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戦略思考の心・技・体(18) 技「仮説検証・分解技法」(9)~ロジックツリー(体系分類・次元階層化)(4)

1次分解を軽く始めてしまう、もしくは細かく分解しすぎてしまう

 ツリーにおいて重要なのは、スタートの設定表現、そして1段階目の1次分解。ここがずれると以下すべてがずれてしまう。最も時間とエネルギーを費やすべきところ。そしてそれがわかってくると今度は、気張りすぎて1次分解で4つも5つも出てきてしまう。下手すると最終段階の枝の細かな具体表現がいきなりずらずら並ぶというようなことにも陥りかねない。例えば「太った原因」で「病気」「栄養」「遺伝」といったような。この段階でそうなってしまったら以下が続きにくい。それならまだいいが「焼肉」「天ぷら」「ステーキ」「ケーキ」「ビール」とかやってしまいがち。こうなるとそれで終わりだ。「病気」ならその下に病名をずらずらと並べられなくもないが、「栄養」「遺伝」とかいう表現にしてしまったらその次どうするのか?「栄養」が何?「遺伝」がどうした?となってしまう。表現の不足がありすぎる。

 「太った」という肉体の変化の要因なわけだから、まず1次分解として「体内での要因」なのか「対外からの原因」なのか必ずどちらかしかない。このポイントは「内」と「外」の2分割されたMECEだ。さらには「体内での要因」を分解するとき、これを2分割するMECEの概念は何?「有形要因」と「無形要因」となる。「有形」と「無形」だ。「有形」は実際の病気や化学変化、遺伝子変化、体質などだ。「無形」は欲求不満、ストレスや過食症など精神的要因だ。1次分解、2次分解など特に初期段階の分解していく際に意識するポイントは1つ。「2分割するMECEの概念は何か?」だ。そしてそれは限られている。「内外」「有形無形」「有り無し」・・・主にはこれで十分だ。次の意識ポイントは、「では何を2分割するか?」だ。「太った」のは何か?「体」だ。「体」を2分割する。右半身と左半身に・・・違う。「体」を2つに割ってはいけない。「体に変化をもたらした原因」を分けるということ。

 「体外からの要因」の次の分解は少し難しいかもしれない。ここで先走って「油もの」「炭水化物」「ビール」とならないように。この表現はまだ1段階抽象次元が高いが、先ほどのような「焼肉」「天ぷら」「ビール」・・・となったら終了だ。原因は必ずしも食物だけとは限らない。環境要因とか見られる機会の減少とか社会的立場とか、外部からの景色、風景、言葉など、情報や接触態度など、無形抽象要因はかなり大きな原因のはずだ。いきなり食物ばかりを並べ始めたら、これらのことはごっそりと抜ける。

 まあでもだいたい「食物」と「それ以外」で2分割できそうだ。シンプルにそのまま「食物」と「それ以外」という表現でもいいが、先ほどの分解ポイント、「概念」と「何を」を意識するほうが、あとあとの作業進行上の頭の整理の意味ではそのほうがいい。2分割概念は「内外」で何を分けるかは、少し難しいかもしれないが、「摂取入り口」だ。「摂取口」のメインは当然「口」だ。よって「経口摂取」と「それ以外」もしくは「経口外摂取」という表現だ。あるいはそれこそ、食物は「有形」で、それ以外の要因は情報、言葉などの「無形」ととらえ、やはり「体内要因」と同様に「有形要因」と「無形要因」としてもいけるはずだ。この2段階ぐらい、2次分解ぐらいまで慎重にいけばおおむね、大きくごっそり抜けるということは防げるはずだ。

明らかに不要な枝は途中で止める。どの例においても正解や模範解答は残念ながら存在しない

 「体外からの要因」の例で、食物以外の無形情報要因などの重要ファクターがごっそり抜け落ちるというリスクがある反面、明らかに今ここでは関係ないと判断が付きそうな枝まで最後まできっちり分解してしまう、というようなこともある。明らかに関係ないものはやはり止めたい。「体内要因」→「有形要因」→「遺伝覚醒」とかなった場合、「私が日常で実行できそうな対策」において、突然変異や覚醒に対する私の出来ることはやはり「ない」。「病院で検査する」という対策法なら日常実行できる範囲と言えないか、と。そうかもしれない。でも病院へ行って「遺伝子の覚醒や突然変異を調べてください」と言うのだろうか?

 ロジカルシンキングである以上、MECEたることを意識する以上、「それはおかしい」とは言えないかもしれない。それが妥当な対策かどうかの判断は、もう一つ次の段階の「数値検証」や「優先順ウエイト判定」での検証になる。広げたものを結局最後は1つに絞っていく作業をする。結局は最後はしぼるのだ。順位付けをし、何をやらないかを決めるのだ。このことも意識しながら分解作業を進める必要はある。ツリー分解のより効率的な分解方法を説明し、陥りがちなポイントをかなりきめ細かく解説もしたが、個人の知識量、情報量、語彙量、概念量、経験値・・・そしてやはり性格、価値観、常識、思い込み・・・これらの要因が分解結果に大きく影響を及ぼすことは想像に難くない。結局ツリー分解において正解もなければ、当然模範解答も存在しない。多くの書籍の参考例で「こういうもんなんだ」と納得していくしかない。あるいは大きく違和感を感じ、納得には至らないものも多いだろう。

 じゃあ結局、こんな難しいことにトライする意味があるのか?そう感じるのであれば、当然トライする必要も義務もない。「己を信じる」「自分のやってきたことを信じる」という人は多い。アスリートやアーティストの人の言葉としてメディアを通じてよく耳にする。素晴らしいことだ。結果が本人個人に帰結する範囲なら何もそれでいい。経営者においては、そういうわけにはいかない人、場面もあるだろう。己の狭小な知見や経験の範囲では追いつけないことや、何よりも、自身のルーティーン(日常の単調な繰り返し)、好き嫌い、性格、常識、思い込みなど、自信の判断、決断を無意識に支配する「魔物」から免れなければならない人や状況がある。その必要があり、そうしたい、そうでありたいと欲する人たちが、何か方法はないのかと、たどり着いた知恵の結集である。「魔物」の支配からの脱出は結局、完全には難しいが、少しでもそのリスクを回避するべくより客観的に、よりシステマチックに作業を進め、考えられうる範囲で最も効果的な具体策を決断し、実行する方法論だということ。その必要性を感じるレベルの仕事をするべきであり、そのレベルの事業化をすることが大前提としている。

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