「経営スクール & 経営コーチング」 小規模法人、店舗、個人事業の経営者様向け個別対応による講習とコーチング

経営お役立ちマガジンブログ 経営学習塾キース会 副読本 経営テーマトピックスあれこれと経営の学びコンテンツいろいろ経営お役立ちマガジンブログ 経営学習塾キース会 副読本 経営テーマトピックスあれこれと経営の学びコンテンツいろいろ

【無料セミナー】「経営思考力を高めて」30年儲け続けるしくみ創り

【無料セミナー】「経営思考力を高めて」30年儲け続けるしくみ創り

Link

事業モデル(再)構築 ・ 顧客育成のしくみ創り(4) 「定着客フェーズ(リテンションモデル別解)」(1) ~ 「定着客」「定着率」の定義と構造理解

1定着客とは ~ 定義と定着率の計測

2そもそも「定着する」とは ~ 構造的な理解の概論

 

1定着客とは ~ 定義と定着率の計測

 何をもって定着したというのか、あいまいで難しい。定期的にリピート購入し続けてくれている、ずっと来続けてくれている。経営側の認識としてはそんな程度だろうか。ばくっとあいまいな定義だと、そこに様々な状態の人が包含されてくる。年に数回程度のリピートだとか、忘れた頃に購入とか来店がある、一番安いプランでなぜだかずっと続いている・・・経営側の心情としてはあまり重視しない傾向の方々だ。この方たちを定着客と認識してもいいものだろうか、この方たちのためにエネルギーをかけたり、コストをかけたりするのも何か違う気がする・・・そんな言い方をよく耳にする。経営側の評価基準が定まっていない象徴的な言い方だ。客観的な基準を設けない限り、バイアスがかかったり、目的混同が生じ、しくみとしてのオペレーションで対処できない。

 まず大きく分けて2つの視点で評価してみる。1つは「本当に価値を感じているか」、もう1つは、「で、累計で何円使ってくれているか」。創業オーナーや職人経営者は、どうしても1つ目の視点に偏りがちになる。苦労して生み出した商品、死ぬ思いで修業した技術・・・本当に価値を感じてくれている人こそが大事であり、定着客という評価を超えて、理想客として評価してしまう。しかしこの1つ目の視点は、定性評価になる。何をもって「価値を感じた」のかは、永遠に抽象的であり、主観であり、あいまいさからは逃れられない。こちらの評価視点について、どうオペレーションを組むのかは難しいので、考え方については後述する。

 もう1つの評価視点、「いくら使ってくれているか」のほうはシンプルだ。今までの金額を電卓で叩いてみればいい。当たり前の話だが、ビジネスなのでこちらの視点が大切になる。こちらは、客観的な定量評価になる。「しくみで回す」とはどういうことか、一番シンプルな定義で表せば、「定量基準でオペレーションを組む」ということになる。しくみ理論に対して、しっくりこない方々の特徴としては、思い、主観性などのバイアスを、割り切りにくい方たちが多い。人情派であり、熱いこだわりの持ち主の方々だ。それはそれ、これはこれと、切り分けようとする意識がけ、多少の訓練鍛錬が必要な、意識の切り替えごとになる。無理して意識しないと、フレキシブルに意識の切り換え対応は難しい。このことは、タイプ論の話にもなるので深堀は避けるが、実際には、自分ではなく、部下に担当させる、部署でデータとして処理する、などが現実的だろう。

 価値を感じてなおかつ、お金も使ってくれている人もいれば、価値なんてわかっていないであろうのに、なぜだかお金は使い続けてくれている人もいる。方や、価値は感じているような言い方、そぶりはあるが、お金は使ってくれない人もいれば、価値も感じてなさそうで、かつお金も使ってくれないのに、なぜだか関係性はずっと続いている人もいるはずだ。これらの人の中で、どれを取るべきか、どれを取らないべきか、というのではなく、それぞれに対して、どういうオペレーションを組んで、それぞれの人に対してそれぞれ、どうなってもらえばいいのかのゴールを定めて、そこに向けてそれぞれの人に対して、淡々と割り切って、それぞれに別の方法をもって対処していくという、幅広くかつ、きめの細かい対応を、具体的なオペレーションをそれぞれに構築していく、ということになる。一律みんな同じ対応をするということは、当然ない。2パターンぐらいの対応コースを作っておいて、客側に選んでもらう、というのでも全然きめは粗いだろう。顧客ペルソナの種類分すべてに対応策を設けておいて、客に差別や違和感を与えないように、自動的に対応オペレーションが分かれていく、というのが前提で、この状態を「しくみ」という。人材の足らないところはさすがに、顧客ペルソナの種類すべてに別のオーペレーションを組むのは無理があるだろうから、どうセグメントを組むのか、いくつかのパターンに集約させたい。

 

