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ブルーオーシャン戦略(13) 補足(2) : ブルーオーシャン戦略を考える前提 ~分野、タイミング、開拓

3、青い海か、青い水たまりか

 せっかく見つけた青い海は一体どれほどの大きさなのだろうか。一番気になるのはそこではないだろうか。要はどれだけの売り上げが見込めるのか、どれだけ社会的称賛を売ることが出来るのか、実際に売れるかどうかよりも先行して気になる点かもしれない。金額的に大きな先行投資が必要な事業を考えている場合は、事前のマーケット調査をするはずだ。しかし探そうとしているその青い海は、その時点では存在していない。コンサル会社に高額で調べてもらっても、より精度の高い「推測」をしてもらうに過ぎない。前もって、規模の大きさや売上の固めの見込額を確認してから取り組むことは出来ない。まずは実際に社会に押し出していくしかない。

 で、青い海の大きさは、出現してから知るしかない、というような印象をもっているかも知れない。あらかじめ大きさの決まっている青い海を、海なのか水たまりなのか、宝くじを引き当てる感覚のように思いがちではないだろうか。しかし戦略を考え、練っている段階で、ニッチとはいえまだ未消費の無限のマーケットがある前提で考えているはずだ。ぶつかる障壁は、そんなに簡単には知ってはもらえない点にある。受け入れてもらえるかどうかの以前に、認知すらしてもらえない。世に出してから、いかに知ってもらうのかが勝負になる。水たまりか池か湖か海かは、その境界ラインは自身が決めていくことになる。宣伝広告の認知拡大活動のエネルギーが、境界ラインを押し拡げていく。しばらくは全身全霊で叫び続けていくというのが、まずは前提だ。ブルーオーシャン戦略全体で本当に一番難しいのは、アイデアを出すことでも、商品・サービスを形にしていくことでもなく、とりあえず一人でも多くの対象者に認知をしてもらうことだ。世の中に存在するマーケティング会社のほとんどは、その部分のサポートを提供している。結局最後の局面は、泥臭い地道な頑張りであること自体は何も変わらない。

 弱小ベンチャーとしては、海は難しいにしても、水たまりでも見つかれば良しなのか、やはり池か、あわよくば湖まで拡大していきたいのか、それによって認知拡大活動のみならず、戦略策定段階でのアイデアの出し方も変わってくる。一定規模以上に拡大していきたい場合は、以下の条件が必要だ。

1、既成概念の大転換

 従来のものに比べて、概念そのものを大きく転換させるレベルであること。模倣困難要因の「発想の乖離度が高い」ということ。その後の社会生活上の習慣が変わる。スイッチングコストのハードルが存在しないか、極端に低い。

2、未消費市場への浸透余地

 それまで対象ではない、関係ないと思われていた層の人たちも対象にさせる。性別、世代、地域性、属性の垣根を超えた共通のベネフィット。境界の破壊。市場として存在していない層への開墾、開拓のフロンティアスピリッツ。

3、市場での拡散性

 既成概念の転換や社会通念自体の教育、感化、洗脳が大前提になる。根気強く訴え続ける粘り腰が必要。「へえー便利そうだね」、「へえー今どきそんなものがあるんだ」と思わせることをじわじわと浸透させる。口コミ、拡散したくなるキャッチさ、シンプルさ。分かりやすく、話題にしやすい構造、ネーミング。

 「6次の隔たり理論」 : まだ見ぬ、会いたいと思う条件の人に会う為に紹介をたどっていくと、6段階目(6人目)以内でたどり着くという話。1人当たり約44人の知人があるという前提で、その中から可能性の高そうな条件、若しくは知っていそうな知人を紹介するはず、という理屈でいけば、6段階目の紹介で可能性のふるいにかけた人数は70億人を超えることになる。地球上を網羅する。であれば、それまでには出会っているはずだという理論。SNS開発の着想の発端になった理論の一つと言われている。face bookの場合、登録者約15億人全員とつながる為の平均仲介数は3.57次とのこと。つまり4人、4段階を経れば登録者全員とのつながりにたどり着くという。

 日本国内だけで言えば、5段階目で1.6億人を超えてくる。4段階目で375万人、3段階で85,000人だ。湖レベルを求めても、3段階でティッピングポイントを超えてくる。池や水たまりでいいなら2段階で2,000人、十分だ。44人の人に声をかけて、あなたの知り合い44人にお伝えください、と依頼すればいい。SNS上での拡散希望というやつだ。未知の市場開拓の方法は、今どき色々と無くはない。小規模弱小ベンチャーだから無理だ、不可能だとは言えない世の中になっている。

 いつか自社の時代は来る。ただ何年後かは不明だ。現状のレベルの乖離度が大きければそれだけ、自社の変革、着想への到達、商品・サービスのレベルアップ具現化に要する時間はかかる。そこまでやり続け、追い求め続け、資源とそして意識、あらゆる意味で持ちこたえられるか、がポイントだ。

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