会が代位弁済した債権の回収を代行し、回収した債権は、政策公庫からおりた保険金、「中小企業信用保険金」の返済に充てられるという。
あともう一つ、「大阪中小企業投資育成株式会社」というのがある。これは中小、個人には関係ないが、この機会なので軽く触れておきたい。
これも「中小企業投資育成法」という特別法に基づき設立された民間法人で、いわゆる「ベンチャーキャピタル」、ベンチャー企業への応援出資の機関である。経産省管轄の、政策公庫と同じ特殊会社のカテゴリーに属し、もともと公的機関だったのが、現在は民営化となり、特別民間法人とのこと。すごくよくわからないが、要は公的なニュアンスのある民間のベンチャーキャピタルということ。ドラマのイメージの買収目的の外資ハゲタカベンチャーキャピタルではなく、国家繁栄目的の応援キャピタルだろうと、勝手に想像する。
東京、名古屋、大阪と3社あるようだ。こういうものがあるんだ、というだけでも大きな発見だ。サイトを見てみると、スクールやセミナー提供などもしている。一定レベル以上ではあるが、対象はあくまでも中小ベンチャーなので、こういうところにいずれは出資してもらえることを目指したい。そういう情報もあるということを念頭に置くか置かないかだけでも、ずいぶん展開は変わってくる可能性もある。