WEB戦略構築(5) 「自動集客マシーン化」 05 ~「滑り落ちてくる」とは?01
ターゲットになる方に見つけてもらい、引き込んで、そして勝手に滑り落ちてきてもらうことを目指したい。「勝手に滑り落ちて来てもらう」とはどういうことか?こちらが設定した「リンク先」に対して、トントントンとリズムよくクリックして、こちらの意図した「オファー」にたどり着いて頂く、ということ。この「オファー」は通常、購入とか成約とか本当のゴールではなく、資料請求とか、無料セミナーとか、メルマガ登録とか、問合せとか。有料になる手前の無料のレールの範囲で、「見込み客」になって頂くことを設定することが多い。その後、定期的にこちらから意図して接触頻度を重ねられる対象者になってもらうことを目的とする。通常、購入や成約などの有料になる手前に壁がある。ここで一旦止まる。トントントンの「トン」とは連続しない。最初からそれを買うと決めていない限り、そうはならない。逆に最初から買うことを決めているなら、わざわざネットサーフィンなどしない。だからその「顕在」購買意思客は対象とはしない。あくまでも「潜在」購買意思客が対象の話。この人たちをまず見込み客として囲い込むためのレールを敷いておきたい、ということ。有料の手前では立ち止まるだろうが、無料のオファーのところまではお客さんにはリスクはないわけだから、興味を引くことが出来れば、そこまではトントントンとノンストップで来てほしい。来てくれるはずだ。至極当然に、トントントンと来てもらうべきところまでは、トントントンと当たり前のようにたどり着いてきてもらう、というだけの普通の話。
しかし、そんな風にトントントンと滑り落ちてきてもらえるだろうか?私たちの日常で二つのケースを思い出してほしい。一つは、よく利用する通販サイトで、当初買うと決めていたわけではなかったけれども、見ていくうちに、なんだか知らぬ間に「買い物カゴ」に入れてしまい、「まあ、どっちにしても要るやつだし」という気分になって「購入ボタン」を押してしまうケース。象徴的なものとしてはAmazonで本を「買ってしまった」ときだろうか。もう一つは、「おっ」と思って興味を持って見てしまい、より深く知りたいと思ってリンク先や深堀り情報を知ろうと思う。さらには購買や申し込みをするにはどうしたらいいのか、まずはそのあたりの確認をしたいと思い、情報探すも、どこにあるかわからず、迷子なってしまい、結局あきらめるようなケース。大手や有名でないところの大半は残念ながら、後者のようなケースが多い。当たり前のことが、けっして当たり前には出来ていない。実はとてつもなく難しいことだ。問題が根深いのは、当事者が自社のサイトがそうなっているということに気が付くことすらできない。当然に大手や有名サイトとは違うことはわかっても、何がどう違うのかは説明は出来ない。自社サイトを、自分が100%の客目線で利用することはできない為に、どれだけ見にくく、使いにくく、知りたいのに教えてもらえないのか、不具合の度合いの認識もできない。そしてそれらの状況すべてを、サイトの制作業者のせいだと思っている。制作業者側の目線から言えば、この手の依頼主の場合、制作にあたってのヒアリング、打ち合わせの段階で「ああ、こりゃだめだ」と腹の中で思われているのである。「えっ、業者を信頼して任せたのに」と・・・。一体「何を?」である。お客さんに、欲しい情報が伝わっていないそのずっと前段階で、制作業者にも全く伝える力がないことが問題なのである。
大手や有名でないからそうなる、わけではない。そうなるから有名にもならないし、大きくもならないのだ。そうはならないように大手や有名なサイトは、それだけ必死に考え抜き、身がよじれるほどの決断の先行投資をかけているのである。取り違えてはならないのは、「やっぱりお金をかけないと無理だよね」ではない。 何にお金がかかるのかと言えば、そのノウハウに精通しており、それを考え抜くことが出来る人に発注する、人的資源にお金がかかるのであって、設備やシステムにお金をかけたからといって、先ほどの前者のケースのような「滑り落とせるレール」を作れるわけではない。お金のない私たちは、私たち自身がその「人的資源」を目指すしかない。制作業者に任せるのは「コーディング」だけ、という気概が必要であり、そのメンタリティの差がサイトに顕れるのである。