WEB戦略構築(23) マーケティングライティング(7) ~内容・意図によるコピー種類の違い(2) 「キャッチとタグラインの違い」
内容・意図によるコピー種類の違い(2)
キャッチとタグラインの違い
キャッチとタグラインという表現は、広告コピーの世界の言い方で、広告コピーの効果をより機能させるために、2つの役割を使い分けながら一対として表現される。「キャッチ」とは、文字通りの「引き」をとるためのキャッチコピーのこと。一方「タグライン」とは端的に言えば、「価値の定義づけ」。
互いの関係性を文脈、ストーリー仕立てで理解してみよう。マーケティングライティングの目的の定義は、「モノとヒトとの新たな関係性を創造する」こと。対象になるそのヒトにとって、とても役に立つ商品・サービスがある。しかしそのヒトはその商品・サービスを知らないし、ましてやそれが自分にとってとても役に立つモノだということはさらに知らない。そんなヒトとモノとを結び付け、お互いにwin winとなる新しい関係を創造したい。それがマーケティングライティングの果たしたい役割だ。だからその商品・サービスの価値を最大限に、そして的確に分かりやすく伝えたい。それが「タグライン」。そのタグラインを見てほしい。その為にそのヒトの気を引きたい、目に留まりたい。それが「キャッチ」だ。「アイデンティティ」と「導線」の関係性と同じ。 タグラインの事例として例えば、ちょうど先述したマーケティングライティングの目的定義で述べた部分、「モノとヒトとの新たな関係性を創造する」、というこの部分なんかはまさにタグライン表現だ。それに対しキャッチは、「あっ、あったあった!」や「これからは、これ!」みたいな感じだ。
プロのコピーなんかは、文字数やスペースを省くために、キャッチを兼ねたタグラインを目指して、一本化したものを創ろうとするので、タグラインとの2段表現自体あまり見かけず、一般的にはタグラインという言葉をあまり知らない。しかしより重要なのはもちろん、タグラインのほうだ。その商品・サービスの機能をより的確に、そして価値を目一杯必要と感じさせなければならない。それを1センテンスほどの少ない文字数で表現し、見た人がぱっと3秒ほどで理解できなければ用を成さない。うちの商品・サービスに対して、「それは一体何?」と問われて、対象者に「ああ、それそれ」、「あっ、あったあった」と瞬解してもらわないといけないことと同じだ。それを言葉でやる。言葉スキルの極みに近い部分の話だ。どういう感じなのかの例文を、広告宣伝、パンフレット、商品サイト、ランディングページなどから見つけてみよう。通常タグラインが機能すればするほど、当たり前のように受け入れているので、意識することすらないことが多い。まずはタグライン表現に意識を向けてみよう。これこそはまさに見本のストック、蓄積が重要だ。
初心者としては、「価値を最大化させる表現」よりは「機能を的確に伝える」ことのほうを重視したい。こちらの表現は「シンプルかつベタ」になる。まずはそれが大事。自社商品やサービスについて「何?」と問われて、スパッと返せるようになりたい。まずはこの訓練が書く力を格段に高めていくはずだ。マーケティングライティングというテーマの中では、一番初めに意識ウエイトをかけて取り組む項目でいいと思う。