WEB戦略構築(26) マーケティングライティング(10) ~書く手順(3)_1、企画構想(3)
書く手順(3)
1、企画構想(3)
⑤ うちができること
この段階でやっとうちの商品・サービスの話になる。これまでまとめてきた、「タグライン」の定義をベースに、「バリュープロポジション」の文脈を完成させる流れだ。その中で「USP」をとがらせ、「キャッチ」な表現を意識してみる。その文脈の正当性を証明する為に、論拠を積み立てていく。コンセプト、こだわり、他とは何が違うのか、何が優れているのか、なぜうちしか出来ないのか、苦労した壁、時間を費やしたこと、実績値、対象者の変化、対象者の声・・・。一番言いたいこと、わかってもらいたいこと、伝わらなければならない部分の話だ。必然的に内容のボリュームがかさむはずだ。
マーケティングにおいて何かを書くという時に、通常はこれらのことばかりに意識がいく。どう効果的に表現し、目に留まって、「おっ」と思ってもらい、購入してもらえるかと。しかし、これらの論拠立ての部分だけがどれだけ上手に表現されていようとも、独立してこれらの内容だけが存在しても、説得力は発揮できない。文脈構築の①~⑦まで全体の中の1パーツとして機能して初めて、その意味付けや位置づけが成り立ち、説得力が発揮される。前後の文脈のつながりの中で、主題の、メインディッシュの活きる、死ぬが決まってくる。ストーリーの機能とはそういうものだ。前段での盛り上げる演出の部分、鋭くえぐった指摘の数々が、ボリュームがあり、調べたりまとめたりが面倒臭く、大変なのだ。でもそれがないと効果的に伝わらず、琴線を打たない、動かせない。感動する映画や最後に「おおっ」と思わせるタイプの映画などの、その構成を研究してみるのも大変勉強になる。
※参考映画 : ショーシャンクの空、シックスセンス、ユージャルサスペクツ、永遠のこどもたち、バタフライエフェクト、アイデンティティ、12人の怒れる男・・・ex.
⑥ 何がどう変わるのか_1
この部分は「だれの何がどう変わるのか」を示していく。「だれの」、すなわちターゲット対象者の定義を改めて表現する。本来、ターゲットの定義、ターゲットにとって一体何が問題なのか、については②のところで追求し、提起されている必要がある。が、ここまで距離が開いているので改めて整理して表現し、呼びかける。「で、その人がどう変わるか」を、まずはダイレクトかつシンプルに示したい。全体を通じて、その人が知りたいことはただ一つ、そのことだけだ。
前段でストーリー全体の必要性を説いているが、その対象者にしてみれば、その部分はどうでもいい。忙しい中にすべてを読んでもらえるなどとは思わないほうがいい。他をすべてすっ飛ばして、この部分だけをまずは見る、という確率が高い。とりあえず結論だけでいい、という感覚だ。普通に誰でもがそう言うが、一旦、表現者側、伝導者側に立ってみると、いかにすべての苦労を水の泡にさらす、軽薄な感覚かということを思い知らされる。拙速な「情報消費社会」の洗礼だ。この「どう変わるか」のワンフレーズを、まずは「瞬解させる」、というハードルを越えられるようになりたい。なので、シンプルかつダイレクトにスパッと言い切れるのが理想だ。自社商品・サービスの切れ味を研ぎ澄まし、一定以上の強さの確保が、当然だが、何よりも先に立つ。すべてはそこから先の話だ。このことを「点を創る」という。マーケティングうんぬんは次の段階、「線に伸ばす」話。
期待値過剰を防ぐ話や、誤解や思い違いを防ぐ話は、後述的に補足の話だ。最初から抑制的に表現する話ではない。「だれの何がどうなればいいのか」の定義を表現し、それに対し、「うちはこうしてみせます」、そして「あなたはこうなります」を言い切っていく。そして「そのことはあなたの人生全体にとって、一体何をもたらすのか」、人生ビジョンを示してあげる。ライフタイムバリュー、顧客生涯価値の提供者としてのポジションを、その対象者に対して取り続けていく。その決意表明が文脈全体の主題、結論だということを改めてわきまえる。バリュープロポジションで示さなければならない文脈はこのこと。