WEB戦略構築(12) アイデンティティと導線(6) 自社アイデンティティを表現するのに適した媒体は何か?
自社アイデンティティを表現するのに適した媒体は何か?
余すことなく内容を網羅するなら「書籍」ということになる。しかし先方に、知りたい、読みたいという特別な意思もない中に、ひたすらな文字ばかりの媒体を読んでもらえるだろうか?より目につきやすく、意識、興味を引く工夫が必要だ。図や写真、カラーにより閲覧ストレスの軽減、瞬解性のアップを図る必要があり、その意図なら、「自社パンフレット」となる。書籍にしてもパンフレットにしても実物の紙媒体だ。根本的に、認知拡大性において物理的な制約がある。物理的な空間制約を超えるなら、無線の通信空間に存在していなければならない。それが即ちオンライン土俵上だ。Webの領域に「場」を確保すべく、媒体を作成する必要がある。内容の網羅性を重視するなら、ひたすらテキストだらけのフリーページのもの。通常は「ブログ」ということになるだろうか。しかし、見てもらいやすく、瞬解し、滑り落ちてもらう必要があるなら、閲覧ストレスを軽減し、瞬解性をアップするために、図解、写真、アイキャッチ、キャッチコピー、小タイトル、タイトル構成、ページ構成・・・あらゆる工夫を費やす必要がある。それが一般的には「HP」ということになる。
伝えたい内容が自社アイデンティティよりもっと絞った形で、単体の商品・サービス、単発の内容、特定のイベント、特別のメッセージ等の場合は、「LP(ランディングページ)」という媒体形式となる。ページ構成を省いた一本物、1ページ物として、上から下までひたすらスクロール誘導させ、設定オファーまで高速エレベーターで降下しもらう。「オファーまで滑り落ちてきてもらう」という目的に対応できる、どん尽きに位置するのが、このLPだ。
マーケティング施策の理想的な流れとしては、「特定、単体の商品・サービスを認知させることを優先させ、そこからきっかけに、さらに滑り落ちてきてもらい、自社アイデンティティの全体像や派生的に他の商品・サービスの認知をさせ、顧客を囲い込みの戦略へといざない、理想客化へのプロセスを流れで進んでもらい、オートキャッシュマシーンを機能させていく」、というのが究極理想的だろう。マーケティングの絵に描いたようなゴールだ。マーケティングの究極の完成形はこの形だということをまずは認識しておこう。特定、単体の商品・サービス、メッセージに限定できる場合はこのLPがベストの媒体だ。
このLPの導線として最適なものがリスティング(キーワード広告)ということになる。通常セットで施策される。しかし自社アイデンティティの表現も、理想客化へのプロセスも、囲い込みの戦略も準備できていないのに、安易に「LP+リスティング」をやってみても、入り口だけで終わってしまう。つなげていくビジョンが不在だ。多少の成果が出たとて、瞬間風速がしばらく上がる程度だろう。目先の成果だけでも出せれば大したものだが、30年スパンでの大所高所から見て賢くはない、となる。
まずは正道、正攻法として、HP上に全力で自社アイデンティティを表現する。Web戦略の具体的な施策としての第一歩は、まずそこからだ。抽象概念や言葉にしにくい事柄の言語表現作業を面倒くさがっては、小規模弱者事業者の長期の生き残りは普通に無理だと心得るべきだろう。