業績向上人事(8) 独自基準重視の採用(1) 人事は入口で決まる
人事は入り口で決まる「だれを船に乗せるのか」
「ビジョナリーカンパニーⅡ~飛躍の法則」から人事制度についての要点を抜粋すると、
・まずはじめに適切な人を船に乗せ、そうでない人を降ろす。どこに行くのかが決まるのは、むしろその後。
・「何をするか」ではなく「誰とするか」から始めれば、環境の変化に適応しやすく、方向転換も容易に出来る。
・適切な人ばかりの組織ならやる気の引き出しや動機付け、管理の必要性は無くなる。
・資源も偉大なビジョンも 適切な人材の集まりであって始めて、すべて一切が意味を成す。
・疑問があれば採用せず、人材を探し続ける。
・人を入れ替える必要があることがわかれば、即行動する。
・座っている座席が違っているケースもあるので、その場合もさっと席替えする仕組みを確立しておく。
・成長を阻害する最大のボトルネックは市場でも商品でも技術でもなく、適切な人材の獲得と維持。
・経営者として唯一究極必要な能力、それは適切な人材を獲得し続け、維持し続ける能力。
・報酬基準、労働分配率のポイントは1つ、適切な人材の維持のため。
・最高の人材は最高の機会追及にあて、問題の解消にあてない。
・1に人材、2に人材。3、4も人材、5も人材。
何よりもまず最初に人を選ぶことが重要だと言っている。後に大企業となる会社も創業期からその点を重視していることが多い。どこへ向かって何をするかはむしろその後に決まっていくことも多いという。そしていずれも共通しているのは、その時点でその会社がとりうる最大限に優秀な人材を獲る、ということで徹底していること。それこそgoogleやamazonなども世界選抜レベルの採用基準を徹底しているという。世界制覇を成し遂げたから出来る、のではないようだ。多少後付けのようにも思うが、むしろ創業当初からそれを優先し、徹底したからこうなったとのこと。世界レベルのIT企業の成功物語では、これら初期優秀人材が初期の窮地を救ってきたという例が多い。
多くの成功企業が、創業者の当初のビジョン通りに進んできたわけではないようだ。創業者の意図する視点と別の視点を持った優秀な誰かがキーマンとなり、救世主となるケースが多い。うちの運命の鍵を握っている誰かとどう出会うのか、だ。
人事業務の目標
企業経営において、戦略論の2大方面の一つである「ケイパビリティ」上、最も重要かつ難関なのは「人事」の問題。前項の「採用」「教育」「コミュニケーション」、さらには「組織構築」「評価制度」「賃金制度」などの制度設計、「就業規則」「労働条件」「福利厚生」などの労務対策、「リーダーシップ」「モチベーションアップ」などの組織活性、「組織風土」「企業文化」などの空気醸成などなど。人を雇い、人数が増えると、実に多くの複雑なことを整えていかなければならない。
その個々人の「知識」「スキル」や「思考」、そして「知恵」は企業の最重要財産だ。と同時に、一人ひとり全員が別々の「思い」「感情」「性格」そして「歴史」も持ち合わせている。その「知識」「スキル」「思考」「知恵」を活用させていただく代わりに、その「思い」「感情」「性格」「歴史」に対しても、ご納得いただけるよう見返りを担保しなければならない。人事業務の目標ははっきりしている。「全員がフルパフォーマンスを発揮していただき、全員が見返りに満足していただくこと。」しかしそれはとても難しい。一般的にこの人事面での問題は、多くの企業で様々な難しい課題を抱え、常に対策が必要だというイメージが浸透している。
(「ビジョナリーカンパニーⅡ~飛躍の法則」参照)