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戦略思考の心・技・体(24) 技「意思決定・収束技法」(12)~潜在意識の言語化

収束(意思決定)する為には、潜在意識下の理由を顕在化させ言語化する意識が必要

~ とある質問 ~

Q : ビジネスにおいて論理的であることが大事なのは理解しています。しかし、実際の多くの場面ではほぼすべてに近い状態で、論理的な思考や論理的な意思決定をしている人はいません。営業の際の攻め口を考える際などに、論理的なアプローチを意識してはいますが、「そんな難しく言われてもわからん。もっと簡単に言ってくれ。要はなんなの?」と言われてしまいます。実ビジネスの場面で論理思考は無用の長物のようにさえ思えます。それでも論理思考を学んだほうが良いのでしょうか?(30代、大手メーカー、トップ営業マン)

A : 確かにおっしゃる通りだと思います。実際の場面ではビジネスといえども、論理的であればあるほど、カドが立つといいますか、人間味に欠け、距離感が開いてしまうように感じることは多いでしょう。ただ、ご質問の趣旨からすると、「表現上の論点」と「思考上の論点」が混同しているように思います。あなたが相手の方に表現する方法、話し方であったり、雰囲気であったり、そして実際の言葉の表現などの論点。方や、あなた自身の中での思考の方法、戦略であったり、攻め口の攻略であったり、相手の分析、そしてどの言葉を使えば相手に伝わるのかを考えるなどの論点と。ご質問にある、相手の方の反応などをお聞きする分には、前者、「表現上の論点」をおっしゃっているように思います。表現上の方法は当然、相手にとって難しくないか、伝わるか、などの工夫が必要になります。相手が「そんな難しく言われてもわからん。もっと簡単に言ってくれ。要はなんなの?」と言うということは、言葉表現が的確でなかった可能性が高いでしょう。

 と、まあこんな風に論理的に分析すると、相手の方の反応を招いた原因は、あなたの言葉表現が的確でなかったことであり、そしてあなたが上記質問のような疑問を感じる原因は、あなた自身が「表現上の論点」と「思考上の論点」が混同していること、となります。これが論理思考です。このように論理的に状況分析、原因分析できなければ、相手の方もそしてあなたも混同、混乱した思考体系から永遠に抜け出すことはできません。的確な状況分析、原因分析が出来なければ、問題、課題の根本解決はできません。

 論理思考はあくまでも「思考」ですから、「ご自身の頭の中」の領域のテーマです。大切なポイントは「相手が論理的であるかどうか」ではありません。言い換えると、「相手が論理的に明確に言葉の準備が出来ているかどうか」ではありません。さらに別の言い方で「相手が言葉として顕在的に認識しているかどうか」ではありません。ほぼすべてに近いケースで「相手の方にとって意思決定の理由は潜在意識下にあり、本人でも認識できていない」のです。しかし、営業などの対人の場面での論理思考力を発揮するためのポイント、まず私たち自身が前提として認識しておく必要があるのは、「理由のない意思決定は存在しない」ということです。

 ものを決めるのに理由がはっきりしない、ということはよくあることです。むしろ論理的に整理されているというような人はいないでしょう。「理由がはっきりしない」ということは言い換えれば「言葉にできていない」ということでしょう。その「理由」を「言葉に置き換えてあげる」ことが、営業の仕事なのではないでしょうか。論理的でない、言葉にできていないからと言って、理由がないわけではありません。その理由が顕在化していない、潜在的であるということです。相手の方のその潜在意識下にある意思決定の理由を、顕在意識に引っ張り出してあげるべく、明確な言葉に紡ぎ出し、提示してあげる。その言葉を提示してあげた際、「ああ、そうそう、そういうこと!!」というふうに、相手の方自身の腑に落としてあげること。これが論理思考、ロジカルシンキングの目指すべき一つの形です。

 では他人の潜在意識を言葉にして顕在化させるってどうするのか?それは、その人の潜在意識下の意思決定の心理を、1MECEに分解して、2、ロジックツリーで体系化し、3、可能性の高そうな、核心に近そうな選択肢に評価基準をつけて順位付けし、4、順位付けしたその仮説を上から順に伝わる表現に言語化し、提示していく、ということです。この超難関な複雑な思考作業を、誰しも無意識で出来ている時もあります。シンプルな言い方をすれば「人の気持ちを汲み取って言葉に置き換えてあげる」ということです。しかし、対象相手としてわかりやすい人とわかりにくい人があったり、潜在意識下の「感情」は汲み取りやすくても、潜在意識下の「行動」の理由や「意思決定」の理由はわからないことが多いはずです。「思考」として対処したというよりは感覚的な「感性」で感じ取った賜物でしょう。この第六感的な「感性」のパワーは絶大であり、ある意味最強かもしれません。でも残念ながら個人差の大きい能力であり、意図的にこの能力を高める方法は今のところ、極めて非科学的かつ混沌の域を出ていないように思います(CIAKGBMI6、モサドなどでは科学的な方法が確立されているかもわかりません)。ビジネスとしての、経営者の意思決定としての領域のテーマでである以上、体系建てられ、確立したスキルとして使いこなせる必要があります。やはりその為には、体系建てられた知識を学び、論理的に思考スキルを訓練するしか、今のところ方法がないと思うのですが、いかがでしょうか?

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