 内容から少し脱線するが、このような手間のかかる面倒臭い状態、評価の分かれる客が幾層にも点在するような現象を防ぎたければ、新規客のところで見たように、可能な限り、最初の入り口で適合率を上げていくしかない。しかし現実的に、適合させるだけでも集客コンテンツの構築に何年もかかるだろうし、その間、その前から今までずっと、営業し続けてきたわけなので、今現在の顧客リストがすでにある。これらの方々に向き合うにあたっては、適合していようがいよまいが、価値を感じていようがいよまいが、お金を使ってくれようがくれよまいが、真摯に向き合うことには変わりない。向き合い方が一律みんな同じようにしか対処していないことに課題がある。どう対処を変えたらいいかわからないというより、そういう風に考え、意識することがないことがないのではないだろうか。というより、どう分けたらいいかわからない、分けることに抵抗がある、分け方の分類基準、評価基準が定まっていないはずだ。面倒臭がったらそれだけ、露骨な課題として浮き上がっても来てくれず、恒常的な混迷を招き、緩いストレスを感じ続け、業務に面白さを感じなくなり、そして緩やかな右肩下がりが顕れる。

 なのでまずは、定量的に数値化出来て、計測し続けられるように定義を定め、データを取り続けるようにオペレーション化を目指したい。パターンと分類が分かれてくれば、傾向が見え、どこに着地してもらえばいいのか、その為にはどう対処していけばいいのか、その対応策のイメージや案も浮かんでくる。しくみを創っていく過程、その工作作業に面白みを感じられるようになりたい。その対象になっている業務がたまたま、生業である、ヘアサロンかもしれない、歯科医かもしれない、金型製作かもしれない、士業かもしれない、物販かもしれない、というだけだ。ご自身が今、何屋であるのかは大した問題ではないのだ。しくみ創りの工作ができる方は、何屋をやろうが、ある程度までは持っていけるはずだ。

 

 定義の定め方は、まずは、定量基準を定めたい。定性基準は、「うちでなければならない理由は作れているか」になる。本当に大事なのはむしろ、この定性基準が満たせるか、のほうにはなるので、後ほど。ただ、計測は出来ないので、定性基準も包含する定量基準で、データとしてはまず計測、分類できるようにしておく。定量基準の考え方はシンプルに、「金額」と「期間」。いくら使ってくれているのか、どれだけ在籍してくれているのか。このうち金額基準は、業種、業態、商材・サービス、客の質、客の構成・・・によって変わってくる。理想客の定義の際にはこの金額基準がメインになってくるが、定着客の段階ではまず、定着したかどうかを重視し、期間基準を計っていく。次の段階で、定着客から理想客へ推移する基準が「累計金額」になる。いずれの評価基準も各社でオリジナルで定めるのが前提だが、パターンが見つけにくい前に色々考えても話が前に進まないので、キースメソッドでは最もシンプルに期間基準のみ、定着客の定義は、「1年以上の在籍」として論を進めていく。

 1度購入したきりで、その後の不明な方はもちろん定着客としてはカウントしないが、23年後、もしくは10年後でも、再購入の履歴がつけばその時点で、定着客化した、となる。まだ1年経過しないが、ガンガンリピートしてくれてお金を使ってくれても、これはまだ定着客ではなく、新規客の分類になる。すべての顧客リスト、もしくはすべての購入履歴アカウント数を分母として、1年以上在籍とカウントされたすべての方の数を分子として計算したものが、うちが創業して以来、今日現在までの「定着率」になる。2015年度に来られたすべての新規客の数のうち、20161231日時点で1年経過したとカウントされる方の割合が、2015年度の定着率。20151月度の新規客のうち、20161月時点で1年経過したとカウントされる方の割合が、20151月度の定着率。その後に何年越しで2回目の履歴が付いた方はその時点でカウントされるので、各計測時の定着率もそれに伴って後々に変化もしていく。月単位、四半期単位、年単位、3年値、5年値・・・必要に応じて計測できるようにしておきたい。

 定着率が表すものは多岐にわたる。まずは根本的に、自社のメイン商品・サービス自体のクオリティ。価値を感じさせられているか?、うちでなければならない理由は作れているか?など、主には定性的な部分の、うち自体の価値、クオリティに対する指標。他には、新規集客施策の適合度合、適合率も当然、定着率に結び付く。そして、一旦顧客になった方への対応策、顧客対応オベレーションが適切か否かは直接的な指標になる。など、行っている施策のすべてのことが集約的に表れてくるのが、この定着率になる。定着率が計れてないと、今やっていることはいいのか?悪いのか?わからなくなる。

 うん?それは適合率ではないのか?KPIは適合率だという話ではなったか?となるので、少し整理しておくと、適合率は、新規に集客しようとしている未顧客の方のニーズが、うちの提供価値と合致しているかどうか、という指標。ただ、合致しているかどうかを計測するのは相当に複雑な評価基準になるため、ほぼ主観判断、定性基準になる。そこから先、ニーズが合致していても、その方の満足度をうちのレベルが満たせるかどうかは別のことになる。その方にとってさらに、「うちでなければならない理由」にまで至れなければ、12度のリピートはあっても、定着には至らない。「うちでなければならない理由」を創れる前提は、当然まずはニーズ合致、適合している必要がある。1発で決められなくとも、12度のチャンスがあるならば、その際に、あるいはその後のアプローチ施策のかけ方で、何度かにわたり、「うちでなければならない理由」までもっていく方法もある。適合の施策、うちのレベル、その後のアプローチと、定着率の方が、より包含的な施策に対する、総合的な評価指標になる。顧客後の話でもあり、在籍の期間も計測可能になり、定量的に白黒がつけやすくなる。

