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ブルーオーシャン戦略(7) いくらにすればいいの? : 「プライスコリドーオブザマス」 ~戦略的価格設定

レッドオーシャン下での価格戦略

 レットーオーシャンの表す意味の、その最も象徴的な争いの局面は、まさしく価格競争である。そのレッドオーシャン下において採られる代表的な戦略をまずは見ておこう。1つは「スキミング・プライシング」という方法、もう1つは「べネトレーション・プライシング」という方法。

 「スキミング・プライシング」とは、相場より比較的高めの価格設定を行い、できるだけ早い段階で開発の投資やコストの回収を行おうとするもの。価格に比較的無頓着なイノベーターやアーリーアダプターを狙っていく。回収の目途に伴い徐々に適正価格化させていく、というもの。

 一方、「べネトレーション・プライシング」とは、逆に相場より低めの価格設定で、マス層に向けて一定のシェアを早期に築こうとするもの。早期での回収は目指さずむしろ赤字覚悟で、まずは市場内での一定地位を築き、競合に対するアドバンテージをとっていこうとするもの。大手の戦略。

プライス・コリドー・オブ・ザ・マス(顧客密集価格帯)

 ブルーオーシャン戦略では、差別化された打ち出しをするため、市場から見てその適正価格がわからず、対象客の戸惑いが予想される。しかし需要、購買が喚起される価格を見つけねばならない。その際の方法論も示してくれている。それが「プライス・コリドー・オブ・ザ・マス」という。

 やり方はまず、価格調査をしていくが、3つの商品・サービスを調べていく。「類似品」と「代用品」と「代替財」を調べる。7つの切り口のところで出てきたように、「類似品」とは形態も機能も同じもの。「代用品」とは形態は異なるが、機能は同じもの。「代替財」とは形態も機能も異なるが、達成する目的は同じもの。乗用車を起点に考えれば、類似品は同様他車種の乗用車、代用品はバイクやバス、トラック、代替財は鉄道や航空機といった感じ。ところがそう単純にも出来ない。自社の打ち出す商品・サービスの機能・効用をどう定義するかで、代用品や代替財は変わってきてしまう。乗用車の機能を「移動手段としての足」とすれば、代用品はバイクや軽自動車、代替財は電車、地下鉄、路線バス等の運賃になる。「充足感、高揚感を満たすステイタス」と定義すれば、代用品は高級車、外車になり、代替財はヨット、クルーザー、セスナ機となり、拡大解釈も成り立ち、高級腕時計、別荘等も含まれてくる。打ち出す商品・サービスの価値、効用を満たす機能は何か?やはりここの定義が優先で考えないと、値段をどうしようと、売価ばかりが気にかかって動いても、とんちんかんになりかねない。

 これら価格調査をしたデータを一覧表形式にまとめ、相場的に固まっている価格帯の範囲を認識したい。自社の商品・サービスの模倣困難性の高いときは密集価格帯の上のほうを狙えるし、模倣困難性がそれほど高くなければ、やはりまずは密集帯の少し下側の設定になる。

 

コスト目標実現「価格マイナス方式」とプライスイノベーション戦略

 価格設定の目安を決めてから、目標利益を出すためのコスト目標を決めていく、という順番。これを「価格マイナス方式」という。相場観78万の市場に自社商品・サービスを5万で打ち出した。利益目標20%とすると、目標コストは4万となる。コスト削減していくにあたり、まず2つの方向性を検討する。1つは「業務オペレーションの合理化」、もう1つは「業務提携、アウトソーシング」。

 それでも目標コストが実現できず、5万円の価格設定では難しそうな場合、さらに価格設定を違う方向性で検討してみる。1、「タイムシェアリング」・・・時間貸し、時間単位の価格設定。2、「スライスシェア」・・・小口化。分割売り。パーツ売り。3、「フリー」・・・商品・サービス自体は無料、もしくは、それなら誰でもがとりあえず手を出す程度の安価設定し、その周辺サービスに課金していく。これらの方法のことは、「プライス・イノベーション」とも言われる。

プライス・メイカー、プライス・テイカー

 価格設定は難しい。特にブルーオーシャン戦略で、未だ無い訴求をしていくときには、相場観もなければ、市場許容範囲のバロメーターもあやふやだ。ブルーオーシャンアイデアの見つかった高揚感と、自身での期待値の高さから、高値設定してしまいがちになる。コスト構造上、より安く打ち出せれば安心だが、ひょっとしてこれぐらいでも行けるのではないか、高額設定の誘惑が誘う。うんともすんとも反応が出なければ、コスト無視で下げたくなるが、安易に動くわけにもいかない。ひとつきっかけさえあればと躊躇し、塩漬け株と同様デッドロックにも陥りかねない。こんな葛藤がしばらく続くということは、いずれにしも売れてない。なので、もう一回戻って考えよう。どこかで整合性が合っていない。決してゼロから全く新しいことというわけではなく、この思考のプロセスをもう何週かまわしてみよう。

 経済学用語になるが、プライス・メイカーとプライス・テイカーという表現がある。プライス・メイカーは価格を作る、設定する立場。プライス・テイカーは価格を享ける立場、そこに合わせ、従わざるを得ない立場をいう。メーカーと客の立場のことではなく、両方とも事業者のことを指す。要は価格先導できる規模、業種・商品、マーケット構造にあるのか、それに対し、先導者、マーケット構造の許容範囲に従わなければマーケット参入すら能わずの立場にあるのかを指す。ブルーオーシャン戦略でイノベーションを起こすのだから、プライス・メイカーだ、というわけにもいかない。どこまで行ってもプライス・テイカーだという立場を忘れては、価格設定はもたつく。

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