人生100年時代~生き方そのもののパラダイムシフト(2)
一般的な多くの人たちの寿命が100歳を超えるとどうなるのか、少し見てみよう。従来の3ステージ人生、0~20歳の学習期、20~60歳の就業期、60~80歳の引退期のうちの最期、引退期の部分が60~100歳となる、ということ。いわゆる老後の期間が20数年から40年ほどになる。引退期は通常、収入がない。現役期に稼いだ分からの貯金と退職金と、そして年金で残りの人生を生きていく。今現在、老年期にある多くの方は、それで成り立ってらっしゃる方が多い。
しかし、今後これから引退し、老年期を迎える方の多くは、退職金と年金は老後を保証するにはたり得ず、かつ、その余生期間が倍近く年数が伸びていく。端的に、老後を生きていくにあたり、お金が確実に足りなくなる人の割合が増えていく、というのがこれからの日本の社会だということ。
少子高齢化が謳われて久しいが、必然的に社会保障は設計の修正が余儀なくされている。持続可能な社会保障制度と聞こえはいいが、要は給付額が減少し、負担額は増大し、支給時期が先送りされるということ。医療保障のしわ寄せが医療現場に及べば、質の低下も懸念されている。寿命が延びれば喜ばしいことだが、健康であれば、という条件が付く。要介護人口が増大すれば、ただでさえ減少していく労働力に、さらに影響を与えていく。GDPの低下、税収の低下、財源の低下・・・右見ても、左見ても国家レベルの危機を迎える。
政府としては、老後生活資金の自己責任による確保を促すべく、証券投資の運用を推進している。やれNISA(ニーサ)だの、iDeco(イデコ)だの、新制度の普及を促進しようとしている。が、そのメリットは焼け石に水にもならない程度で、制度の意味はおろか、その制度自体も知らない人が多い。知っているのは、それが不要であろう賢こな人が多く、本当に必要な層の人は知ろうともしないという、皮肉な状況だ。
今後の日本の客観的なデータを、「未来の年表」から少し拾ってみよう。人口減少カレンダーとして、目次に羅列されているタイトルだけ並べてみる。
2016年 出生数100万人切る
2017年 おばあちゃん大国に
2018年 国立大学倒産危機
2019年 IT技術者不足、技術大国後退
2020年 女性の2人に1人が50歳以上に
2021年 介護離職の大量発生
2022年 1人暮らし社会本格化
2023年 企業人件費ピーク、逼迫
2024年 3人に1人が65歳以上に
2025年 東京の人口も減少へ
2026年 認知症患者が700万人規模
2027年 輸血血液が不足
2030年 百貨店、銀行、老人ホームが地方から消える
2033年 住宅の3戸に1戸が空き家に
2035年 未婚大国化へ
2039年 深刻な火葬場不足へ
2040年 自治体の半数が消滅へ
2042年 高齢人口が4000万人でピークに
2045年 東京都民の3人に1人が高齢者に
2050年 世界的な食糧争奪戦に
2065年 外国人が無人の国土を占拠
これについての良いも悪いも、個々の説明も控える。今ベースで羅列されると悲惨だが、実際にはだんだんとこれらの現象が耳目に入ってきて、心理的に慣れていくだろうから、それほどショックだということでもないだろう。これらをカバーすべく、IOTだのAIだの普及していき、思っているよりは普通に人生を過ごすのではないか。
日本のかような未来図の状況を、当然中国は国家計画に組み込んでいる。「爆買いされる日本」によると、一帯一路の一環で、北極海航路の拠点港として小樽周辺が予定されている。今現在、小樽周辺の人家のない地積のまあまあな面積は、中国人に買われているのだとか。
2050年には日本国土の3分の1程度は無人になっていき、離島ももちろんそうなる。領海周辺の離島に上陸され、実質支配されれば領海も、国境線も変わる。本土でも、雑草荒れ地の無人の土地に高額な買値がつけば、私が地主なら、中国人だろうがだれだろうが、普通に喜んで売る。喜んではいけないと思いながら複雑なふりをし、しかし老後生活資金に不安があれば、助かったと思うだろう。法規制がない限り、普通にそうなる。
現在でも、都心でもテナントビル、あるいはタワーマンションも比較的多くは中国人だ。大阪でも、心斎橋筋商店街を歩いてみれば、もはや日本人が歩いていない、と思えるのも決して大げさではない。こうやって日本の国土は日本人ではなくなっていくのだなあと、イメージさせられる。そう言うと乗っ取られるような気にもなるが、イギリスやフランスなどの先進国でも日本に先立ってそうだし、そもそも、アメリカはそういう国だし、ブラジルで言えば、最初から人種のるつぼだ。
日本の未来は悪いわけでも、悲惨なわけでもない、という風に解釈を変える。フレームチェンジという思考の技法だ。まあ、こんなことをどれだけ詳細に見ようとも、とりあえず私たちにはどうすることも出来ない。それよりは、今後の長寿に対してどう生きていくか、「LIFESHIFT」の提言を見てみる。