 指標計測して、結局何を知りたいかというと、定着率は、

  1、「商品のレベルは戦えているか」

  2、「主観で判断した適合率は本当に合致していたのか」

  3、「顧客後の個別対応策のオペレーションは合っているか」

適合率は、一言で言えば、「ターゲットへのメッセージは合っているか」、であり、個別判定項目としては、

  1、「WEBコンテンツの内容は効果を発揮できているか」

  2、「自動集客マシーンとしてのWEB構築、設計は適切か」

  3、「ターゲットペルソナは的確だったか」

  4、「うちの提供価値を的確にとらえられていたか、自分で見えているか、表現は合っていたか」

を判定したい。定着率より適合率の方か先に来る指標なので、適合が満たせてなければその後の定着もないという解釈のもと、適合率の方をKPIに定めている。そんなこと言っていけば、もっとその前に沢山指標がある。コンバージョン率とかCPAとか、WEB施策の中での指標群だ。そこも当然見ていくことにはなるが、全社的な全体でのすべての施策の適不適を最も象徴的に実感、体感できる瞬間が、新規に初回購入に至ってくれたその瞬間ではないだろうか。そこに至るまでのすべての施策の適不適も、その後のすべての施策の適不適も、この時にほぼ白黒ついているのではないだろうか。という解釈のもと、キースメソッドでは、KPIを適合率に集約させている。

 

2そもそも「定着する」とは ~ 構造的な理解の概論

 定着客の定義を「1年以上の在籍」とシンプルに割り切った。1年以上にわたり、うちの客であり続けてくれているというわけだから、何かしらの理由がそこには存在するはずだ。理由なんてない人もたくさんいるかもしれない。それでも、近いから、安いから、慣れてて変えるのが面倒臭い・・・も立派な「理由」ではないか。とにかく何でもいいから理由を確立させる必要がある。「理由を確立させる」とは、言い換えれば、あの人はなぜ定着していてるのか、その理由が「語れる」ということ。経営側がよくわかってないと、検証も分析も出来ないし、それに対する施策も立てられないことになる。「何をどうしたらいいかよくわからん」と言う羽目になる。その定着してもらう理由には条件がある。「うちでなければならない」理由である必要がある。定着客の定性的な定義は「うちでなければならない理由のある人」になる。「1年以上の在籍」は、定量定義。定量定義を満たす必要条件が定性定義という関係になる。1年以上在籍するにはそれなりに、うちでなければならない理由が必要だということ。定量定義は、結果の測定とその後のオペレーション確立のために定める、つまり過去のことと未来のこと。定性定義は、今目の前、足元で実地に取り組むべき現在の最重要課題。対象者に対して、いかに「うちでなければならない理由」を創れるか、実際にはそれが経営の、事業のすべてだ。そこが突破できなければ、その先は何もない。

 さらに深く考えてみたいのは、「うちでなければならない理由」に対するとらえ方の問題。「うちでなければならない」という強めの表現から、頭の中に、無意識に勝手に連想している内容はどんなものだろうか。おそらくほぼ、競争戦略の差別化の話、競合優位性、他に勝っていること、強み・・・ではないだろうか。それはもちろんなのは言うまでもない。が、けっしてその方向性のものだけでもない。相対評価的に、他より劣っている、未整備、別にそれでいい、それぐらいがちょうどいい・・・というのも、「うちでなければならない理由」にもならなくもない。あるいはこちら側の事情なんて関係なく、客側の特別な事情、あるいは特別でもなんでない事情・・・その方が定着し続けているのは、実は客側の事情以外の何物でもない場合だってあるはずだ。言わんとすることは、理由の多様性に意識は向けながら、評価、検証、分析してみる必要があるということ。客側にしか事情や理由がないのに、自社側だけを向いて、なんでだろうと頭をひねってみてもうちである理由にはたどり着けない。理由の如何を問わず、なにせ的確に理由が見えれば、対応法、対処のオペレーションも見えてくる。物理的制約や金銭的制約条件が必ず、だれにもある。弱くても、わかりやすい理由が見えれば、それに対してどの程度エネルギーをかけるかどうかは置いといて、維持させようと思えば対処すればいいし、無策と割り切るなら割り切るで、結果は想定内だろう。いずれにしても、すべてのコントロールは、こちらが取る位置は取れる。より的確な理由が見えないことが、アウトオブコントロールを招く。まずは出来る限り、的確に理由が見えるようになりたい。

 では一度、「うちでなければならない理由」について、体系立てて分類し、それぞれ見てみよう。

このページのトップへ