しくみ創りがなぜ必要なのか~前提になる背景と法則(1) コモディティ内差別化(1) サービス業店舗の風景一般論
【 法則1 】:「コモディティ内差別化」~差別化の難しい業種でも、インサイトベネフィット上での、新たな独自の白地、No,1領域を見つける
サービス業店舗の風景一般論
「コモディティ化」とは、商品やサービスが画一化されていったり、次第に売れ筋のみに集約し、汎化していくこと。またその為、差別化や違いなど特徴が打ち出しにくくなっていくこと。
新規参入のハードルが比較的安易な業種がある。コンビニオーナーになる、ラーメン屋やパン屋を開業する、ヘアサロンや整体院を開業する、HP作成業をはじめる・・・など。独立して開業すること自体は、参入障壁が低い。一念発起すれば限られた人だけではなく、業界経験があればある程度だれでもが、何とかなる職業。これらの業界は、毎年一定数が開業、新規参入している。さりとて、全体数がひたすら増加していくわけでもない。ある一定数のレンジの範囲で推移している。つまり、新規参入と同程度、廃業数がある。参入しやすいが、退出も早い。長期持続するためには、それなりに理由が必要だ。
これら業界のオーナー方は、それぞれそれなりに「他とは違う」と思ってやっている。しかし客から見ると、マーケット全体を俯瞰して見られると、「ほぼ同じ」にしか見られない。もちろん、飲食店でもおいしいところとおいしくないところがある。技術職系では上手なところと上手でないところがある。物販店でも品ぞろえの有るところと無いところがある。おいしくない、上手でない、品ぞろえがないところは、早期退出するか、残っても繁盛しない。まあ、そのレベルのところの話は除く。それ以外のほとんど多くのところは、おいしいし、上手だし、品ぞろえがある。
自信を持って独立開業したのだから、そこは当たり前だとすると、それ以外、おいしいとか上手とかの基本論点以外で、他に「何が違うのか?」。その「違い」を認識してもらえるとするならば、ほぼ、「よそに比べて○○がちょっと安い」という点になる。それ以外では、「近い」か、「生活動線上にある」か。概ね、「価格」と「立地」の2点だけだ。場所の取り合いは決定的要因に近い。店舗全般にとって言えることは、物件がすべてだ。言ってしまえば、そのお店がその後、どのレンジで推移するかは開業する時点で決まってしまっている。物件要因以外での努力項目が、残り1つ、泥沼の「価格競争」になる。
というような風景が一般論であり、今どきのご時世でも未だに大勢はこの状況と言える。おいしかろうが、上手だろうが、もたない、ついていけないところが当然に、一定数出てくる。参入のしやすさは、あまり深く考えずに参入してくるプレーヤーも生みやすい。余剰資金で、軽く参入してくる人もあれば、人生かけて、のるかそるかで借り入れを起こし、必死の思いで参入してくる人もいる。真剣勝負のつもりで臨んできても、大局的な観点で何をどう考えたらいいかよくわからずに、がむしゃらに勢いだけで参入してきがちだ。何がどこまでわかっていれば良しなのか、そのこと自体が多くの人はよく分かっていない。「ヘタに考えすぎたってかえって迷う」、「中途半端に勉強したところで結局一緒だ」、「スピードと決断が大事だ」とか、無責任な俗説に惑わされる。業界のアドバイザーには、業界内の専門的な部分には詳細なアドバイスをくれるが、大局的なマーケティングや経営論などは管轄外だとして、茶を濁す程度にしか触れない。本人としては、ただでさえ尋常でない心理状態で余裕もない中に、何をどこまで信じ、何をどこまであてにしたらいいのか、冷静な大局的なものの見方、判断はまず出来ない。これら業界オーナーの多くの方にとって、人生の一大事が丁半博打になっている。さりとて、完璧を期して、出店、独立開業をするなどというようなことは、まずない。潤沢な資金、ベストな立地確保、満足な設備・外観、組織運営に十分なスタッフ数の確保、完璧なオペレーションの準備、調べ上げられたマーケティング調査、計算し尽くされた事業計画・・・。各ジャンルごとにそれぞれ精通したスタッフを確保出来ているような、大企業でもない限り無理だ。いずれにしても一旦土俵に上がった以上何とかしないといけない。さて、どうするか?そこの論点の話。