ブルーオーシャン戦略(15) 付録(2) : 組織内での実践において ~5つの障壁
対策
これら5つ障壁に対しての対策も述べられている。組織内の利害の逆行するすべての人に、理解、満足させることは無理にしても、組織内のルールとして大義名分を納得させる手続きは踏まなければならないと言っている。手続き的な正義を果たそうということだ。それを「公正なプロセス」とか言っている。
1、公正なプロセス
反発や不満のある人たちにでも後からがたがた言わせない。後付けで、話が違うとか、そんなこと聞いてないとか、言ったはずだとか、そういうことを言わせる理由や材料を出来るだけ与えないようにする、ということ。事前にきちっと手続きを踏んで、プロセスを経て、ここまで進んでるぞと、事を運んでいこうというもの。「3つのE」とか言っている。
1、Engagement(関与)
最初に全員に対して、意見を述べてもらう機会を作るということ。反論、不満、疑問、内容の不理解、意向、正直な思いや感情・・・etc.すべてを最初に言ってもらっておく。会議形式、個別形式色々あるが、出来れば当然個別がいいだろう。会議形式だと本音を言わない可能性が高いが、大きな組織では通常そうなるだろう。それでも、そういう機会は設けたぞ、後出しじゃんけんはなしだぞ、というメッセージをしっかり念押しすることが重要だ。最初に押さえておき、不満や疑問の向ける先を断つことによって、自分に向けて自己解決しようという心理が働く。
チームメンバーにはもちろんだが、チーム外、外野も含めて、押さえておけるところは当然に押さえておきたい。リーダーがどの立場、どの程度の権限を持たされているのかにもよる為、難しいことは多いが、キーマンにはあの手この手で水面下の工作を図る意識は持っておいたほうがいいだろう。
2、Explanation(説明)
全員の意向伺いと同時に、全員にきちんと事前説明、趣旨説明を行っておくということ。後々、聞いてないとは言わせない。特に大事なポイントは書面で伝える。わかってるだろうは厳禁だ。そこは当然の認識だろう、というのも説明側の怠慢だ。改めて、くどいぐらいいちいちきちっと伝えることが重要。これもチーム内外問わず押さえておきたい。チーム外に対して、説明の書面を配布する分には、意向を伺う機会を設けるよりはハードルが低いはずだ。
3、Clarity of Expectation(具体的な期待内容)
全員個々に何をしてもらいたいのか、何の役割を果たしてほしいのか、何を達成してほしいのかを極めて具体的に伝えておくということ。何のために、ということも併せて。より明快に、より具体的に表現できる準備が必要だ。どの程度までという程度問題は、その本人が今すぐに具体行動がとれるところまで分解できれば理想だ。能力の高い人ならそこまで言う必要はないだろう。方向性を伝えれば期待以上の成果を持ってきてくれる。ここでの対象はこの人たちではない、ということに意識重点を置こう。未熟なメンバーを、プロジェクト推進しながら育てるということ。プロジェクトを通じて化けてもらいたい。そのことがプロジェクト全体の勢いを加速させる弾みにつながる。周りのメンバーに与える相乗効果の高さは絶大だ。チームが一丸となっていく際の象徴になる。
2、強い意志
今さら言うまでもないことだが、やり抜く強い意志をもとう。想定外のあらゆる困難が待ち受ける。それでも克服して継続していく。楽しみながらやれたら理想だ。表面的な無理したプラス思考というのでなく、潜在意識の奥底で本当に楽しんでわくわくしながら進んでいきたい。自己啓発の世界の「引き寄せの法則」というやつだ。ユダヤ人たちの秘法だとか言いながら、ずいぶん昔から言われていることだ。ベストセラーが出てはブームになって、しばらくすると落ち着いての繰り返しをしている話。この世界、単なる精神論だけの話ではなく、ニューサイエンスというれっきとした学問として学者たちが研究をしている。「思い」とそれが及ぼす現象との因果関係を、生物学や量子力学の世界で紐解こうとしている。代表的なのがホスピスの世界では完全に定着している、笑うと体内の免疫が活性化するというあれだ。量子力学の世界では、思いや感情には微振動が伴うとされており、体内の細胞壁に伝わり、細胞内の水に伝わり、細胞組成が影響を受けているのだそうだ。それ以上は別のテキストで触れるが、音叉の実験と同様、思いの微振動が同様の波長と共鳴しあい、現象として現れるということならば、そのことが何よりも重要なファクターであろうことは意識したい点だ。