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経営を学ぶとは(4) 「経営」とは02 ~「経営」とは何か?

 経営の「観念」の部分の説明は区切りをつけて、では会社組織の運営面での知識体系も整理しておきたい。

 日本の会社組織の形態別に分けると大きく二つ、「営業部門」と「管理部門」。管理部門は通常さらに、「人事総務」と「経理」に分けられる。

 経営系の勉強会のカテゴリー別のほうがなじみがあるので、そちらで表現すると、「マーケティング」、「人事組織構築」、「アカウント・ファイナンス」となる。さらには意識の高いところの上位概念として、それらを包含する形で「マネジメント」と総称され、さらに組織全体の運営として「企画・戦略策定」も1カテゴライズされているのが一般的。

「企画・戦略策定」
|
「マネジメント」
|
「マーケティング」 「人事組織構築」 「アカウント・ファイナンス」

 こんな感じか。これらカテゴリーの中の、それぞれ枝分かれした各項目名もたくさん登場する。さらにそれらを細分化したテーマがさらに無数に登場する。テーマの内容を掘り下げた概念や単語はさらに膨大に登場する。

 マーケティングで言えば、ポジショニング、分析・リサーチ、セグメンテーション、ターゲティング、差別化、ブランディング、4P、CRM、WEB戦略、CMS、CPA、LTV、宣伝広告、営業・販促・・・

 人事組織構築で言えば、ケイパビリティー、戦略的ストラクチャー、リーダーシップ、モチベーション、インセンティブ、制度構築、賃金制度、人事考課、労務法規、就業規則、オペレーショナルマネジメント、・・・

 アカウント・ファイナンスで言えば、損益計算書、貸借対照表、税務会計、管理会計、財務会計、事業計画、経営計画、キャッシュフロー、損益分岐、NPV、投資判断、資金調達、組織再編、M&A、ホールディングス、株価対策、不動産、保険・・・

 企画・戦略で言えば、経営戦略、事業戦略、マーケティング戦略、フレームワーク、ファイブフォース、マトリクス、ライフサイクル、ブルーオーシャン、プラットフォーム、フリー、グローバルネットワーク、ロジカルシンキング、イシューツリー、MECE・・・

 とまあこんな風に、カタカナと難漢字単語のオンパレード。よく聞く単語ではあるが、それがカテゴリー名なのか、テーマなのか、固有名詞なのかの区別はなかなかつかない。大概の方の頭の中ではそれらが、次元階層がばらばらかつ、断片知識、単語がランダムに入っているはずである。一つの単語は複数のカテゴリーにまたがってもいるし、一文字違いの全く別の単語もある。 そうなってくると経営に関するテーマ、名称の全体像の理解が足らないと、それは一体何についての話なのか、ついて行けなくなったりもする。
 または外部との関わりもあり、経済情勢、金融、行政、税制、社会保障・・・知ってはいてもどこのどの部分の話なのか、どう関連、影響するのか、混乱する。

 全体像を知ろうとすると土つぼにはまりそうなので、自分の関連するところだけ勉強しようとする。ところが、関係ない部分の内容、単語がちらちら登場し、そのたった一単語、一フレーズのせいで、そこから先の意味すら取れなくなってしまう。挙句には、わかっているつもりの事までわかっていないことが判明する。たいがいは挫折する。 

 しなければならないことを整理し、順番に片付けていきたい。緊急で重要なことから順番に。それをやろうと思うと、順位が下位の事柄がどうも関連してくるようで、それを先にやらなければならないことを初めて知る。

 それぞれの事柄がしばらく時間を要することで、同時平行させる必要がある。比較的簡単なほうからやろうとすると、そこそこ手こずって、掛かりきりになってしまった。もう一つに手が回らない。イライラしている間に、ルーティンの雑務がたまる。発狂寸前まで追い込まれる。

 だんだんどうでもよくなってくる。そもそも必要あるのかと。この苦労や努力は金に反映するのかと。ほったらかしても大勢に影響はないではないか。気楽に楽して大金を稼いでいる人の話をテレビや雑誌から耳目に入る。競合企業、競合店の盛況振りが神経を逆撫でする。従業員への言い方、風当たりがきつくなっていく。家に帰れば家族へ八つ当たり。回りの連中ののほほんとした感じ、何も考えて無さ、意識の低さが気になって気になってしょうがない。どういう風にわからせてやったらいいものか。誰のおかげで食えてんだ!!・・・・

 人の価値の最も顕われる状況の一つだろう。

 「経営」とは何か。

 「天下を平らげ」「国を治める」役目の人の帝王学である。決して誰でもが担える役割ではない、志を持った人間にしか与えられない真理の実践である。そりゃ誰でもがやれるわけではない。残念ながら、誰でもが乗り越えられるわけでもない。志の低い人には初めから無理な話なのだ。神聖なる土俵は静かに退場を勧告していく。能力のない人をはじくのではない。己に克つ意思の無い人はそもそも対象外だ。

 能力にはけっして恵まれなかったゆえに、自身の責務をこえた外部環境の変化、不況にあおられ、苦戦をしている人もいる。八方ふさがりの中、最後は自分の命と引き換えても従業員と家族を守らなければならないと、生命保険の証券を見ながら静かに覚悟を決めている人たちもいる。そんな人たちが何人もいる、そんな土俵に立っているという認識はあるのだろうか。

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