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WEB戦略構築(2) 「自動集客マシーン化」 02 ~コモディティ内差別化01

 「チラシ」や「ポータルサイト」といったような方法に象徴される、「一定の型枠」、が当てはまる業種というのは、昔からずっと誰しもが必要なお店、商売で、今後これからも一定のニーズは変わることなく必要な業種だ。商店街やショッピングモールに当たり前のように存在する、「○○屋さん」方々の業種だ。商品やサービス内容がある程度決まっていて、世間に許容される価格の範囲もある程度決まってしまっている業種、という言い方もできる。つまり何が言いたいかというと、極端な区別や他との差別化がしにくい業種だということ。革新的技術やイノベーションうんぬんの真逆のカテゴリー。これらの業種や商品、サービスを総称して「コモディティ化」とか言う。コモディテイ化してしまった型枠の中で負けてしまえば、基本、もう打ち手は無い。極めて限定的な延命策をどこまで引き延ばせるか、となり、時間の問題だ。この極めて限定的な延命策を、当事者方は前向きな「マーケティングの勉強」ととらえている。

 多くの小規模経営者の方にとって、業種を換えることは難しい。やはり道は一つしかないように思う。ここでは先ほどの「自前のしくみ」という表現は使わない。もう少し流れに沿った絞った表現で、「コモディテイ内差別化」という方法だ。差別化をする着眼点が、自社の商品やサービスの側ではなくて、客のニーズ側。客のニーズと言っても、顕在的な表面のニーズに着眼しても、自社の施策としてやることも打ち出すことも今までと変わらなくなってしまう。そうではなく、潜在ニーズ、客自身も認識を持っていないし、そういう風にも言わないけれど、根幹のところで望んでいる目的の部分、自社を選んで来続けてくれている「無意識の本当の理由」の部分、この領域に着目していく、ということ。うーん難しすぎる。説明もできない。美容室の例でチャレンジしてみよう。

 

 この店の売りは、自然派の薬剤を使い髪にも頭皮にも優しいと。得意なスタイルとしては、モード最先端のかっこいい系というよりは、ゆるふわフェミニンな似合わせを強調している。対象はやさかわ系ミドルの主婦層。ロングの先端のおさまり具合と微妙に緩い巻き具合を、カットの特殊技法とパーマの特別な手法で実現させている。そこの技術に、よそには出来ない独自性を打出しており、一定の評価を得ている。地域では同様の店は無いため、差別化にも成功し、繁盛店だ。店舗デザインも木目調と緑の自然派な絵柄に、全体としてはパステルホワイトのテイストでまとめられていて、店の打出しとも一貫性が取れており、ブランディングにも成功しているようだ。

 10年来の上客○子さん。まさしくこの店の売りの象徴的なお客さん。上客分析で質問してた見た。「なぜこのお店に10年も通ってらっしゃるんですか?」 ○子さん「そうねえ、このえり足辺りの緩い感じっていうのが、やっぱりこのお店でないとだめだったのよね。」と。お店の認識通りの回答だった。店「以前のお店ではこうはならなかったんですね?」 ○子「うーん、そういうわけでもなかったんだけど、まあだいたい似たような感じは出来てたんだけど、なんかちょっとちがうかなあって」 店「?・・・なんとなく出来てはいたんですか?」 ○子「出来てるっていうか、まあ感じはねえ、どこでもおんなじような感じだけど、このナチュラルな感じっていうか、これはお宅だけだったのよ。あそこは少しカールの具合が、自分でアイロン巻いたような感じが少し出てたから。」 店「ああそうですか。自分でアイロンで巻いたような感じってお嫌いなんですね。じゃあうちへお越しになってからは、家でアイロンなどはお使いになっていないんですね?」 ○子「いーえっ。やってもらって2,3日はいいけど、一週間もして伸びてくればやっぱり自分で巻かないと無理よ。」 店「ああ、そうですか・・・」 

 店長はどう解釈していいのか必死でまとめようとするが、結局「えっ、じゃあなんでうちへ来てんの?」となった。2,3日ほどの、自分でアイロンで巻いてないようなナチュラルな感じが提供できていた、ということだった。後日、モデルを依頼して、○子さんが以前行っていた店に、同じようにやってもらうよう行ってもらった。カールの微妙な感じの違いは識別できなかった。○子さん以外には誰も識別できない微妙な違いなのだ。「こんなこと売りにできるかーっ!!」と少しがっくり来る気分になった。

 依頼したモデルが追加の報告をした。「この先端の微妙なカール具合を説明しようとしている時・・・   (続く)

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