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事業承継スキーム(14) 賃貸不動産(1) ~不動産評価概要、自用地、路線価

不動産評価概要、自用地、路線価

「自社株」「事業承継」という枠から一旦出まして、「相続対策」全般という形で範囲を広げて見ていきたいと思います。事業承継も当然相続対策の範囲の内容ですし、事業承継の観点からも個人の相続は承継の一貫として対策されることですので、ことさらの区別はありませんが、内容の点で「不動産」を中心にしばらく見ていきたいと思います。

相続の話になるとほぼセットで語られるのが不動産の事になりますので、基本的なところから見ていきたいと思います。まずは「財産評価」、価格がいくらか、ということから。自社株の時も、その評価額の計算が非常に複雑でした。不動産の場合は計算式自体はそこまで複雑ではありませんが、「一物多価」と言うように、公的な価格がいくつも示され、状況、ケース、取引形態によって当てはめる価格、計算式が多岐に渡るので、どれを当てはめてどう考えればいいのか、落ち着いた整理が必要です。

そして不動産の特長として、税制面での優遇措置の種類が豊富で、優遇度合いが大きいという点があります。それがゆえに対策の方法も多岐に渡り、いくつものスキームが存在し、このケース、この状況でのメリットの大きい方法はどれなのか、どのスパンで考えればいいのか、きわめて多角的な視野と広範な知識が要求されます。

専門知識の要求される最たるジャンルであるがゆえに、専門の不動産業者に委ねざるを得ません。で、その不動産業者さんがすべて中立公平に、多角的なすべての方向から、大所高所から、長短あらゆるスパンの検討をし、総合的な見地から提案をしてくれるかというと、残念ながらそういうことばかりではないのが実情です。

その業者さんにしてみれば、その業者さんの打てる対策の方向性、打ち手としてのスキームの手数、実際に提供できる具体施策には限りがあり、あくまでも「その範囲内でのベスト」を提示してくれることになります。色々と問題が取り沙汰される、地方地主さんへのアパート経営提案、賃貸不動産建設などはその最たる事例です。提案自体は非常に合理的な素晴らしいスキームなので、これが導入されだした頃は対策効果の高い方法でした。しかしスタンダードな方法として認知され始め、その方のケースでは効果性が疑問視されるような場合でも、慎重な検討を怠り「みんなやってることだから」と安易に導入してしまい、取り返しがつかなくなっている事例が社会問題化しています。

ということで、基本的なことを把握し、詳細な知識までは押さえきれなくとも、多角的広範でかつ、長短スパンからの総合的な「問題意識を持てる」ところを目指したいものです。

では実際の評価方法から見ていきますと、まずは土地と建物を完全に区別して別々に考えることがポイントです。まずは土地からですが、基本的なところで「自用地」、「貸宅地」、「貸家建付地」から。

土地評価の一番基本形になるのが「自用地価額」です。自分で使用している土地ということです。自分で「使用している」と表現をしてしまうとかえって混乱しそうです。土地の上に、物理的な建物のあるなしではなくて、形の無い「権利」がのっているかどうかという基準で、何も無い土地が自用地です。本人名義の土地に自宅を建てて使用しているとか、建物が無い更地で他人にも貸していなければ「自用地」として評価する、ということです。

土地の評価の混乱するわかりにくい点の一つとしては、形の無い「権利」の価格を評価する、という点です。民法と併せて勉強しないとピンときにくい部分が多々出てきます。例えば「借地権」という権利です。この借地権も借りてる人の資産とみなし評価額がつき、その土地の貸し手と借り手にとっての評価額、値段が変わってくることになります。

で、自用地の公式ですが、 「自用地評価額=路線価×面積×各種補正率」 となります。

ここで改めて、不動産取引の大前提に戻りますが、取引価格の基本は時価取引です。「時価」の概念は複雑なので置いておくとして、一般的な解釈としては「第三者間での公正な取引」価格とされています。第三者間同士の公正と言ったって安いものではないので、双方にとっての客観的な評価方法が必要になります。マンションや商業施設の建設など不動産ビジネスの場面などでは、「各種の鑑定評価」方法があります。

今、このテーマでの話は、あくまでも「相続」というカテゴリー内での話しになるので、「路線価」を基準とするということです。「路線価」とは何か、から戻るときりが無いので飛ばしたいところですが、今回のトピックスのコンセプトとして「基本を押さえる」でしたので簡潔に。

まず、土地には公的に価格が4つあります。「公示地価」「固定資産税評価額」「基準地価」とそして「路線価」です。なぜ4つもあるのかは、それぞれ目的と管轄する省庁が違うということです。順に国土交通省、、地方自治体、都道府県とそして国税庁です。売買では無く「課税」、相続税や贈与税の国税を徴収するための目的の価格なので国税庁が決め、それが「路線価」となります。

路線価といえば通常は「相続税路線価」を表します。さらに細かいですが、固定資産税や取得税、他・・・の地方税を徴収するための「固定資産税評価額」の決定に際し、市町村長の決める「固定資産税路線価」というのもあります。通常こちらの「路線価」を一般人は用いません。

路線価以外の地価は敷地そのものに価格をつけますが、路線価は一定の間隔を持った「路線」、道路に価格をつけるので「路線価」です。「路線価図」に示されています。インターネットでだれでも見れます。1㎡辺りの価格が単位千円で数値表記されています。その数値の横にアルファベットも表記されていますが、これが「借地権割合」です。「貸宅地」や「貸家建付地」のところで出てきます。

「自用地」の公式に戻りますが、路線価図に示された数値にその土地の面積を掛けて、「各種の補正率」を掛けます。角地で道路が2本接しているとか、細長く間口が狭いとか、いびつな形をしているとかの、その土地個別の特殊な要因を考慮する、ということです。

基本形の「自用地」の説明がやっときりがつきました。この後の公式はこの自用地を基準としていきます。

次回は「貸宅地」の公式から見ていきたいと思います。

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